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hage.43
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「本多リツキ」の彼女がハゲなんて、ありえねー。
いや、始めにハゲ有りき、なんだからしょーがねーけど。
リツキはハゲでもいいっつってたけど。
でも。
チラリと隣でゴリゴリくんを頬張るリツキを盗み見る。
アイスバー食ってるだけで様になるなんて、リツキってマジでずりー。
けど。
そんなリツキのカノジョであるからには、オレだって、それなりに決まってなければならないっ!!
「イチゴ味、食わせて」
気合を入れたオレの横から、不意にリツキが近づいて、オレの食べかけのアイスバーにそのままかじりついた。
「…甘いな」
リツキが唇をなめる。
なっ、なんか、コイツ…
リツキが食べた後のアイスバーを見て固まる。
これをオレが食べたら、それは、俗にいう、かかか、間接…
「ソーダ味、食う?」
リツキが食べかけのアイスバーをオレの口の前に差し出してきたけど、食えるわけねー。
「…いらない」
蚊の鳴くような声になった。
「ん?」
リツキが怪訝そうにオレを見て、何かに思い当たったみたいで、まさに意地の悪い笑みを見せると、
「しょーがねーな」
自分でアイスを一口かじった。
なんか、嫌な予感がしてリツキを横目に見ると
「…んっ!」
あっという間に引き寄せられて、唇をふさがれ、舌を差し込まれた。
リツキからソーダ味のアイスが注がれる。
リツキに舌で迫られて、否応なしにそれを飲み込むと、リツキは満足そうに離れた。
顔が燃えるように熱くて、めまいがする。
「ソーダ味もイケるだろ?」
すげー楽しそうなリツキの声がするけど、味なんかわかるわけねーし!
悔しくてリツキをにらむ。
「お前…、可愛すぎんだろ」
リツキがオレの頭をぐちゃぐちゃにかき回す。
「やめろよっ」
ハゲがあらわになったらどうすんだ!
「…ハレンチ大魔王」
こんな道の真ん中で、公序良俗違反だろっ
頭を守りながらリツキを見ても、
「浮気したおしおき」
逆に責める視線を返された。
「してねーだろっ」
「簡単に男とプリクラなんか撮るんじゃねーよ、ハゲ。今度やったら、授業中にキスしてやる」
鋭い視線にマジでビビる。
コイツなら、やりかねない…
オレ、ホントにコイツのカノジョ、出来るんだろうか?
リツキが偉そうに、つないだ手を大きく振り回す。
見上げた空にはオレンジ色の月が昇ろうとしていた。
まあ。
うまく出来なかったとしても。
オレはリツキが好きなんだから仕方ないか。
いや、始めにハゲ有りき、なんだからしょーがねーけど。
リツキはハゲでもいいっつってたけど。
でも。
チラリと隣でゴリゴリくんを頬張るリツキを盗み見る。
アイスバー食ってるだけで様になるなんて、リツキってマジでずりー。
けど。
そんなリツキのカノジョであるからには、オレだって、それなりに決まってなければならないっ!!
「イチゴ味、食わせて」
気合を入れたオレの横から、不意にリツキが近づいて、オレの食べかけのアイスバーにそのままかじりついた。
「…甘いな」
リツキが唇をなめる。
なっ、なんか、コイツ…
リツキが食べた後のアイスバーを見て固まる。
これをオレが食べたら、それは、俗にいう、かかか、間接…
「ソーダ味、食う?」
リツキが食べかけのアイスバーをオレの口の前に差し出してきたけど、食えるわけねー。
「…いらない」
蚊の鳴くような声になった。
「ん?」
リツキが怪訝そうにオレを見て、何かに思い当たったみたいで、まさに意地の悪い笑みを見せると、
「しょーがねーな」
自分でアイスを一口かじった。
なんか、嫌な予感がしてリツキを横目に見ると
「…んっ!」
あっという間に引き寄せられて、唇をふさがれ、舌を差し込まれた。
リツキからソーダ味のアイスが注がれる。
リツキに舌で迫られて、否応なしにそれを飲み込むと、リツキは満足そうに離れた。
顔が燃えるように熱くて、めまいがする。
「ソーダ味もイケるだろ?」
すげー楽しそうなリツキの声がするけど、味なんかわかるわけねーし!
悔しくてリツキをにらむ。
「お前…、可愛すぎんだろ」
リツキがオレの頭をぐちゃぐちゃにかき回す。
「やめろよっ」
ハゲがあらわになったらどうすんだ!
「…ハレンチ大魔王」
こんな道の真ん中で、公序良俗違反だろっ
頭を守りながらリツキを見ても、
「浮気したおしおき」
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「してねーだろっ」
「簡単に男とプリクラなんか撮るんじゃねーよ、ハゲ。今度やったら、授業中にキスしてやる」
鋭い視線にマジでビビる。
コイツなら、やりかねない…
オレ、ホントにコイツのカノジョ、出来るんだろうか?
リツキが偉そうに、つないだ手を大きく振り回す。
見上げた空にはオレンジ色の月が昇ろうとしていた。
まあ。
うまく出来なかったとしても。
オレはリツキが好きなんだから仕方ないか。
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