33 / 118
hage.33
しおりを挟む
「いよっし!チビざるっ!そこ決めてけっ」
体育祭本番間近。
応援団の練習にも熱が入ってきた。
全員の動きがそろうとビシッと決まって、マジかっけー。
オレがワクワクしてると、タカヤがアイコンタクトで「決まったな」って言ってきたからうなずいた。
みんな気合十分だ。
「アイ~、赤軍かっこいいね。黄軍も負けないけど」
朝練帰りにチナツと並んで歩いていたら、
「コマチ。昼、ちょっと早く来れねえ? 合わせようぜ」
追い越しざまにタカヤが言うから、
「おーっ」
って手を上げておいた。
「アイ、タカヤくんと、最近、仲良いね」
チナツがタカヤを目で追っている。
「赤軍で一緒だからな。 アイツ、オレと動きが対なんだけど、めっちゃ気合い入っててさ」
最近のタカヤはばっちり決まっていて、気迫すら感じる。
「ふうん」
なんか物言いたげにチナツがオレを見た。
「なんだよ?」
「…リツキくん、独占欲強そうだからね、誤解されないようにね」
「おうっ」
とりあえず、気持ちが固まってオレはすっきりしている。
体育祭でビシッと決めて、リツキにもビシッと言ってやるんだ!
天使育毛の効果は全然表れないけど、オレはフトコロが深いからな。
ハゲの二つや三つ…、いや!それは、ぜってーお断りっ!!
「アイは鈍感だからなぁ…」
リツキはハゲでもいいっつってたけど、髪はオンナの命だろ。
ジタバタしようぜ、毛根さん。
「任せろ、チナツ。オレだって、やるときはやるんだ!」
「タカヤくん、ねぇ…」
昼の練習でもオレとタカヤの息はピッタリで、
「これは、イケるな、チビざる!」
「勝利は赤軍にありですな、団長」
ついに団長にも褒められた。
「お前、最近機嫌イイな」
リツキと手をつないで歩く帰り道も落ち着いたら普通になった。
「リツ、オレ、体育祭決めるからっ」
「お前が出るの、パン食い競争だろ?パンは一人一つだからな、中学の時みたく全部食べんなよ」
リツキがオレの鼻をつまむ。
「…るせー」
余計なこと、覚えてるんじゃねー。
って、そうじゃなくて。
「演舞だよ、演舞っ!」
オレが吠えると、
「分かってるよ。お前、気合入ってるもんな。楽しみにしてる」
リツキがオレの頭をなでた。
ビシッと決めて、リツキに言うんだ。
好き、って。
そう思って、リツキを見上げたら、リツキが優しく笑っていて、なんかすげー嬉しくなって、思わずオレも笑ったら、
リツキがオレの頭を引き寄せて、触れるだけの優しいキスをしてくれた。
体育祭本番間近。
応援団の練習にも熱が入ってきた。
全員の動きがそろうとビシッと決まって、マジかっけー。
オレがワクワクしてると、タカヤがアイコンタクトで「決まったな」って言ってきたからうなずいた。
みんな気合十分だ。
「アイ~、赤軍かっこいいね。黄軍も負けないけど」
朝練帰りにチナツと並んで歩いていたら、
「コマチ。昼、ちょっと早く来れねえ? 合わせようぜ」
追い越しざまにタカヤが言うから、
「おーっ」
って手を上げておいた。
「アイ、タカヤくんと、最近、仲良いね」
チナツがタカヤを目で追っている。
「赤軍で一緒だからな。 アイツ、オレと動きが対なんだけど、めっちゃ気合い入っててさ」
最近のタカヤはばっちり決まっていて、気迫すら感じる。
「ふうん」
なんか物言いたげにチナツがオレを見た。
「なんだよ?」
「…リツキくん、独占欲強そうだからね、誤解されないようにね」
「おうっ」
とりあえず、気持ちが固まってオレはすっきりしている。
体育祭でビシッと決めて、リツキにもビシッと言ってやるんだ!
天使育毛の効果は全然表れないけど、オレはフトコロが深いからな。
ハゲの二つや三つ…、いや!それは、ぜってーお断りっ!!
「アイは鈍感だからなぁ…」
リツキはハゲでもいいっつってたけど、髪はオンナの命だろ。
ジタバタしようぜ、毛根さん。
「任せろ、チナツ。オレだって、やるときはやるんだ!」
「タカヤくん、ねぇ…」
昼の練習でもオレとタカヤの息はピッタリで、
「これは、イケるな、チビざる!」
「勝利は赤軍にありですな、団長」
ついに団長にも褒められた。
「お前、最近機嫌イイな」
リツキと手をつないで歩く帰り道も落ち着いたら普通になった。
「リツ、オレ、体育祭決めるからっ」
「お前が出るの、パン食い競争だろ?パンは一人一つだからな、中学の時みたく全部食べんなよ」
リツキがオレの鼻をつまむ。
「…るせー」
余計なこと、覚えてるんじゃねー。
って、そうじゃなくて。
「演舞だよ、演舞っ!」
オレが吠えると、
「分かってるよ。お前、気合入ってるもんな。楽しみにしてる」
リツキがオレの頭をなでた。
ビシッと決めて、リツキに言うんだ。
好き、って。
そう思って、リツキを見上げたら、リツキが優しく笑っていて、なんかすげー嬉しくなって、思わずオレも笑ったら、
リツキがオレの頭を引き寄せて、触れるだけの優しいキスをしてくれた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?

怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
放課後はネットで待ち合わせ
星名柚花(恋愛小説大賞参加中)
青春
【カクヨム×魔法のiらんどコンテスト特別賞受賞作】
高校入学を控えた前日、山科萌はいつものメンバーとオンラインゲームで遊んでいた。
何気なく「明日入学式だ」と言ったことから、ゲーム友達「ルビー」も同じ高校に通うことが判明。
翌日、萌はルビーと出会う。
女性アバターを使っていたルビーの正体は、ゲーム好きな美少年だった。
彼から女子避けのために「彼女のふりをしてほしい」と頼まれた萌。
初めはただのフリだったけれど、だんだん彼のことが気になるようになり…?

悪夢なのかやり直しなのか。
田中ボサ
ファンタジー
公爵家嫡男、フリッツ・マルクスは貴族学院の入学式の朝に悪夢を見た。
だが、フリッツは悪夢を真実だと思い、行動を起こす。
叔父の命を救い、病気に侵される母親を救う。
妹の学園生活を悪夢で終わらせないために奔走するフリッツ。
悪夢の中でフリッツは周囲が見えていなかったため、家族や友人を救うことができずにすべてが終わってしまい絶望する。
単なる悪夢だったのか、人生をやり直しているのか、フリッツも周囲もわからないまま、それでも現実を幸せにするように頑張るお話。
※なろう様でも公開中です(完結済み)

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆

聖なる夜に、愛を___
美鳥羽
青春
12月24日、クリスマスイブの夜に生まれたことから名付けられた、川上聖夜(かわかみせいや)は、中2の春、転校した。
生まれつき、スポーツ万能で、運動神経や筋肉、持久力、五感が優れている。
それと引き換えなのか、生まれつき人と違う部分があった___。
それが原因で、本当は大好きな体育の授業に、出られなくなってしまった____。

アネモネをきみに
雨月黛狼
青春
耳が聴こえない男の子と目が見えない女の子はどうやって思いを伝えあうか
桜並木を音無く歩く。
耳が聴こえない主人公の水瀬歩は夕陽が照らすひとつの高級車に目が留まった。
スモークガラスで中が見えない中、突然、ドアが開く。
不思議な少女を前にする。
希望や絶望、喜怒哀楽を感じられない瞳に歩は惹かれた。
その虚無に恋をした。
コミュニケーションを取ろうとするが、一向に伝わらない。
彼女は盲目だった。
手話やボディランゲージでしかコミュニケーションを取ることしかできない歩は思いを伝えられず、そのまま少女は去って行ってしまった。
新学期が始まると、転校生としてその少女がやってきた。
再びコミュニケーションを取ろうとするが、かえって警戒され拒絶されてしまう。
絶望の最中ーー少女とコミュニケーションを取る方法を見つける。
コミュニケーションを通してお互いのことを理解し、共感し、ともに挑戦し体験する。
お互いの気持ちが強まる一方で、ある事件が起こる。
聴こえない、見えない。
それでも気持ちを伝えるにはどうすればいいか。
歩は模索し、少女に想いを伝える。
耳が聴こえない主人公と目が見えないヒロインとの人間ドラマを書かせていただきました。
扱う題材が非常にセンシティブで人によっては敬遠するような内容、及び、私に対して不信感を得る方もいらっしゃると思います。
事実、私は耳が聴こえて、目も見えます。実際の方々の気持ちは共感することはできません。
しかし、私も抱えているものがあり、だからこそ、他人に理解してほしい、共感してほしいという気持ちが理解できます。
理解できないこと、共感できないことがあるのは事実です。しかし、重要なのは理解しようとする気持ちだと思っております。
その理解したいという「思い」を伝えるため、「思いを伝える」というテーマで書かせていただきました。
テーマ自体はとてもシンプルなものです。シンプルだからこそ見落としがちなものです。
この作品を通して、私の伝えたい思い、そして甘い青春模様をお楽しみください。
よろしくお願いいたします。
雨月黛狼
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる