55 / 118
hage.55
しおりを挟む
「お~っほっほっほ」
テストを回収したカワシマが高笑いで教室を出て行く。
「カワシマ、キャラ崩壊してない?」
「オバ度、絶好調じゃん」
クラスの女子らがささやき合う声も、もはや耳に入らないらしい。
「アイ~、大丈夫?出来なかったの?」
机に突っ伏しているオレを心配してチナツが声をかけてくれるけど、顔を上げる気力もねー。
あのカワシマの高笑いが全てを物語っている。
…全然出来なかった。
オレ、マジで、…ふさわしくないかも。
リツキからニシモトの匂いがした。
ニシモトみたいに真っ白でふわふわして可愛くてオンナノコらしい子が、「本多リツキ」にはふさわしいのかも。
果てしなく沈んでいたら、髪を引っ張られた。
「痛てーしっ」
こんな人でなしはリツキしかいねー。
「何、賭けたか、吐け」
リツキがオレの髪をつかんだまま、のぞきこんでくる。
なんか、ちけーし。
離れようと思うけど、髪を人質に取られていて動けねー。
「どうせ川嶋としょーもない勝負してんだろ。話つけてやるから」
リツキの目が呆れたようにオレを見ている。
ほんの少し、心配そうに揺れながら。
「…い、…いい」
「あ?」
ここでリツキに頼ったら、オレ、ますます最低じゃん。
「自分でやる」
リツキを見ないままで言ったオレに、
「あ、そ」
リツキが怒るのが分かるけど、でも、せめてオレだって…
リツキがオレの頬に手を当てて、否応なしにリツキに向き合わせた。
「な、…ん~っ?」
と思ったら、有無を言わせず唇をふさがれた。
教室でナニすんだし~~~~~っ!!
教室の時間が止まったかのように静まり返ったのがわかる。
こんな公然わいせつ、逮捕だろ!
と思うのに、オレに触れるリツキの唇が甘くて優しくて、胸が痛い。
「…あー、えー…」
ハゲヤマの咳ばらいが静けさを破った。
「国語のテスト、始めてもいいかな」
ハゲヤマの恥じらうような声に、完全に固まっていたクラスメイトたちが、一斉にギクシャク動き出した。
めちゃクソ注目されてんじゃんかっ!
「…バーカ」
捨て台詞を吐いてリツキが去っていく。
バカはお前だろーっ
再び机に突っ伏したオレに、国語のテストなんか解けるわけねー。
つーか、もう、一生顔を上げたくねー。
「…ひゅ、…ひゅーひゅー」
どう考えても外しまくりのハゲヤマの冷やかしが寒い。
リツキのバカ。
ニシモトの香り、させてんじゃねー、…よ。
テストを回収したカワシマが高笑いで教室を出て行く。
「カワシマ、キャラ崩壊してない?」
「オバ度、絶好調じゃん」
クラスの女子らがささやき合う声も、もはや耳に入らないらしい。
「アイ~、大丈夫?出来なかったの?」
机に突っ伏しているオレを心配してチナツが声をかけてくれるけど、顔を上げる気力もねー。
あのカワシマの高笑いが全てを物語っている。
…全然出来なかった。
オレ、マジで、…ふさわしくないかも。
リツキからニシモトの匂いがした。
ニシモトみたいに真っ白でふわふわして可愛くてオンナノコらしい子が、「本多リツキ」にはふさわしいのかも。
果てしなく沈んでいたら、髪を引っ張られた。
「痛てーしっ」
こんな人でなしはリツキしかいねー。
「何、賭けたか、吐け」
リツキがオレの髪をつかんだまま、のぞきこんでくる。
なんか、ちけーし。
離れようと思うけど、髪を人質に取られていて動けねー。
「どうせ川嶋としょーもない勝負してんだろ。話つけてやるから」
リツキの目が呆れたようにオレを見ている。
ほんの少し、心配そうに揺れながら。
「…い、…いい」
「あ?」
ここでリツキに頼ったら、オレ、ますます最低じゃん。
「自分でやる」
リツキを見ないままで言ったオレに、
「あ、そ」
リツキが怒るのが分かるけど、でも、せめてオレだって…
リツキがオレの頬に手を当てて、否応なしにリツキに向き合わせた。
「な、…ん~っ?」
と思ったら、有無を言わせず唇をふさがれた。
教室でナニすんだし~~~~~っ!!
教室の時間が止まったかのように静まり返ったのがわかる。
こんな公然わいせつ、逮捕だろ!
と思うのに、オレに触れるリツキの唇が甘くて優しくて、胸が痛い。
「…あー、えー…」
ハゲヤマの咳ばらいが静けさを破った。
「国語のテスト、始めてもいいかな」
ハゲヤマの恥じらうような声に、完全に固まっていたクラスメイトたちが、一斉にギクシャク動き出した。
めちゃクソ注目されてんじゃんかっ!
「…バーカ」
捨て台詞を吐いてリツキが去っていく。
バカはお前だろーっ
再び机に突っ伏したオレに、国語のテストなんか解けるわけねー。
つーか、もう、一生顔を上げたくねー。
「…ひゅ、…ひゅーひゅー」
どう考えても外しまくりのハゲヤマの冷やかしが寒い。
リツキのバカ。
ニシモトの香り、させてんじゃねー、…よ。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
アネモネをきみに
雨月黛狼
青春
耳が聴こえない男の子と目が見えない女の子はどうやって思いを伝えあうか
桜並木を音無く歩く。
耳が聴こえない主人公の水瀬歩は夕陽が照らすひとつの高級車に目が留まった。
スモークガラスで中が見えない中、突然、ドアが開く。
不思議な少女を前にする。
希望や絶望、喜怒哀楽を感じられない瞳に歩は惹かれた。
その虚無に恋をした。
コミュニケーションを取ろうとするが、一向に伝わらない。
彼女は盲目だった。
手話やボディランゲージでしかコミュニケーションを取ることしかできない歩は思いを伝えられず、そのまま少女は去って行ってしまった。
新学期が始まると、転校生としてその少女がやってきた。
再びコミュニケーションを取ろうとするが、かえって警戒され拒絶されてしまう。
絶望の最中ーー少女とコミュニケーションを取る方法を見つける。
コミュニケーションを通してお互いのことを理解し、共感し、ともに挑戦し体験する。
お互いの気持ちが強まる一方で、ある事件が起こる。
聴こえない、見えない。
それでも気持ちを伝えるにはどうすればいいか。
歩は模索し、少女に想いを伝える。
耳が聴こえない主人公と目が見えないヒロインとの人間ドラマを書かせていただきました。
扱う題材が非常にセンシティブで人によっては敬遠するような内容、及び、私に対して不信感を得る方もいらっしゃると思います。
事実、私は耳が聴こえて、目も見えます。実際の方々の気持ちは共感することはできません。
しかし、私も抱えているものがあり、だからこそ、他人に理解してほしい、共感してほしいという気持ちが理解できます。
理解できないこと、共感できないことがあるのは事実です。しかし、重要なのは理解しようとする気持ちだと思っております。
その理解したいという「思い」を伝えるため、「思いを伝える」というテーマで書かせていただきました。
テーマ自体はとてもシンプルなものです。シンプルだからこそ見落としがちなものです。
この作品を通して、私の伝えたい思い、そして甘い青春模様をお楽しみください。
よろしくお願いいたします。
雨月黛狼
無敵のイエスマン
春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
【完結】僕は君を思い出すことができない
朱村びすりん
青春
「久しぶり!」
高校の入学式当日。隣の席に座る見知らぬ女子に、突然声をかけられた。
どうして君は、僕のことを覚えているの……?
心の中で、たしかに残り続ける幼い頃の思い出。君たちと交わした、大切な約束。海のような、美しいメロディ。
思い出を取り戻すのか。生きることを選ぶのか。迷う必要なんてないはずなのに。
僕はその答えに、悩んでしまっていた──
「いま」を懸命に生きる、少年少女の青春ストーリー。
■素敵なイラストはみつ葉さまにかいていただきました! ありがとうございます!

Lavender うっかり手に取ったノート
あおみなみ
青春
朱夏(あけなつ)学院中等部。
3年生の十三沢学(とみさわ・がく)は、部活の練習中にけがを負い、治療後も意気消沈したままバドミントン部を退部する。
その後放課後の空いた時間に図書室通いを始めるようになるが、司書の松喜(まつき)から、図書室の常連である原口友香(はらぐち・ともか)の忘れ物を彼女に渡すように頼まれる。
A5サイズの日記帳のようなノートで、松喜からは「中を読まないように」と釘をさされたが、好奇心からつい開いてしまう学。そこに書かれていたのは、痛々しい原口の心の叫びの数々だった。

聖なる夜に、愛を___
美鳥羽
青春
12月24日、クリスマスイブの夜に生まれたことから名付けられた、川上聖夜(かわかみせいや)は、中2の春、転校した。
生まれつき、スポーツ万能で、運動神経や筋肉、持久力、五感が優れている。
それと引き換えなのか、生まれつき人と違う部分があった___。
それが原因で、本当は大好きな体育の授業に、出られなくなってしまった____。

俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?

性別多様性
夢遊 優
青春
性別が2種類という「常識」
しかし、それは本当なのでしょうか…。
そして迎えた西暦3000年。年号は「SX」1年となりました。
その年の一月一日生まれの「女体の子」
(夢町一番[ゆめまちいちは])と、その仲間達の物語が、
今、始まります。
「性別多様性」とは、いったい何なのか?
15歳になった一番(いちは)が語る、子供たちの物語です。
皆さんもぜひ、非現実をご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる