87 / 118
hage.87
しおりを挟む
「キャアアア~~~、レオンさまぁ~~~っ」
「ナイスパスです、レオン様」
「ナイス解答です、レオン様」
「ナイススマイルですぅ~~~」
自称レオン親衛隊は、今日も朝から騒がしい。
四六時中レオンに付きまとい、一挙一動に歓声が上がる。
レオンは朝、ロールスロイスが世界一似合わない団地に、それを颯爽と停めて、オレを好奇の視線の道連れにし、校門でオレの手を取って車から降りる。
寒ーし、痒ーし。
ってオレが訴えても、「妻の務め」とかいう一点張りで態度を改めようとしない。
「アイは流されやすいからなぁ…」
チナツがオレの隣に陣取るレオンを見て、ため息交じりにつぶやく。
レオンは日がな一日、オレにまとわりついてくるんだけど、何をやらせても有能なので、誰も邪険にできない。
というか、そもそもコイツは今更高校になんて通う必要はないんだけど、そこは何とか大人の圧力で丸め込んだらしい。
『おはカッパ』
最近リツキから来たメールはその一言だけで、マジでいい加減にしろよって思う。
「まあ、遠距離恋愛の必須事項はマメなコミュニケーションだからね」
チナツもオレに同感らしい。
リツキは。
オレがいなくてもさみしくねーのかな。
「あー、文化祭の出し物と、修学旅行の班決めをするぞー」
担任のオギノがやる気のない声で指示を出す。
「楽しみだね、アイ。文化祭も修学旅行も」
オレの隣でレオンがルンルンしていて、それをクラスの女子らがワクワク見ている。
「…やる気でねー」
机に突っ伏したオレを、
「アイ!アイっ!」
前からチナツが揺さぶる。
「いい事思い付いたよ!修学旅行にイタリア行きを提案すればいいよ!」
…え。
イタリアの四文字に起き上がるオレ。
「カワシマが前に言ってたじゃん。リツキくんは学校の宝だって。宝を応援に行くんだよ!」
チナツ様。なんて素晴らしいアイデア!
『イタリアに行って、サッカーを頑張る本多リツキくんを応援しよう』の声は、カワシマを筆頭にリツキファンの間にたちまち広がりを見せた。
男子らもイタリアサッカーには興味津々らしく、乗り気なやつらが続出し、
「なんで、本多リツキ…」
どうにもリツキを敵視しているレオンでさえも、
「まあ、アイとの新婚ぶりを本多リツキに見せつけるいい機会か」
最終的にはよくわからない理由で賛成していた。
いや。あくまでも、結婚してねーから。
そんなわけで。
チナツ発、修学旅行イタリア行きは、瞬く間に盛り上がりを見せ、カワシマの有無を言わせぬ説得で、ついに学校長の許可が下りた。
ブラボー、カワシマ!
「リっくん、待ってて。アヤのラブパワーを届けるわ~~~」
「…俺、絶対遊ばれたよね」
ドンマイ、タカヤ。
「ナイスパスです、レオン様」
「ナイス解答です、レオン様」
「ナイススマイルですぅ~~~」
自称レオン親衛隊は、今日も朝から騒がしい。
四六時中レオンに付きまとい、一挙一動に歓声が上がる。
レオンは朝、ロールスロイスが世界一似合わない団地に、それを颯爽と停めて、オレを好奇の視線の道連れにし、校門でオレの手を取って車から降りる。
寒ーし、痒ーし。
ってオレが訴えても、「妻の務め」とかいう一点張りで態度を改めようとしない。
「アイは流されやすいからなぁ…」
チナツがオレの隣に陣取るレオンを見て、ため息交じりにつぶやく。
レオンは日がな一日、オレにまとわりついてくるんだけど、何をやらせても有能なので、誰も邪険にできない。
というか、そもそもコイツは今更高校になんて通う必要はないんだけど、そこは何とか大人の圧力で丸め込んだらしい。
『おはカッパ』
最近リツキから来たメールはその一言だけで、マジでいい加減にしろよって思う。
「まあ、遠距離恋愛の必須事項はマメなコミュニケーションだからね」
チナツもオレに同感らしい。
リツキは。
オレがいなくてもさみしくねーのかな。
「あー、文化祭の出し物と、修学旅行の班決めをするぞー」
担任のオギノがやる気のない声で指示を出す。
「楽しみだね、アイ。文化祭も修学旅行も」
オレの隣でレオンがルンルンしていて、それをクラスの女子らがワクワク見ている。
「…やる気でねー」
机に突っ伏したオレを、
「アイ!アイっ!」
前からチナツが揺さぶる。
「いい事思い付いたよ!修学旅行にイタリア行きを提案すればいいよ!」
…え。
イタリアの四文字に起き上がるオレ。
「カワシマが前に言ってたじゃん。リツキくんは学校の宝だって。宝を応援に行くんだよ!」
チナツ様。なんて素晴らしいアイデア!
『イタリアに行って、サッカーを頑張る本多リツキくんを応援しよう』の声は、カワシマを筆頭にリツキファンの間にたちまち広がりを見せた。
男子らもイタリアサッカーには興味津々らしく、乗り気なやつらが続出し、
「なんで、本多リツキ…」
どうにもリツキを敵視しているレオンでさえも、
「まあ、アイとの新婚ぶりを本多リツキに見せつけるいい機会か」
最終的にはよくわからない理由で賛成していた。
いや。あくまでも、結婚してねーから。
そんなわけで。
チナツ発、修学旅行イタリア行きは、瞬く間に盛り上がりを見せ、カワシマの有無を言わせぬ説得で、ついに学校長の許可が下りた。
ブラボー、カワシマ!
「リっくん、待ってて。アヤのラブパワーを届けるわ~~~」
「…俺、絶対遊ばれたよね」
ドンマイ、タカヤ。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

靴磨きの聖女アリア
さとう
恋愛
孤児の少女アリア。彼女は八歳の時に自分が『転生者』であることを知る。
記憶が戻ったのは、両親に『口減らし』として捨てられ、なんとかプロビデンス王国王都まで辿り着いた時。
スラム街の小屋で寝ていると、同じ孤児の少年クロードと知り合い、互いに助け合って生きていくことになる。
アリアは、生きるために『靴磨き』をすることを提案。クロードと一緒に王都で靴磨きを始め、生活は楽ではなかったが何とか暮らしていけるようになる。
そんなある日……ちょっとした怪我をしたクロードを、アリアは魔法で治してしまう。アリアは『白魔法』という『聖女』にしか使えない希少な魔法の使い手だったのだ。
靴磨きを始めて一年後。とある事件が起きてクロードと離れ離れに。アリアは靴磨き屋の常連客であった老夫婦の養女となり、いつしかクロードのことも忘れて成長していく。そして、アリアもすっかり忘れていた『白魔法』のことが周りにバレて、『聖女』として魔法学園に通うことに。そして、魔法学園で出会ったプロビデンス王国の第一王子様は何と、あのクロードで……?
冬の水葬
束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。
凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。
高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。
美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた――
けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。
ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
眩魏(くらぎ)!一楽章
たらしゅー放送局
青春
大阪城を観光していた眩魏(くらぎ)は、クラシックギターの路頭ライブをするホームレスの演奏を聞き、感動する。
そして、学校の部活にクラシックギター部があることを知り入部するも、、、
ドキドキワクワクちょっぴり青春!アンサンブル系学園ドラマ!

実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

【完結】あの日、君の本音に気付けなくて
ナカジマ
青春
藤木涼介と清水凛は、中学3年のバレンタインで両片思いから両想いになった。しかし高校生になってからは、何となく疎遠になってしまっていた。両想いになったからゴールだと勘違いしている涼介と、ちゃんと恋人同士になりたいと言い出せない凛。バスケ部が楽しいから良いんだと開き直った涼介と、自分は揶揄われたのではないかと疑い始める凛。お互いに好意があるにも関わらず、以前よりも複雑な両片思いに陥った2人。
とある理由から、女子の好意を理解出来なくなったバスケ部男子と、引っ込み思案で中々気持ちを伝えられない吹奏楽部女子。普通の男女が繰り広げる、部活に勉強、修学旅行。不器用な2人の青春やり直しストーリー。

愛さずにはいられない
松澤 康廣
青春
100%の確実性をもって私たちは未来の行動を選ぶことは出来ません。愛もまた同様です。どれだけ考え抜いたとしても、不確実は確実に存在し、それが私たちを苦しめます。それでも私たちは(私たちの一部)は愛こそが全てであるかのように愛さずにはいられません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる