【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

remo

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「いよっし!チビざるっ!そこ決めてけっ」

体育祭本番間近。
応援団の練習にも熱が入ってきた。
全員の動きがそろうとビシッと決まって、マジかっけー。

オレがワクワクしてると、タカヤがアイコンタクトで「決まったな」って言ってきたからうなずいた。

みんな気合十分だ。

「アイ~、赤軍かっこいいね。黄軍も負けないけど」

朝練帰りにチナツと並んで歩いていたら、

「コマチ。昼、ちょっと早く来れねえ? 合わせようぜ」

追い越しざまにタカヤが言うから、

「おーっ」

って手を上げておいた。

「アイ、タカヤくんと、最近、仲良いね」

チナツがタカヤを目で追っている。

「赤軍で一緒だからな。 アイツ、オレと動きが対なんだけど、めっちゃ気合い入っててさ」

最近のタカヤはばっちり決まっていて、気迫すら感じる。

「ふうん」

なんか物言いたげにチナツがオレを見た。

「なんだよ?」

「…リツキくん、独占欲強そうだからね、誤解されないようにね」

「おうっ」

とりあえず、気持ちが固まってオレはすっきりしている。
体育祭でビシッと決めて、リツキにもビシッと言ってやるんだ!

天使育毛の効果は全然表れないけど、オレはフトコロが深いからな。

ハゲの二つや三つ…、いや!それは、ぜってーお断りっ!!

「アイは鈍感だからなぁ…」

リツキはハゲでもいいっつってたけど、髪はオンナの命だろ。
ジタバタしようぜ、毛根さん。

「任せろ、チナツ。オレだって、やるときはやるんだ!」

「タカヤくん、ねぇ…」

昼の練習でもオレとタカヤの息はピッタリで、

「これは、イケるな、チビざる!」
「勝利は赤軍にありですな、団長」

ついに団長にも褒められた。

「お前、最近機嫌イイな」

リツキと手をつないで歩く帰り道も落ち着いたら普通になった。

「リツ、オレ、体育祭決めるからっ」

「お前が出るの、パン食い競争だろ?パンは一人一つだからな、中学の時みたく全部食べんなよ」

リツキがオレの鼻をつまむ。

「…るせー」

余計なこと、覚えてるんじゃねー。
って、そうじゃなくて。

「演舞だよ、演舞っ!」

オレが吠えると、

「分かってるよ。お前、気合入ってるもんな。楽しみにしてる」

リツキがオレの頭をなでた。

ビシッと決めて、リツキに言うんだ。
好き、って。

そう思って、リツキを見上げたら、リツキが優しく笑っていて、なんかすげー嬉しくなって、思わずオレも笑ったら、

リツキがオレの頭を引き寄せて、触れるだけの優しいキスをしてくれた。
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