【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

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「お~っほっほっほ」

テストを回収したカワシマが高笑いで教室を出て行く。

「カワシマ、キャラ崩壊してない?」
「オバ度、絶好調じゃん」

クラスの女子らがささやき合う声も、もはや耳に入らないらしい。

「アイ~、大丈夫?出来なかったの?」

机に突っ伏しているオレを心配してチナツが声をかけてくれるけど、顔を上げる気力もねー。

あのカワシマの高笑いが全てを物語っている。
…全然出来なかった。
オレ、マジで、…ふさわしくないかも。

リツキからニシモトの匂いがした。

ニシモトみたいに真っ白でふわふわして可愛くてオンナノコらしい子が、「本多リツキ」にはふさわしいのかも。

果てしなく沈んでいたら、髪を引っ張られた。

「痛てーしっ」

こんな人でなしはリツキしかいねー。

「何、賭けたか、吐け」

リツキがオレの髪をつかんだまま、のぞきこんでくる。

なんか、ちけーし。
離れようと思うけど、髪を人質に取られていて動けねー。

「どうせ川嶋としょーもない勝負してんだろ。話つけてやるから」

リツキの目が呆れたようにオレを見ている。
ほんの少し、心配そうに揺れながら。

「…い、…いい」
「あ?」

ここでリツキに頼ったら、オレ、ますます最低じゃん。

「自分でやる」

リツキを見ないままで言ったオレに、

「あ、そ」

リツキが怒るのが分かるけど、でも、せめてオレだって…

リツキがオレの頬に手を当てて、否応なしにリツキに向き合わせた。

「な、…ん~っ?」

と思ったら、有無を言わせず唇をふさがれた。

教室でナニすんだし~~~~~っ!!

教室の時間が止まったかのように静まり返ったのがわかる。

こんな公然わいせつ、逮捕だろ!

と思うのに、オレに触れるリツキの唇が甘くて優しくて、胸が痛い。

「…あー、えー…」

ハゲヤマの咳ばらいが静けさを破った。

「国語のテスト、始めてもいいかな」

ハゲヤマの恥じらうような声に、完全に固まっていたクラスメイトたちが、一斉にギクシャク動き出した。

めちゃクソ注目されてんじゃんかっ!

「…バーカ」

捨て台詞を吐いてリツキが去っていく。

バカはお前だろーっ

再び机に突っ伏したオレに、国語のテストなんか解けるわけねー。
つーか、もう、一生顔を上げたくねー。

「…ひゅ、…ひゅーひゅー」

どう考えても外しまくりのハゲヤマの冷やかしが寒い。

リツキのバカ。
ニシモトの香り、させてんじゃねー、…よ。
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