【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

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「お父上、お母上、姉上。挨拶が遅くなって申し訳ありませんでした」

レオンが狭い団地の上がり口で三つ指をついて頭を下げる。

「ワタクシ、桐野レオン、本日、古町アイさんをお迎えに上がりました」

や。
どうにも時代がかってておかしいから。

しかし、無害を絵に描いたような父親はともかく、ハナクソ母子ですらチラリとも笑わない。
驚きを通り越して、正座を始める始末だ。

「ハ、ハロー、ナイストゥミートユゥ、…」

チラチラとレオンをうかがいながら話す、ハナクソなけなしの英語が虚しく響く。

落ち着け。
レオンはバリバリ日本語話してるだろ。

「とりあえず、入れよ」

レオンを居間に通すと、

「王子様…」

あからさまに目をハートにしたハナクソがレオンの隣に張り付いた。
わかりやすいな、おい。

「ワタクシ、アイの姉のハナです。趣味は琴です」

なんか、ハナクソ、前もそんなこと言ってなかった?
だから、この狭い団地のどこら辺に琴が!?

「姉上。以後末永くお付き合いをお願いします」

レオンが王子スマイルをかますと、ハナクソのくせに頬を染めてみたりして、

「お、…お付き合い…っ」

幸せな妄想を始めたクサい。

「レオンはさ、今日からオレのクラスメイトになったんだけど、友だちん家に来たことないっていうから遊びに来たの。まあ、それだけ」

ハナクソが若干心配なところではあるけど、話がおかしくなる前にちゃんと言っとかないと!

「アイ。ご家族にはきちんと話さないと!」

レオンがきりっとした目でオレを制すけど、なんかややこしいことになりそうだし、団地の前に停まってるロールスロイスは住民の目に毒だし。

「今日は入籍のお願いをしにきたのです。お許しいただければ、今すぐにでもアイと結婚します」

「入籍?」
「アイが!?」
「け、結婚??」

レオンさぁ、…物には順序ってもんがあるだろ。
オレがせっかくさりげなくやり過ごそうとしたのに、レオンは一切無視して妙にきっぱり宣言する。

当然ながら、ハナクソ母子も無害父も話に着いて行けるはずがなく。

「俺、…私とアイは、幼少期に将来を固く誓い合いました。私は今日で18歳になり、法的に婚姻を認められる年齢になりました。今日まで、アイを迎えに来るために、学業を修了し、仕事を軌道に乗せ、収入を安定させました。…」

レオンが何やら書類を取り出して、会社の説明をしている。
が、オレと同様、家族も詳しいことはさっぱりだ。

ただ何となく、会社がデカくて調子よくいってることは伝わってくる。
まあ、ロールスロイスだしな。
何事かって感じだよな。座り心地いいけど。
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