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hage.79
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オレが涙と鼻水に格闘している間、リツキは、オレの髪をなでながら、あやすように背中をさすっていた。
リツキの腕の中。
オレが1番安心できる場所。
あったかくて優しくて心地いい。
リツキなんて、クソ意地悪くて、チャラチャラしてんのがむかついて、ちょっかい出してくんのがうざったくて、コイツにだけはぜってー負けねーとか、思ってたのに。
なんで、この腕が、こんなに大切なんだ。
いつの間にオレ、この腕に守られてたんだろう。
でも。オレだって。
リツキのこと、守りたい。
リツキの夢も可能性も、全部守りたい。
「う、…ぬぼれてんじゃ、ねーよ。
お前に会えなくても、別に、オレは、…全然余裕だし、よ」
誰かオレの鼻水を止めてくれ。
この説得力のなさすぎる涙声を何とかしてくれ。
「そうだな」
リツキが優しく笑ってオレをのぞきこみ、ブラウスの袖でオレの涙を拭く。
「…耐えられないのは、俺だな。
お前に1年も触れないのは、…ちょっと、キツイな」
リツキの瞳が揺れている。
いつも偉そうにオレを見ているリツキが、なんか心もとなく感じる。
リツキがかすれた空気のような声を漏らして、オレの肩に頭を乗せた。
こんな弱ったリツキ、初めて見るかもしんねー。
びっくりして涙もとまる。
「リツ」
今度はオレがリツキを抱きしめた。
「オ、…オレのハゲ写真、送ってやってもイイぞ」
リツキの顔を両手ではさんで、言い聞かせる。
「ひっ、…秘密の写真だぞっ」
オレだって、リツキが大事だから。
いつだってリツキを応援してーんだ!
リツキはあっけにとられた顔でオレを見てから、
ふっ、てすげー優しく笑うと、
「…愛してる」
なんでそんな甘い展開になったんだかさっぱりなんだけど、唐突に直球で愛の言葉をささやいて、
…触れるだけの優しい優しいキスをした。
リツキの腕の中。
オレが1番安心できる場所。
あったかくて優しくて心地いい。
リツキなんて、クソ意地悪くて、チャラチャラしてんのがむかついて、ちょっかい出してくんのがうざったくて、コイツにだけはぜってー負けねーとか、思ってたのに。
なんで、この腕が、こんなに大切なんだ。
いつの間にオレ、この腕に守られてたんだろう。
でも。オレだって。
リツキのこと、守りたい。
リツキの夢も可能性も、全部守りたい。
「う、…ぬぼれてんじゃ、ねーよ。
お前に会えなくても、別に、オレは、…全然余裕だし、よ」
誰かオレの鼻水を止めてくれ。
この説得力のなさすぎる涙声を何とかしてくれ。
「そうだな」
リツキが優しく笑ってオレをのぞきこみ、ブラウスの袖でオレの涙を拭く。
「…耐えられないのは、俺だな。
お前に1年も触れないのは、…ちょっと、キツイな」
リツキの瞳が揺れている。
いつも偉そうにオレを見ているリツキが、なんか心もとなく感じる。
リツキがかすれた空気のような声を漏らして、オレの肩に頭を乗せた。
こんな弱ったリツキ、初めて見るかもしんねー。
びっくりして涙もとまる。
「リツ」
今度はオレがリツキを抱きしめた。
「オ、…オレのハゲ写真、送ってやってもイイぞ」
リツキの顔を両手ではさんで、言い聞かせる。
「ひっ、…秘密の写真だぞっ」
オレだって、リツキが大事だから。
いつだってリツキを応援してーんだ!
リツキはあっけにとられた顔でオレを見てから、
ふっ、てすげー優しく笑うと、
「…愛してる」
なんでそんな甘い展開になったんだかさっぱりなんだけど、唐突に直球で愛の言葉をささやいて、
…触れるだけの優しい優しいキスをした。
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