【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

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「コマチ、いつも元気でさ、…気づいたら目で追ってた。去年、偶然保健室で寝てるコマチを見て、…他に誰もいなくて、…ごめん」

や、ごめん、て、言われても、…

オレ、まるっきり、まるっっきり、身に覚えがねーし、…

「コマチ」

タカヤがオレの両手を握る。
オレを見つめるタカヤの瞳が揺れている。

「…好きだ」

タカヤがあんまり真剣で、泣きそうになった。

リツキに好きって、言われたことない。
リツキに好きって、言いたかったのに。

タカヤがオレを抱きしめた。

「俺にしなよ。本多、ああいう奴だよ。コマチ、遊ばれてるんじゃねえの?」

タカヤは、リツキとは違う。
硬くて、力強くて、オトコっぽいけど、オレを丸ごと包み込んでくれるリツキの胸じゃない。

それなのに。
振りほどけないのは。

『セフレ、…だった、っつーか…』

オレとリツキは恋愛偏差値が違い過ぎる。

「チビざる~っ、デュエットすんぞ!デュエット~」
「いスけど、団長、ジュースで酔ってません?」
「バカ、お前。俺は嬉しいんだよっ!俺の演舞は史上1番だ~~~っ」

解団式のカラオケは、盛り上がっているけど、オレは隣に座るタカヤが気になって落ち着かねー。

涼しい顔して、渋く歌ったりするから、女子がうっとりして、拗ねた団長がオレに絡んでると思われる。

「鷹谷くん、珍しいよね。カラオケとかさ、あんまり来てくれないんだよ?」

逆隣の女子がオレにこそっと耳打ちする。

「あ、そーなん、…」
「気になる子でもいるのかな」
「うげっほげほっ」

やべー、コーラ吹いた。

「ちょっと、大丈夫?」

女子がオレにおしぼりを渡そうとしたけど、その前にタカヤがオレの背中をさすりながら、ハンカチでオレの口元をぬぐった。

タカヤは歌ってる途中だったから、一斉にみんなの注目を集めたけど、

「あ、わりー」

平然とまた歌い始めた。
こ、この視線をどうしてくれて、…

「…そういうこと」

隣の女子が納得している。

や、待て。何がそーゆー?!
ってか、タカヤ、お前そんなキャラじゃねーだろ??

焦ってタカヤを見ると、タカヤが歌いながらオレの頭をなでた。

「おおーっ」

どよめきが沸く。
タカヤっ!キャラが、…

「くそ、チビざるに春かっ!赤軍、青春バンザ~イっ!」

団長がヤケクソに叫び、

「バンザ~イっっ」

優しい団員たちが唱和していた。
いや、バンザイじゃねーから。

「タカヤ!困るって。オレはリツと、…」

歌い終わったタカヤにささやきかけると、

「分かってるよ。でも、俺、あきらめないから」

タカヤがなだめるように、オレの鼻を人差し指でつついた。

「おおお~っ」

再び部屋にどよめきが起こる。
タカヤっ! キャラがちげーだろっ!

「…甘い。新聞部に売りネタだね」

隣の女子が恐ろしいつぶやきを漏らし、

「お、前っ!余計なこと言うなよ?」

慌てて釘を刺したオレは、

「あら?何かやましいことでも?」

腹黒い笑みをお見舞いされた。

「別にイイじゃん。本多だって、告白されてただろ?」

タカヤがオレに笑いかける。
それはまあ、そーなんだけど、…

でも。
オレが言うつもりだったんだ。
ちゃんと言おうって決めてたんだ。

リツキに、好き、って。

「じゃあな~っ、赤軍は解団しても心は一つ!!困った時は、この、五月女カズマ様が相談に乗ってやるぜ~~っ」

カラオケを出てもハイテンションな団長をもてあましながら、赤軍は無事解団し、それぞれ帰路についた。
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