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hage.47
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「ニャッ!」
「痛って!」
ハゲを猫に引っかかれてリツキの舌を噛みそうになる。
「てめー、何すんだ!」
チビ猫はリツキの手にすり寄って、独占欲丸出しな視線でオレをねめつける。
コイツ、…ぜってーメスだろう!
「あ、…のぅ」
遠慮深げな声が背後からして、急いで振り向くと、茂みから出てきた女子生徒が顔を赤らめながらオレとリツキを見ていた。
うお、コイツの存在をすっかり忘れていた!
「あたし、猫ちゃん、保健室に連れて行きましょうか」
「ああ。俺も行くよ。ヒメが心配だし」
どこでキスシーンを繰り広げようと何の動揺も見せないリツキはさすが筋金入りのハレンチやろーだ。
「ふふ。ヒメってこの子の名前ですか」
女子生徒がはにかみながら、リツキに近づき、チビ猫の頭を優しくなでた。
大人しくされるがままのチビ猫。
お前、さっきと態度が違くねーか!?
だいたい、なんでオレはハゲで、このチビ猫がヒメなんだ!
チビ猫の妙に自信たっぷりな態度がオレの神経を逆なでする。
「お前も来る?」
オレとチビ猫が火花を散らしていると、急にリツキがオレをのぞき込んできた。
わ。オレ、リツキにひっついたままじゃん!
「…おー、まあ、行ってやってもいいぜ」
慌ててリツキから離れて何気なさを装った。
あんな、もろにライバル視してくるチビ猫をリツキと二人っきりにさせてたまるか。
「でも、授業中に行ったら怒られちゃいますかね?」
あ、こいつもいたんだっけ。
保健室へ向かって歩き出しながら、何気なく女子生徒の様子をうかがう。
見たことないし、態度や言葉遣いから察するに多分1年生だろうけど、
なんつーか、…可愛い子だな。
色が白くて頬がピンク色で目が大きくて髪の毛がふわふわしている。
「あの、初めまして。1-Aの西本ミクです」
オレの視線に気づいたらしい西本ミクが可愛らしい笑顔を浮かべる。
「あ、どうも。2年の古町、…」
「はい、知ってます。アイ先輩。リツキ先輩の彼女の座を射止めたという」
…射止めた。
もはやこの際いいんだけど、あれは「強制された」が正しいんじゃないだろうか。
西本ミクは他のあらゆる女子と同じく、リツキの見てくれに騙されていると思われる。
「なんだよ」
「ニャ!」
チラ見していたオレに気づいたリツキが、オレのちょんまげを引っ張り、生意気にもチビ猫が不満げな鳴き声を漏らす。
てめー、チビ猫、オレに文句でも?
「どした、ヒメ」
「ニャ~」
猫のくせに色目を使うな!
「…先輩たち、仲良しで、うらやましいです」
ニシモトが笑顔のまま、そっと下を向いた。
「痛って!」
ハゲを猫に引っかかれてリツキの舌を噛みそうになる。
「てめー、何すんだ!」
チビ猫はリツキの手にすり寄って、独占欲丸出しな視線でオレをねめつける。
コイツ、…ぜってーメスだろう!
「あ、…のぅ」
遠慮深げな声が背後からして、急いで振り向くと、茂みから出てきた女子生徒が顔を赤らめながらオレとリツキを見ていた。
うお、コイツの存在をすっかり忘れていた!
「あたし、猫ちゃん、保健室に連れて行きましょうか」
「ああ。俺も行くよ。ヒメが心配だし」
どこでキスシーンを繰り広げようと何の動揺も見せないリツキはさすが筋金入りのハレンチやろーだ。
「ふふ。ヒメってこの子の名前ですか」
女子生徒がはにかみながら、リツキに近づき、チビ猫の頭を優しくなでた。
大人しくされるがままのチビ猫。
お前、さっきと態度が違くねーか!?
だいたい、なんでオレはハゲで、このチビ猫がヒメなんだ!
チビ猫の妙に自信たっぷりな態度がオレの神経を逆なでする。
「お前も来る?」
オレとチビ猫が火花を散らしていると、急にリツキがオレをのぞき込んできた。
わ。オレ、リツキにひっついたままじゃん!
「…おー、まあ、行ってやってもいいぜ」
慌ててリツキから離れて何気なさを装った。
あんな、もろにライバル視してくるチビ猫をリツキと二人っきりにさせてたまるか。
「でも、授業中に行ったら怒られちゃいますかね?」
あ、こいつもいたんだっけ。
保健室へ向かって歩き出しながら、何気なく女子生徒の様子をうかがう。
見たことないし、態度や言葉遣いから察するに多分1年生だろうけど、
なんつーか、…可愛い子だな。
色が白くて頬がピンク色で目が大きくて髪の毛がふわふわしている。
「あの、初めまして。1-Aの西本ミクです」
オレの視線に気づいたらしい西本ミクが可愛らしい笑顔を浮かべる。
「あ、どうも。2年の古町、…」
「はい、知ってます。アイ先輩。リツキ先輩の彼女の座を射止めたという」
…射止めた。
もはやこの際いいんだけど、あれは「強制された」が正しいんじゃないだろうか。
西本ミクは他のあらゆる女子と同じく、リツキの見てくれに騙されていると思われる。
「なんだよ」
「ニャ!」
チラ見していたオレに気づいたリツキが、オレのちょんまげを引っ張り、生意気にもチビ猫が不満げな鳴き声を漏らす。
てめー、チビ猫、オレに文句でも?
「どした、ヒメ」
「ニャ~」
猫のくせに色目を使うな!
「…先輩たち、仲良しで、うらやましいです」
ニシモトが笑顔のまま、そっと下を向いた。
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