【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

remo

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…暑い。

なんかすげー熱いもんにがんじがらめにされていて、身じろぎすると、逃がさないと言わんばかりにがっちり拘束を固められた。

…暑ちーよ。

拘束を解こうと身体をひねり、

…暑いっつってんだろっ

勢い良く頭を上げると、

「痛てーな、うすらハゲ!」

アゴにクリーンヒットしたらしく、鬼の形相でリツキが睨みおろしてきた。

いや。痛てーのはオレだし。
ってか、…あれ?

「…リツ? お前、なんでいんの?」

「は!? 覚えてねーのか、このうすらトンカチ!」

もはや形相ではなく、鬼そのもののリツキがオレを組み敷いて、身体全体で圧力をかける。

「え?…ってか、…え?」

百歩譲ってオレはハゲだけど、トンカチではない。
じゃなくてっ!

「…怒りがよみがえってきた。とりあえず、もっかい抱かせろ」

何、その最低な発言!?

鬼のリツキが、びっくりするくらい優しいキスをして、あっという間に流されそうになるんだけど、

…ここ、どこだし!?

リツキの向こうに見覚えのない天井が見えて、そういや、今寝てるベッドも初めて見る。

「ちょっ、…」

なんとかリツキを押しのけようとするのに、リツキの熱い舌がオレを甘く溶かして、ぴったり触れる肌と肌がどんどんオレを火照らせて、…

ってか、マッパじゃね?
なんか、オレらマッパでベッドって、これって、これって、…

死ぬほど焦ってるのに、オレの身体はリツキに馴らされていて、ヤツが触れる一つ一つに、敏感に、従順に応える。

「リツ…っ」

勝手に跳ね上がって快感に震える身体に、怖くなって溜まった涙を、当たり前みたいにリツキが舌で拭う。

「アイ。大丈夫だから」

オレの目を至近距離からリツキのきれいな瞳が見つめている。

リツキの揺れる瞳にオレが映っていて、
多分この瞬間は、世界中の誰よりもオレが一番リツキのそばにいるって思った。

「アイ…っ」

こんな風に愛おしいみたいに名前を呼ばれて、自分が何か、かけがえのない特別なものになったみたいに感じる。

だから。

「アイ…っ、アイ…っ」

身体の奥から沸き起こる愛しさと切なさの入り混じった優しい気持ちで、全力でリツキを抱きしめた。

リツキに揺らされて、何度も何度も昇りつめて、自分の原型はもうどこにもないんじゃないかと思うくらい溶け合った。
オレの中には、多分もうリツキしかいない。

「リツ…っ」

それでもいいと思うくらい、頭も身体も何もかもが、至福にとろけた。

リツキがリツキの全てで、オレを抱きしめている。
なんかオレ、さっきまでも、こんな幸せな夢を見ていたような気がする…
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