【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

remo

文字の大きさ
上 下
30 / 118

hage.30

しおりを挟む
「だ~か~ら~、アイに決まってるって。なんでそこを疑うかな」

教室に向かう廊下でもぶつぶつ悩んでるオレを、チナツが若干呆れた目で見てくる。

「だってよ、…」

チナツに向き直ると、

「っきゃ!」

前から来た人にぶつかってしまった。

「あ、すみま、…」

…カワシマだった。
オレが跳ね飛ばしたらしく、廊下に倒れ込んでいる。

「すみません、センセー」

謝ってみたけど、居心地の悪さはぬぐえない。
チナツがハラハラした目で見ているのがわかる。

「…古町さん。あなた、その貧相な身体でどうやって、…」

カワシマが唇を噛みしめながら立ち上がり、

「所詮、ローストビーフ後のお茶漬けよっ」

オレにビシッと人差し指を突き付けて、鼻息も荒く立ち去って行った。

「すごいね、自分、ローストビーフ、って…」

チナツが唖然とした表情でカワシマを見送っていた。

って、オレがお茶漬け?
カピバラとかお茶漬けとか、言いたい放題過ぎじゃね?

「でも、カワシマも本命じゃねーしな…」

考えてみれば、カワシマはオレの同士かもしんねー。
リツキに遊ばれた同士。

…うわ、これ、マジでへこむ。

「あ~の~ね~。マジで怒るよ。リツキくん、アイと交際宣言してるんだよ!アイのこと好きに決まってるでしょ!」

チナツがカワシマみたく、オレに人差し指を突き付ける。

「オレ、保育園のころ、リツとキスしたことあるんだ。アイツ、この前好きな子に初めてキスしたって言った…」

言葉にしたら。
それが揺るぎない真実みたいな気がした。

リツキ、オレのこと、好きなんて一言も言ってねーし。

「…忘れてるんじゃない?」

至極あっさり言うチナツ。

「けど、初めて、だぞっ?」
「アイだって忘れてたんでしょ?」

…それは、まあ、確かに、そうだけど。

「わかった!リツキくんに、ファーストキスの思い出を聞いてみたらいいんじゃない?」

チナツが、得意げにオレを見る。

う、…そうか。
え、…でも。

「違うヤツとのすげー生々しいハナシだったら、…」

チナツがオレの頭を優しくなでた。

「うふふ。アイ、すっかり恋するオトメだね」

そうなのか。
こんなふうに、いちいち何かが気になって、そわそわしたり、へこんだり、するものなのか。

あああ、ハゲに悪いっ

「なぁ、リツ。お前のファースト…」

「ん?」

「…ファーストネームってRitsuki、だよな!」

あああ、オレのいくじなしっ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

Missing you

廣瀬純一
青春
突然消えた彼女を探しに山口県に訪れた伊東達也が自転車で県内の各市を巡り様々な体験や不思議な体験をする話

詩集(ポエム?)

凛音
青春
初めまして、思いつくままに詩(ポエム) を書いていこうと思います。 リクエストもお待ちしております(笑)

悪夢なのかやり直しなのか。

田中ボサ
ファンタジー
公爵家嫡男、フリッツ・マルクスは貴族学院の入学式の朝に悪夢を見た。 だが、フリッツは悪夢を真実だと思い、行動を起こす。 叔父の命を救い、病気に侵される母親を救う。 妹の学園生活を悪夢で終わらせないために奔走するフリッツ。 悪夢の中でフリッツは周囲が見えていなかったため、家族や友人を救うことができずにすべてが終わってしまい絶望する。 単なる悪夢だったのか、人生をやり直しているのか、フリッツも周囲もわからないまま、それでも現実を幸せにするように頑張るお話。 ※なろう様でも公開中です(完結済み)

【完結】あの日、君の本音に気付けなくて

ナカジマ
青春
藤木涼介と清水凛は、中学3年のバレンタインで両片思いから両想いになった。しかし高校生になってからは、何となく疎遠になってしまっていた。両想いになったからゴールだと勘違いしている涼介と、ちゃんと恋人同士になりたいと言い出せない凛。バスケ部が楽しいから良いんだと開き直った涼介と、自分は揶揄われたのではないかと疑い始める凛。お互いに好意があるにも関わらず、以前よりも複雑な両片思いに陥った2人。 とある理由から、女子の好意を理解出来なくなったバスケ部男子と、引っ込み思案で中々気持ちを伝えられない吹奏楽部女子。普通の男女が繰り広げる、部活に勉強、修学旅行。不器用な2人の青春やり直しストーリー。

実在しないのかもしれない

真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・? ※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。 ※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。 ※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

眩魏(くらぎ)!一楽章

たらしゅー放送局
青春
大阪城を観光していた眩魏(くらぎ)は、クラシックギターの路頭ライブをするホームレスの演奏を聞き、感動する。 そして、学校の部活にクラシックギター部があることを知り入部するも、、、 ドキドキワクワクちょっぴり青春!アンサンブル系学園ドラマ!

処理中です...