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hage.71
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りっくん改め本多くん、って…、切り替え、早えな。
「ふふふ、コマちゃんたら、可愛い頭にしちゃって。頑張ってね」
今どき完璧なウインクを投げてよこすと、
「じゃ、行きましょ、シュンくん」
カワシマはタカヤと腕を組む、が。
「離して下さい」
タカヤはそっけなくそれを振りほどき、
「本多に振られたからって俺に来るのやめてもらえます?迷惑です」
冷酷に告げた。教室内の空気が一気に固まる。
こえーな、タカヤ。
「もお、シュンくんたら、冷たい~~~」
なのに、カワシマは嬉しそうだ。
「俺はコマチが好きなんですって何回言ったらわかるんですか?」
おい、タカヤ、わざわざオレのクラスで吹聴するなって!
「…チッ、お茶漬けが」
とたんにカワシマが親の仇を見るような目をオレに向けて、
「夏休み明けの実力テストで決着をつけるわよ!」
お決まりポーズでオレを指さす。
…オレ今、それどころじゃねんだけど。
「アイ?大丈夫?一緒に待ってようか?」
今日でやっとテストが終わり、久しぶりに部活で汗を流すと、ようやく気分が上向いてきた。
リツキの強化練習も終わり、ヤツも部活だったから、終わって出てくるのを待つことにした。
「余裕だぜ。ここで逃げたらモテ系ボブが泣くからな!」
結局、なんで怒ってんだか分からないから、本人に聞くしかない。
…リツキに見捨てられたくない。
「うん。じゃあ頑張って、アイ」
ひらひら手を振って、チナツは校門で待っているタケダのところに駆けていく。
なんだかんだ、マメだな、タケダ。
でも。
客観的に見てみると、毎朝迎えに来て、ほぼ一緒に帰っていたリツキもマメなのかもしれない。
オレはリツキにやってもらうばかりだったのかもしれない。
…また、手をつないで帰りたい。
うお、オレ、オトメじゃん。てか、もはやキモい?
男子サッカー部が続々帰ってくるのに、リツキが部室から出てこねー。
様子をうかがいに部室の前に移動すると、
「…いい加減にしろよ?アイが傷ついてんのわかってんだろ?」
まぎれもなく、オレの名前が聞こえて。
「…わかってるよ。俺だって考えてるんだ」
…リツキの、声がした。
思わず足を止めて聞き耳を立ててしまう卑怯なオレ。
「考える必要、なんもねーじゃん。お前ら、溺愛カップルなんだし、さっさとヤッてやれって」
ハセガワ。何、勧めてんだ!照れるだろ。
オレがいくらハゲだからって、そそそ、そんなはっきり言ってくれちゃったりしちゃったり…
思わず顔に集まった血は、
「俺、アイとは…」
リツキの低い一言で、
「アイのことは、正直抱きたくない、…」
完全に凍り付いた。
これって。人の話盗み聞きした、罰、…なのか。
「ふふふ、コマちゃんたら、可愛い頭にしちゃって。頑張ってね」
今どき完璧なウインクを投げてよこすと、
「じゃ、行きましょ、シュンくん」
カワシマはタカヤと腕を組む、が。
「離して下さい」
タカヤはそっけなくそれを振りほどき、
「本多に振られたからって俺に来るのやめてもらえます?迷惑です」
冷酷に告げた。教室内の空気が一気に固まる。
こえーな、タカヤ。
「もお、シュンくんたら、冷たい~~~」
なのに、カワシマは嬉しそうだ。
「俺はコマチが好きなんですって何回言ったらわかるんですか?」
おい、タカヤ、わざわざオレのクラスで吹聴するなって!
「…チッ、お茶漬けが」
とたんにカワシマが親の仇を見るような目をオレに向けて、
「夏休み明けの実力テストで決着をつけるわよ!」
お決まりポーズでオレを指さす。
…オレ今、それどころじゃねんだけど。
「アイ?大丈夫?一緒に待ってようか?」
今日でやっとテストが終わり、久しぶりに部活で汗を流すと、ようやく気分が上向いてきた。
リツキの強化練習も終わり、ヤツも部活だったから、終わって出てくるのを待つことにした。
「余裕だぜ。ここで逃げたらモテ系ボブが泣くからな!」
結局、なんで怒ってんだか分からないから、本人に聞くしかない。
…リツキに見捨てられたくない。
「うん。じゃあ頑張って、アイ」
ひらひら手を振って、チナツは校門で待っているタケダのところに駆けていく。
なんだかんだ、マメだな、タケダ。
でも。
客観的に見てみると、毎朝迎えに来て、ほぼ一緒に帰っていたリツキもマメなのかもしれない。
オレはリツキにやってもらうばかりだったのかもしれない。
…また、手をつないで帰りたい。
うお、オレ、オトメじゃん。てか、もはやキモい?
男子サッカー部が続々帰ってくるのに、リツキが部室から出てこねー。
様子をうかがいに部室の前に移動すると、
「…いい加減にしろよ?アイが傷ついてんのわかってんだろ?」
まぎれもなく、オレの名前が聞こえて。
「…わかってるよ。俺だって考えてるんだ」
…リツキの、声がした。
思わず足を止めて聞き耳を立ててしまう卑怯なオレ。
「考える必要、なんもねーじゃん。お前ら、溺愛カップルなんだし、さっさとヤッてやれって」
ハセガワ。何、勧めてんだ!照れるだろ。
オレがいくらハゲだからって、そそそ、そんなはっきり言ってくれちゃったりしちゃったり…
思わず顔に集まった血は、
「俺、アイとは…」
リツキの低い一言で、
「アイのことは、正直抱きたくない、…」
完全に凍り付いた。
これって。人の話盗み聞きした、罰、…なのか。
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