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hage.85
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レオンの話を聞いていると、どうやらレオンは飛び級で大学の博士課程も修了しているらしい。
なんつーか。
「…なんでアイ!?」
って感じだよな。
「レオン、昔この近所に住んでて、オレと同じなかよし保育園に通ってたっつーんだけど、覚えてる?」
父母姉は顔を見合わせて考え込んむそぶりを見せていたけど、
「あ!」
母親が急に声を上げた。
「レオちゃんっ」
何やら思い当ったらしい。
「お人形さんみたいに可愛らしい1歳上のレオちゃん。アイがレオちゃんは優しいから大好きってなついてたわ~」
…レオちゃん。
肩までの長い髪がサラサラ揺れて。
まつ毛がくりんくりんにカールして。
青い目がパッチリ。色白。ピンクの頬。
「お前、女の子じゃなかった!?」
急速によみがえる幼き日の面影。
「男に決まってるだろ。アイさえ良ければ今すぐ証明してもいいけど?」
謎が解けた。そうか、レオちゃんか。
すげー可愛くて優しくて誰もが一度は憧れるようなお姉ちゃんが、…いた。
「え、あれがお前?」
あのレオちゃんがいつの間に王子に?
「レオちゃん、昔から優秀だったもんねぇ。アイも大好きだったし、2人で決めたなら問題ないじゃない?」
母親があっさり承諾しようとする。
「はい。必ず幸せにします」
レオンがここぞとばかりに母親の手を取り
「そうよそうよ。王子様な義弟なんて素敵すぎる」
ハナクソまでもがその手をつかみ、
「まあ、反対する要因はないか」
いつのまにか父親までも了承しようとしている。
「では、サインを…」
すかさずレオンが婚姻届を取り出して、
「ちょっと待て。一番肝心なオレの同意がないだろ!?」
慌てて止めた。
「アイは俺以外、考えられないだろ?俺と一緒で」
レオンが何をいまさらという顔で俺を見てくる。
いや、だってオレ、一言もイイって言ってないし。
「レオンさ。二人でちゃんと話そうぜ?」
「ふっ、早く二人になりたいわけか」
ちげーよ。
「ではこの届は二人で決めて出してきます。挙式や新居など、これからさまざま、ご相談に伺いますので今後ともよろしくお願いします」
レオンが丁寧に頭を下げるとやっと席を立った。
やれやれ。団地の皆さん、ご迷惑おかけしました。
「レオン送ってくるわ」
レオンが玄関を出て、オレがレオンについて出ようとすると、
「アイ!あんな将来有望で素敵な人、逃すんじゃないよ」
「うかうかしてると捨てられるから、早くやることやっちゃいなさいよ」
サイテーなハナクソ母子がまたもおかしな発言をかます。
「あのさ、オレにはリツキがいるんだよ」
あの優しくていい匂いで食べたいくらい可愛らしかったレオちゃんが王子になって帰ってきたとしても。
なんつーか。
「…なんでアイ!?」
って感じだよな。
「レオン、昔この近所に住んでて、オレと同じなかよし保育園に通ってたっつーんだけど、覚えてる?」
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「あ!」
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「レオちゃんっ」
何やら思い当ったらしい。
「お人形さんみたいに可愛らしい1歳上のレオちゃん。アイがレオちゃんは優しいから大好きってなついてたわ~」
…レオちゃん。
肩までの長い髪がサラサラ揺れて。
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「お前、女の子じゃなかった!?」
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「え、あれがお前?」
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「はい。必ず幸せにします」
レオンがここぞとばかりに母親の手を取り
「そうよそうよ。王子様な義弟なんて素敵すぎる」
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「まあ、反対する要因はないか」
いつのまにか父親までも了承しようとしている。
「では、サインを…」
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「ちょっと待て。一番肝心なオレの同意がないだろ!?」
慌てて止めた。
「アイは俺以外、考えられないだろ?俺と一緒で」
レオンが何をいまさらという顔で俺を見てくる。
いや、だってオレ、一言もイイって言ってないし。
「レオンさ。二人でちゃんと話そうぜ?」
「ふっ、早く二人になりたいわけか」
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「ではこの届は二人で決めて出してきます。挙式や新居など、これからさまざま、ご相談に伺いますので今後ともよろしくお願いします」
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やれやれ。団地の皆さん、ご迷惑おかけしました。
「レオン送ってくるわ」
レオンが玄関を出て、オレがレオンについて出ようとすると、
「アイ!あんな将来有望で素敵な人、逃すんじゃないよ」
「うかうかしてると捨てられるから、早くやることやっちゃいなさいよ」
サイテーなハナクソ母子がまたもおかしな発言をかます。
「あのさ、オレにはリツキがいるんだよ」
あの優しくていい匂いで食べたいくらい可愛らしかったレオちゃんが王子になって帰ってきたとしても。
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