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hage.75
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…冷て。
冷たい水が喉に流れ込んできて、夢中で飲んだ。
もう1ミリも、1ミクロンも動けねー。
小指一つ、動かせる気がしねー。
「…アイ」
口移しで水を飲ませてくるリツキに抵抗する気力もねー。
「アイ」
リツキがオレを抱き寄せて、頭をなで、
「…フロ入ったら、もっかいしような」
額に口付けた。
バカじゃね?
こいつ、マジでバカじゃね?
「ぜってー、ヤダ」
もはやリツキを見る元気もねー。
新聞部とかオレのこと言いたい放題だったけど、…
「お前がサルじゃね?」
間違いねーな。エロサルリツキ。
「は? うるせーよっ、樋口からのメールを見た時の、俺の気持ちが、わかってたまるか!」
キレ気味に吠えるリツキが、オレを抱きしめる腕に力を込めた。
押しつぶされそうなほど、強く。
ヒグチ…
「そういや、オレ、ヒグチと居たような気がすんだけど?なんでお前とこんなことになってんの?」
聞いたとたん、ピキピキ音が聞こえてきそうな勢いで、リツキのこめかみが脈打った。
「お前のスマホで、樋口が俺にメールしてきた。…ハゲがバスローブで豪快に寝てる写真付き」
言って、またもや怒りがよみがえったのか、リツキが悪態をつく。
「お前、マジでいい加減にしろよ?オトコとラブホで酒飲んで、なんもないわけねーだろっ!?」
もはやひねり潰そうとしているとしか思えない強さで、リツキがオレを締め上げる。
…苦しい。
酒なんか飲んだっけ?
「…ヒグチは?」
「帰った。オレにタクシー代とココの支払いを命じて」
苦虫を噛み潰したような、すげームッツリしたリツキの声。
『大丈夫だよ。…俺、優しいから』
オレ、ヒグチにわりーことしたな。
「お前、樋口とヤるつもりだったんじゃねえだろうな?」
言い逃れを許さない勢いでリツキがオレを、鋭く睨み下ろす。
「…知らね」
リツキが、オレのこと、もういらないって、…
やべー、記憶がよみがえってきたら、感情もよみがえってきて、声が震えた。
「おっ、前なぁ!!そんなの絶対許さねえぞ!?」
リツキが感情むき出しでオレをベッドに押し付けて、…
「…アイ?」
オレの涙に気づいたらしく、力をゆるめてオレをのぞきこんだ。
「なんでか、言え」
言ったら、確実に涙が落ちる。
オレ、多分、目の周りがすげーことになってる。
「アイ?…言って?」
リツキが目尻に優しく口付けて、オレの髪を指で梳く。
「…アイ?」
リツキはずるい。
そんな優しい顔して、まぶたにも頬にも鼻にもキスして、…
オレが抵抗出来ないって分かってる。
「お前が…っ」
涙が溢れてこめかみを伝う。
「オレとはヤリたくねー、とかっ、…」
リツキから顔を背ける。
クソ、オレはもう「泣いてるオンナノコ」にはなりたくねーのに。
「…アイ」
なのに、リツキがオレの顔を両手ではさんで、
「お前、何、聞いたの?」
オレをリツキに向き直らせる。
「ハセガワと、…部室…っ、…」
嗚咽が込み上げてきて、ダセー。
リツキの視線から逃れたくて、頭をやみくもに振リ回すと、リツキが上からオレを抱きしめた。
「…バカ」
肩にリツキの頭が乗って、柔らかい髪がオレの首筋をくすぐる。
「お前とヤりたくないわけないだろ。…お前を抱いたら、こうなるの、分かってたから」
リツキがオレの涙を舐めながら、低くて甘い声を落とし、
「離せなくなる、って」
また隙間なくぴったりと、オレを抱きしめた。
冷たい水が喉に流れ込んできて、夢中で飲んだ。
もう1ミリも、1ミクロンも動けねー。
小指一つ、動かせる気がしねー。
「…アイ」
口移しで水を飲ませてくるリツキに抵抗する気力もねー。
「アイ」
リツキがオレを抱き寄せて、頭をなで、
「…フロ入ったら、もっかいしような」
額に口付けた。
バカじゃね?
こいつ、マジでバカじゃね?
「ぜってー、ヤダ」
もはやリツキを見る元気もねー。
新聞部とかオレのこと言いたい放題だったけど、…
「お前がサルじゃね?」
間違いねーな。エロサルリツキ。
「は? うるせーよっ、樋口からのメールを見た時の、俺の気持ちが、わかってたまるか!」
キレ気味に吠えるリツキが、オレを抱きしめる腕に力を込めた。
押しつぶされそうなほど、強く。
ヒグチ…
「そういや、オレ、ヒグチと居たような気がすんだけど?なんでお前とこんなことになってんの?」
聞いたとたん、ピキピキ音が聞こえてきそうな勢いで、リツキのこめかみが脈打った。
「お前のスマホで、樋口が俺にメールしてきた。…ハゲがバスローブで豪快に寝てる写真付き」
言って、またもや怒りがよみがえったのか、リツキが悪態をつく。
「お前、マジでいい加減にしろよ?オトコとラブホで酒飲んで、なんもないわけねーだろっ!?」
もはやひねり潰そうとしているとしか思えない強さで、リツキがオレを締め上げる。
…苦しい。
酒なんか飲んだっけ?
「…ヒグチは?」
「帰った。オレにタクシー代とココの支払いを命じて」
苦虫を噛み潰したような、すげームッツリしたリツキの声。
『大丈夫だよ。…俺、優しいから』
オレ、ヒグチにわりーことしたな。
「お前、樋口とヤるつもりだったんじゃねえだろうな?」
言い逃れを許さない勢いでリツキがオレを、鋭く睨み下ろす。
「…知らね」
リツキが、オレのこと、もういらないって、…
やべー、記憶がよみがえってきたら、感情もよみがえってきて、声が震えた。
「おっ、前なぁ!!そんなの絶対許さねえぞ!?」
リツキが感情むき出しでオレをベッドに押し付けて、…
「…アイ?」
オレの涙に気づいたらしく、力をゆるめてオレをのぞきこんだ。
「なんでか、言え」
言ったら、確実に涙が落ちる。
オレ、多分、目の周りがすげーことになってる。
「アイ?…言って?」
リツキが目尻に優しく口付けて、オレの髪を指で梳く。
「…アイ?」
リツキはずるい。
そんな優しい顔して、まぶたにも頬にも鼻にもキスして、…
オレが抵抗出来ないって分かってる。
「お前が…っ」
涙が溢れてこめかみを伝う。
「オレとはヤリたくねー、とかっ、…」
リツキから顔を背ける。
クソ、オレはもう「泣いてるオンナノコ」にはなりたくねーのに。
「…アイ」
なのに、リツキがオレの顔を両手ではさんで、
「お前、何、聞いたの?」
オレをリツキに向き直らせる。
「ハセガワと、…部室…っ、…」
嗚咽が込み上げてきて、ダセー。
リツキの視線から逃れたくて、頭をやみくもに振リ回すと、リツキが上からオレを抱きしめた。
「…バカ」
肩にリツキの頭が乗って、柔らかい髪がオレの首筋をくすぐる。
「お前とヤりたくないわけないだろ。…お前を抱いたら、こうなるの、分かってたから」
リツキがオレの涙を舐めながら、低くて甘い声を落とし、
「離せなくなる、って」
また隙間なくぴったりと、オレを抱きしめた。
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