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hage.41
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「ア、…」
「友だちからお願いしますっ!!」
…間違えたっ
リツキがオレの前に立って、オレをのぞき込むように小首を傾げて、何か言いかけたのを見たら、
一気に緊張がマックスに達して、急にパニクって、握り締めたプリクラを差し出しながら、頭を垂れてしまった。
「あ?」
リツキが怪訝そうにプリクラをつかむ。
「あっ、違うっ!まちが…っ」
間違えたーーーーーっ
急いで取り戻そうとするも、既に遅く、
「…お前、人呼び出していい度胸だなぁ?」
プリクラを見たリツキの表情が一変して、こめかみに青筋がたっている。
「あ、いや、だから、それじゃなくて、…」
おろおろ言い訳するオレを一睨みすると、リツキはプリクラを握り潰し、オレの腕をつかんで歩き出した。
「あ、あのね、リツ…?」
途中でゴミ箱に投げ込まれたプリクラを見て、背筋が凍る。
怒ってる…!
メタくそ、怒ってるよ!
『もし本多くんが遊びなら、怒らないから』
ヒグチの言うことがホントなら、リツキはオレのこと、遊びじゃないってことになるけど。
これって、全然喜べなくね?
いや、もはや、嫌われた的な?
「…リツ…っ」
ちゃんと向き合うって決めたのに、先を急ぐリツキは殺気立っていて、呼びかけても振り向いてくれない。
せっかく、せっかくハセガワも応援してくれたのに。
なんで肝心なところで間違えたんだよ、オレ~~~っ
「一応聞くけど」
リツキが止まったのは、少し前にヒグチと立ち寄ったゲーセンで、
「友だちからって」
まごうことなく、プリクラ機へと進む。
「樋口との交際宣言じゃねーよなぁ?」
プリ機の密空間で睨み上げるリツキがちょーこえー。
「…滅相もございません」
オレ、ちょーよえー。
「じゃあ、なに?」
プリ機を操作しながら、リツキがオレを振り返る。
「友だちからって、言えば、決まってんだろ!こっ、コクハクの、…」
やべー、リツキの顔が見れねー。
心臓のバクバク感が半端ねー。
「告白?」
リツキがまじまじとオレを見つめ返すから、余計緊張感がアップする。
「リ、…リツ。オ、…オレ」
なんで。
震える。
でも、でも、今度こそ、ちゃんとって決めたから!
「す、…す、…っ」
カシャ!
ちゅ。
プリクラのシャッター音と同時に、リツキがオレを引き寄せて唇にキスした。
カシャ!カシャ!カシャ!
シャッター音が鳴り響く間ずっと、リツキがオレをふさいでいて、半端ない緊張感とパニックと恥ずかしさとで、リツキが離れた時には、真面目に酸欠に陥っていた。
脚の力が抜けて床にへたり込んでしまったオレをプリ機にもたせかけると、リツキは出来上がったプリクラを取り出して書き込み、
「ハゲに貼っとけ。バーカ」
1枚はがしてオレの額に貼りつけた。
ひどい…
リツキはひどい奴だってわかってたけど、調子に乗ってる横暴ヤローだってわかってたけど、オレの一世一代の告白を踏みにじりやがって!
「てめー、…」
よろよろと立ち上がって額のプリクラを外し、
「どういうつもりで、こんな、…っ!」
突き返そうとプリクラを見ると、
『好き』
オレとリツキのチュープリに、確かにそう書いてあった。
「リ、…っ!」
リツキを見る前に、リツキに抱きすくめられた。
広いリツキの腕の中。温かいリツキの胸の中。
リツキの鼓動が、いつもより少し、速い。
「好きだよ、アイ」
耳元でささやかれた低いリツキの声が、オレを溶かした。
胸の奥で小さな鐘が鳴ったような気がした。
「友だちからお願いしますっ!!」
…間違えたっ
リツキがオレの前に立って、オレをのぞき込むように小首を傾げて、何か言いかけたのを見たら、
一気に緊張がマックスに達して、急にパニクって、握り締めたプリクラを差し出しながら、頭を垂れてしまった。
「あ?」
リツキが怪訝そうにプリクラをつかむ。
「あっ、違うっ!まちが…っ」
間違えたーーーーーっ
急いで取り戻そうとするも、既に遅く、
「…お前、人呼び出していい度胸だなぁ?」
プリクラを見たリツキの表情が一変して、こめかみに青筋がたっている。
「あ、いや、だから、それじゃなくて、…」
おろおろ言い訳するオレを一睨みすると、リツキはプリクラを握り潰し、オレの腕をつかんで歩き出した。
「あ、あのね、リツ…?」
途中でゴミ箱に投げ込まれたプリクラを見て、背筋が凍る。
怒ってる…!
メタくそ、怒ってるよ!
『もし本多くんが遊びなら、怒らないから』
ヒグチの言うことがホントなら、リツキはオレのこと、遊びじゃないってことになるけど。
これって、全然喜べなくね?
いや、もはや、嫌われた的な?
「…リツ…っ」
ちゃんと向き合うって決めたのに、先を急ぐリツキは殺気立っていて、呼びかけても振り向いてくれない。
せっかく、せっかくハセガワも応援してくれたのに。
なんで肝心なところで間違えたんだよ、オレ~~~っ
「一応聞くけど」
リツキが止まったのは、少し前にヒグチと立ち寄ったゲーセンで、
「友だちからって」
まごうことなく、プリクラ機へと進む。
「樋口との交際宣言じゃねーよなぁ?」
プリ機の密空間で睨み上げるリツキがちょーこえー。
「…滅相もございません」
オレ、ちょーよえー。
「じゃあ、なに?」
プリ機を操作しながら、リツキがオレを振り返る。
「友だちからって、言えば、決まってんだろ!こっ、コクハクの、…」
やべー、リツキの顔が見れねー。
心臓のバクバク感が半端ねー。
「告白?」
リツキがまじまじとオレを見つめ返すから、余計緊張感がアップする。
「リ、…リツ。オ、…オレ」
なんで。
震える。
でも、でも、今度こそ、ちゃんとって決めたから!
「す、…す、…っ」
カシャ!
ちゅ。
プリクラのシャッター音と同時に、リツキがオレを引き寄せて唇にキスした。
カシャ!カシャ!カシャ!
シャッター音が鳴り響く間ずっと、リツキがオレをふさいでいて、半端ない緊張感とパニックと恥ずかしさとで、リツキが離れた時には、真面目に酸欠に陥っていた。
脚の力が抜けて床にへたり込んでしまったオレをプリ機にもたせかけると、リツキは出来上がったプリクラを取り出して書き込み、
「ハゲに貼っとけ。バーカ」
1枚はがしてオレの額に貼りつけた。
ひどい…
リツキはひどい奴だってわかってたけど、調子に乗ってる横暴ヤローだってわかってたけど、オレの一世一代の告白を踏みにじりやがって!
「てめー、…」
よろよろと立ち上がって額のプリクラを外し、
「どういうつもりで、こんな、…っ!」
突き返そうとプリクラを見ると、
『好き』
オレとリツキのチュープリに、確かにそう書いてあった。
「リ、…っ!」
リツキを見る前に、リツキに抱きすくめられた。
広いリツキの腕の中。温かいリツキの胸の中。
リツキの鼓動が、いつもより少し、速い。
「好きだよ、アイ」
耳元でささやかれた低いリツキの声が、オレを溶かした。
胸の奥で小さな鐘が鳴ったような気がした。
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