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hage.33
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「いよっし!チビざるっ!そこ決めてけっ」
体育祭本番間近。
応援団の練習にも熱が入ってきた。
全員の動きがそろうとビシッと決まって、マジかっけー。
オレがワクワクしてると、タカヤがアイコンタクトで「決まったな」って言ってきたからうなずいた。
みんな気合十分だ。
「アイ~、赤軍かっこいいね。黄軍も負けないけど」
朝練帰りにチナツと並んで歩いていたら、
「コマチ。昼、ちょっと早く来れねえ? 合わせようぜ」
追い越しざまにタカヤが言うから、
「おーっ」
って手を上げておいた。
「アイ、タカヤくんと、最近、仲良いね」
チナツがタカヤを目で追っている。
「赤軍で一緒だからな。 アイツ、オレと動きが対なんだけど、めっちゃ気合い入っててさ」
最近のタカヤはばっちり決まっていて、気迫すら感じる。
「ふうん」
なんか物言いたげにチナツがオレを見た。
「なんだよ?」
「…リツキくん、独占欲強そうだからね、誤解されないようにね」
「おうっ」
とりあえず、気持ちが固まってオレはすっきりしている。
体育祭でビシッと決めて、リツキにもビシッと言ってやるんだ!
天使育毛の効果は全然表れないけど、オレはフトコロが深いからな。
ハゲの二つや三つ…、いや!それは、ぜってーお断りっ!!
「アイは鈍感だからなぁ…」
リツキはハゲでもいいっつってたけど、髪はオンナの命だろ。
ジタバタしようぜ、毛根さん。
「任せろ、チナツ。オレだって、やるときはやるんだ!」
「タカヤくん、ねぇ…」
昼の練習でもオレとタカヤの息はピッタリで、
「これは、イケるな、チビざる!」
「勝利は赤軍にありですな、団長」
ついに団長にも褒められた。
「お前、最近機嫌イイな」
リツキと手をつないで歩く帰り道も落ち着いたら普通になった。
「リツ、オレ、体育祭決めるからっ」
「お前が出るの、パン食い競争だろ?パンは一人一つだからな、中学の時みたく全部食べんなよ」
リツキがオレの鼻をつまむ。
「…るせー」
余計なこと、覚えてるんじゃねー。
って、そうじゃなくて。
「演舞だよ、演舞っ!」
オレが吠えると、
「分かってるよ。お前、気合入ってるもんな。楽しみにしてる」
リツキがオレの頭をなでた。
ビシッと決めて、リツキに言うんだ。
好き、って。
そう思って、リツキを見上げたら、リツキが優しく笑っていて、なんかすげー嬉しくなって、思わずオレも笑ったら、
リツキがオレの頭を引き寄せて、触れるだけの優しいキスをしてくれた。
体育祭本番間近。
応援団の練習にも熱が入ってきた。
全員の動きがそろうとビシッと決まって、マジかっけー。
オレがワクワクしてると、タカヤがアイコンタクトで「決まったな」って言ってきたからうなずいた。
みんな気合十分だ。
「アイ~、赤軍かっこいいね。黄軍も負けないけど」
朝練帰りにチナツと並んで歩いていたら、
「コマチ。昼、ちょっと早く来れねえ? 合わせようぜ」
追い越しざまにタカヤが言うから、
「おーっ」
って手を上げておいた。
「アイ、タカヤくんと、最近、仲良いね」
チナツがタカヤを目で追っている。
「赤軍で一緒だからな。 アイツ、オレと動きが対なんだけど、めっちゃ気合い入っててさ」
最近のタカヤはばっちり決まっていて、気迫すら感じる。
「ふうん」
なんか物言いたげにチナツがオレを見た。
「なんだよ?」
「…リツキくん、独占欲強そうだからね、誤解されないようにね」
「おうっ」
とりあえず、気持ちが固まってオレはすっきりしている。
体育祭でビシッと決めて、リツキにもビシッと言ってやるんだ!
天使育毛の効果は全然表れないけど、オレはフトコロが深いからな。
ハゲの二つや三つ…、いや!それは、ぜってーお断りっ!!
「アイは鈍感だからなぁ…」
リツキはハゲでもいいっつってたけど、髪はオンナの命だろ。
ジタバタしようぜ、毛根さん。
「任せろ、チナツ。オレだって、やるときはやるんだ!」
「タカヤくん、ねぇ…」
昼の練習でもオレとタカヤの息はピッタリで、
「これは、イケるな、チビざる!」
「勝利は赤軍にありですな、団長」
ついに団長にも褒められた。
「お前、最近機嫌イイな」
リツキと手をつないで歩く帰り道も落ち着いたら普通になった。
「リツ、オレ、体育祭決めるからっ」
「お前が出るの、パン食い競争だろ?パンは一人一つだからな、中学の時みたく全部食べんなよ」
リツキがオレの鼻をつまむ。
「…るせー」
余計なこと、覚えてるんじゃねー。
って、そうじゃなくて。
「演舞だよ、演舞っ!」
オレが吠えると、
「分かってるよ。お前、気合入ってるもんな。楽しみにしてる」
リツキがオレの頭をなでた。
ビシッと決めて、リツキに言うんだ。
好き、って。
そう思って、リツキを見上げたら、リツキが優しく笑っていて、なんかすげー嬉しくなって、思わずオレも笑ったら、
リツキがオレの頭を引き寄せて、触れるだけの優しいキスをしてくれた。
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