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hage.35
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「コマチ、いつも元気でさ、…気づいたら目で追ってた。去年、偶然保健室で寝てるコマチを見て、…他に誰もいなくて、…ごめん」
や、ごめん、て、言われても、…
オレ、まるっきり、まるっっきり、身に覚えがねーし、…
「コマチ」
タカヤがオレの両手を握る。
オレを見つめるタカヤの瞳が揺れている。
「…好きだ」
タカヤがあんまり真剣で、泣きそうになった。
リツキに好きって、言われたことない。
リツキに好きって、言いたかったのに。
タカヤがオレを抱きしめた。
「俺にしなよ。本多、ああいう奴だよ。コマチ、遊ばれてるんじゃねえの?」
タカヤは、リツキとは違う。
硬くて、力強くて、オトコっぽいけど、オレを丸ごと包み込んでくれるリツキの胸じゃない。
それなのに。
振りほどけないのは。
『セフレ、…だった、っつーか…』
オレとリツキは恋愛偏差値が違い過ぎる。
「チビざる~っ、デュエットすんぞ!デュエット~」
「いスけど、団長、ジュースで酔ってません?」
「バカ、お前。俺は嬉しいんだよっ!俺の演舞は史上1番だ~~~っ」
解団式のカラオケは、盛り上がっているけど、オレは隣に座るタカヤが気になって落ち着かねー。
涼しい顔して、渋く歌ったりするから、女子がうっとりして、拗ねた団長がオレに絡んでると思われる。
「鷹谷くん、珍しいよね。カラオケとかさ、あんまり来てくれないんだよ?」
逆隣の女子がオレにこそっと耳打ちする。
「あ、そーなん、…」
「気になる子でもいるのかな」
「うげっほげほっ」
やべー、コーラ吹いた。
「ちょっと、大丈夫?」
女子がオレにおしぼりを渡そうとしたけど、その前にタカヤがオレの背中をさすりながら、ハンカチでオレの口元をぬぐった。
タカヤは歌ってる途中だったから、一斉にみんなの注目を集めたけど、
「あ、わりー」
平然とまた歌い始めた。
こ、この視線をどうしてくれて、…
「…そういうこと」
隣の女子が納得している。
や、待て。何がそーゆー?!
ってか、タカヤ、お前そんなキャラじゃねーだろ??
焦ってタカヤを見ると、タカヤが歌いながらオレの頭をなでた。
「おおーっ」
どよめきが沸く。
タカヤっ!キャラが、…
「くそ、チビざるに春かっ!赤軍、青春バンザ~イっ!」
団長がヤケクソに叫び、
「バンザ~イっっ」
優しい団員たちが唱和していた。
いや、バンザイじゃねーから。
「タカヤ!困るって。オレはリツと、…」
歌い終わったタカヤにささやきかけると、
「分かってるよ。でも、俺、あきらめないから」
タカヤがなだめるように、オレの鼻を人差し指でつついた。
「おおお~っ」
再び部屋にどよめきが起こる。
タカヤっ! キャラがちげーだろっ!
「…甘い。新聞部に売りネタだね」
隣の女子が恐ろしいつぶやきを漏らし、
「お、前っ!余計なこと言うなよ?」
慌てて釘を刺したオレは、
「あら?何かやましいことでも?」
腹黒い笑みをお見舞いされた。
「別にイイじゃん。本多だって、告白されてただろ?」
タカヤがオレに笑いかける。
それはまあ、そーなんだけど、…
でも。
オレが言うつもりだったんだ。
ちゃんと言おうって決めてたんだ。
リツキに、好き、って。
「じゃあな~っ、赤軍は解団しても心は一つ!!困った時は、この、五月女カズマ様が相談に乗ってやるぜ~~っ」
カラオケを出てもハイテンションな団長をもてあましながら、赤軍は無事解団し、それぞれ帰路についた。
や、ごめん、て、言われても、…
オレ、まるっきり、まるっっきり、身に覚えがねーし、…
「コマチ」
タカヤがオレの両手を握る。
オレを見つめるタカヤの瞳が揺れている。
「…好きだ」
タカヤがあんまり真剣で、泣きそうになった。
リツキに好きって、言われたことない。
リツキに好きって、言いたかったのに。
タカヤがオレを抱きしめた。
「俺にしなよ。本多、ああいう奴だよ。コマチ、遊ばれてるんじゃねえの?」
タカヤは、リツキとは違う。
硬くて、力強くて、オトコっぽいけど、オレを丸ごと包み込んでくれるリツキの胸じゃない。
それなのに。
振りほどけないのは。
『セフレ、…だった、っつーか…』
オレとリツキは恋愛偏差値が違い過ぎる。
「チビざる~っ、デュエットすんぞ!デュエット~」
「いスけど、団長、ジュースで酔ってません?」
「バカ、お前。俺は嬉しいんだよっ!俺の演舞は史上1番だ~~~っ」
解団式のカラオケは、盛り上がっているけど、オレは隣に座るタカヤが気になって落ち着かねー。
涼しい顔して、渋く歌ったりするから、女子がうっとりして、拗ねた団長がオレに絡んでると思われる。
「鷹谷くん、珍しいよね。カラオケとかさ、あんまり来てくれないんだよ?」
逆隣の女子がオレにこそっと耳打ちする。
「あ、そーなん、…」
「気になる子でもいるのかな」
「うげっほげほっ」
やべー、コーラ吹いた。
「ちょっと、大丈夫?」
女子がオレにおしぼりを渡そうとしたけど、その前にタカヤがオレの背中をさすりながら、ハンカチでオレの口元をぬぐった。
タカヤは歌ってる途中だったから、一斉にみんなの注目を集めたけど、
「あ、わりー」
平然とまた歌い始めた。
こ、この視線をどうしてくれて、…
「…そういうこと」
隣の女子が納得している。
や、待て。何がそーゆー?!
ってか、タカヤ、お前そんなキャラじゃねーだろ??
焦ってタカヤを見ると、タカヤが歌いながらオレの頭をなでた。
「おおーっ」
どよめきが沸く。
タカヤっ!キャラが、…
「くそ、チビざるに春かっ!赤軍、青春バンザ~イっ!」
団長がヤケクソに叫び、
「バンザ~イっっ」
優しい団員たちが唱和していた。
いや、バンザイじゃねーから。
「タカヤ!困るって。オレはリツと、…」
歌い終わったタカヤにささやきかけると、
「分かってるよ。でも、俺、あきらめないから」
タカヤがなだめるように、オレの鼻を人差し指でつついた。
「おおお~っ」
再び部屋にどよめきが起こる。
タカヤっ! キャラがちげーだろっ!
「…甘い。新聞部に売りネタだね」
隣の女子が恐ろしいつぶやきを漏らし、
「お、前っ!余計なこと言うなよ?」
慌てて釘を刺したオレは、
「あら?何かやましいことでも?」
腹黒い笑みをお見舞いされた。
「別にイイじゃん。本多だって、告白されてただろ?」
タカヤがオレに笑いかける。
それはまあ、そーなんだけど、…
でも。
オレが言うつもりだったんだ。
ちゃんと言おうって決めてたんだ。
リツキに、好き、って。
「じゃあな~っ、赤軍は解団しても心は一つ!!困った時は、この、五月女カズマ様が相談に乗ってやるぜ~~っ」
カラオケを出てもハイテンションな団長をもてあましながら、赤軍は無事解団し、それぞれ帰路についた。
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