【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

remo

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コンビニで買ったゴリゴリくんアイスは、労働後の身に沁みいる美味しさだ。

「…あんな威嚇するくらいだから、相当アイちゃんが好きなんだと思うけど、…」

ぶつぶつ言いながらヒグチもアイスをかじる。

「う~ん、…あ、アイちゃん!プリクラ撮ろうか」

ゲーセンの前で、いきなりヒグチがオレの腕を引いた。

なんで、プリクラ?
話、飛びすぎじゃね?

ヒグチが相談役として果たして適任だったのかどうかはなはだ疑問に感じながら、

「それじゃあ、撮るよ~。3,2,1」

何年ぶりかのプリクラに納まる。

「これ、本多くんに見せてみなよ。もし本多くんが遊びなら、怒らないから」

サラサラとマーカーで『タク&アイ』と書いて、プリクラをオレに差し出した。
ヒグチの言うことに釈然としないまま、プリクラを見る。

「…半分は、失恋記念にもらうね」

『リツキ&アイ』っつーのが欲しいような気がして、ハゲがムズムズした。
か、…カノジョだったら、そんなのもアリなんだろうか。

「あれ~、アイじゃん!」

そんなことを考えながらゲーセンから出て、駅の構内に入ると、ホームに長谷川キョウがいた。

「よ~、ハセガワ。練習試合どうだった?」

ハセガワに手を上げて応えると、ハセガワがオレとヒグチを交互に見て、素早くオレの手を引き、

「お前、また、浮気かよ。いい加減にしろよ?リツキの機嫌が悪くてかなわねー」

耳打ちしてくる。

「ちげーよ、ヒグチはバイト仲間で、…」

「とっくに振られてるから、心配しないで」

話の内容を察したのか、ヒグチが後を引き取った。

「…なら、いいけど。アイはリツキが溺愛してるんで、手出さないで下さいね」

再度ヒグチに目を向けたハセガワが、自信満々にはったりをかました。

…リツキが、デキアイ。
やべー、脳みそのキャパを超えている。

「分かってるよ。じゃあね、アイちゃん。試合終わったんなら、本多くんに迎えに来てもらいなよ。」

ヒグチはそこをさらりと流し、プリクラを振ってさっさと帰って行った。

「お前、何このプリ!リツキに対する挑戦か!?」

ヒグチの後姿を見送っていたら、ハセガワが、オレが手に持ったままだったプリクラを奪い取って騒ぐ。

「…なぁ、リツって、オレのこと好きなの?」

そんなハセガワを見ていたら、考える前に口から言葉が出てしまった。

「は?」

ハセガワが信じられないという顔でオレを見る。

「お前、まだ、そこ!?」

「だ、…だってよ、アイツ、告白は遊びだっていうし、セフレだっているし、フ、ファーストキスだって、…!」

言葉にすると虚しくなる。
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