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hage.82
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始まってしまった2学期初日。
マジでやる気がでなくて机に突っ伏していたら
「キャー、転校生よ~」
「金髪碧眼」
「かっこいい~」
「リアル王子~」
なんか、女子が騒がしい。
「あ~、静かに。転校生の桐野レオンくんだ。親御さんの仕事の都合でカナダに住んでいたんだが、幼少期は日本で過ごしていたそうだ。日本語にも日本にも慣れているから、…」
担任のオギノが何か言ってるから、のろのろ顔を上げると、ばっちり目が合った。
すげー、マジでおとぎ話の王子そのもの。金髪碧眼で超絶美形、…
「…アイっ!!」
え。なに、王子、その笑顔。
「迎えに来たよ。結婚しよう!」
はぁぁぁぁ!?
クラス中の視線が集中する中で、王子は颯爽とオレに近づき、有無を言わせず、抱き上げて、
「おい、なにす、…っ」
強引に口づけやがった。
「アイってば、そんな照れなくても…」
「てめー、レオン。1ミリたりともオレに近づくんじゃねー!」
「イイじゃん、キスくらい。俺たち結婚するんだから」
桐野レオンは、昔オレの団地近くに住んでいて、同じなかよし保育園に通っていたらしい。
レオン曰く、そこで固く将来を誓い合ったとか言うんだけど、そんなうさんくささ全開な話、まるで身に覚えがねー。
「別れる時、誓いのキスもしたよ?アイ。アイが泣いちゃってさ。慰めてキスしたの。俺のファーストキス」
おい、エセ王子。てめー、いい加減に、…
「可愛いかったなぁ、アイ。俺が結婚できるようになったら迎えに行くって言ったら、うんうん、って。約束だよって」
「うるせーよ、今すぐその口を閉じろ!このうすらハゲ!」
あ。
興奮のあまり、己のハゲを顧みない暴言をかましてしまった。
ハゲ増殖中なのに…
「アイちゃん、口悪くなったね…」
「お前が変なことばっかほざくからだろ!」
なんだよ、レオン。
オレはリツキと将来を固く誓い合って、…ねーけど。
「あのね、レオンくん。アイにはね、リツキくんっていう理想的な彼氏がいるんだよ?」
チナツがオレの代わりに物申してくれる。
レオンの暴走で、ウチのクラスだけ妙な盛り上がりを見せている。
HRはとっくに終わったのに誰も帰る気がないらしく、クラスメイト達はレオンを囲んで耳をそばだてている。
「…リツキ?」
ピク。
あからさまに、レオンのこめかみがひきつった。
「本多リツキか!?忘れもしない、俺とアイの小さな恋のメロディをことごとく邪魔してきた、アイツか!?」
王子に似合わない険悪な顔。
意外と腹黒?
ってか、小さな恋のメロディ、て。
「アイツ、まだ俺のアイにちょっかい出してたのか!」
マジでやる気がでなくて机に突っ伏していたら
「キャー、転校生よ~」
「金髪碧眼」
「かっこいい~」
「リアル王子~」
なんか、女子が騒がしい。
「あ~、静かに。転校生の桐野レオンくんだ。親御さんの仕事の都合でカナダに住んでいたんだが、幼少期は日本で過ごしていたそうだ。日本語にも日本にも慣れているから、…」
担任のオギノが何か言ってるから、のろのろ顔を上げると、ばっちり目が合った。
すげー、マジでおとぎ話の王子そのもの。金髪碧眼で超絶美形、…
「…アイっ!!」
え。なに、王子、その笑顔。
「迎えに来たよ。結婚しよう!」
はぁぁぁぁ!?
クラス中の視線が集中する中で、王子は颯爽とオレに近づき、有無を言わせず、抱き上げて、
「おい、なにす、…っ」
強引に口づけやがった。
「アイってば、そんな照れなくても…」
「てめー、レオン。1ミリたりともオレに近づくんじゃねー!」
「イイじゃん、キスくらい。俺たち結婚するんだから」
桐野レオンは、昔オレの団地近くに住んでいて、同じなかよし保育園に通っていたらしい。
レオン曰く、そこで固く将来を誓い合ったとか言うんだけど、そんなうさんくささ全開な話、まるで身に覚えがねー。
「別れる時、誓いのキスもしたよ?アイ。アイが泣いちゃってさ。慰めてキスしたの。俺のファーストキス」
おい、エセ王子。てめー、いい加減に、…
「可愛いかったなぁ、アイ。俺が結婚できるようになったら迎えに行くって言ったら、うんうん、って。約束だよって」
「うるせーよ、今すぐその口を閉じろ!このうすらハゲ!」
あ。
興奮のあまり、己のハゲを顧みない暴言をかましてしまった。
ハゲ増殖中なのに…
「アイちゃん、口悪くなったね…」
「お前が変なことばっかほざくからだろ!」
なんだよ、レオン。
オレはリツキと将来を固く誓い合って、…ねーけど。
「あのね、レオンくん。アイにはね、リツキくんっていう理想的な彼氏がいるんだよ?」
チナツがオレの代わりに物申してくれる。
レオンの暴走で、ウチのクラスだけ妙な盛り上がりを見せている。
HRはとっくに終わったのに誰も帰る気がないらしく、クラスメイト達はレオンを囲んで耳をそばだてている。
「…リツキ?」
ピク。
あからさまに、レオンのこめかみがひきつった。
「本多リツキか!?忘れもしない、俺とアイの小さな恋のメロディをことごとく邪魔してきた、アイツか!?」
王子に似合わない険悪な顔。
意外と腹黒?
ってか、小さな恋のメロディ、て。
「アイツ、まだ俺のアイにちょっかい出してたのか!」
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