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hage.30
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「だ~か~ら~、アイに決まってるって。なんでそこを疑うかな」
教室に向かう廊下でもぶつぶつ悩んでるオレを、チナツが若干呆れた目で見てくる。
「だってよ、…」
チナツに向き直ると、
「っきゃ!」
前から来た人にぶつかってしまった。
「あ、すみま、…」
…カワシマだった。
オレが跳ね飛ばしたらしく、廊下に倒れ込んでいる。
「すみません、センセー」
謝ってみたけど、居心地の悪さはぬぐえない。
チナツがハラハラした目で見ているのがわかる。
「…古町さん。あなた、その貧相な身体でどうやって、…」
カワシマが唇を噛みしめながら立ち上がり、
「所詮、ローストビーフ後のお茶漬けよっ」
オレにビシッと人差し指を突き付けて、鼻息も荒く立ち去って行った。
「すごいね、自分、ローストビーフ、って…」
チナツが唖然とした表情でカワシマを見送っていた。
って、オレがお茶漬け?
カピバラとかお茶漬けとか、言いたい放題過ぎじゃね?
「でも、カワシマも本命じゃねーしな…」
考えてみれば、カワシマはオレの同士かもしんねー。
リツキに遊ばれた同士。
…うわ、これ、マジでへこむ。
「あ~の~ね~。マジで怒るよ。リツキくん、アイと交際宣言してるんだよ!アイのこと好きに決まってるでしょ!」
チナツがカワシマみたく、オレに人差し指を突き付ける。
「オレ、保育園のころ、リツとキスしたことあるんだ。アイツ、この前好きな子に初めてキスしたって言った…」
言葉にしたら。
それが揺るぎない真実みたいな気がした。
リツキ、オレのこと、好きなんて一言も言ってねーし。
「…忘れてるんじゃない?」
至極あっさり言うチナツ。
「けど、初めて、だぞっ?」
「アイだって忘れてたんでしょ?」
…それは、まあ、確かに、そうだけど。
「わかった!リツキくんに、ファーストキスの思い出を聞いてみたらいいんじゃない?」
チナツが、得意げにオレを見る。
う、…そうか。
え、…でも。
「違うヤツとのすげー生々しいハナシだったら、…」
チナツがオレの頭を優しくなでた。
「うふふ。アイ、すっかり恋するオトメだね」
そうなのか。
こんなふうに、いちいち何かが気になって、そわそわしたり、へこんだり、するものなのか。
あああ、ハゲに悪いっ
「なぁ、リツ。お前のファースト…」
「ん?」
「…ファーストネームってRitsuki、だよな!」
あああ、オレのいくじなしっ
教室に向かう廊下でもぶつぶつ悩んでるオレを、チナツが若干呆れた目で見てくる。
「だってよ、…」
チナツに向き直ると、
「っきゃ!」
前から来た人にぶつかってしまった。
「あ、すみま、…」
…カワシマだった。
オレが跳ね飛ばしたらしく、廊下に倒れ込んでいる。
「すみません、センセー」
謝ってみたけど、居心地の悪さはぬぐえない。
チナツがハラハラした目で見ているのがわかる。
「…古町さん。あなた、その貧相な身体でどうやって、…」
カワシマが唇を噛みしめながら立ち上がり、
「所詮、ローストビーフ後のお茶漬けよっ」
オレにビシッと人差し指を突き付けて、鼻息も荒く立ち去って行った。
「すごいね、自分、ローストビーフ、って…」
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って、オレがお茶漬け?
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「でも、カワシマも本命じゃねーしな…」
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…うわ、これ、マジでへこむ。
「あ~の~ね~。マジで怒るよ。リツキくん、アイと交際宣言してるんだよ!アイのこと好きに決まってるでしょ!」
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「オレ、保育園のころ、リツとキスしたことあるんだ。アイツ、この前好きな子に初めてキスしたって言った…」
言葉にしたら。
それが揺るぎない真実みたいな気がした。
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「…忘れてるんじゃない?」
至極あっさり言うチナツ。
「けど、初めて、だぞっ?」
「アイだって忘れてたんでしょ?」
…それは、まあ、確かに、そうだけど。
「わかった!リツキくんに、ファーストキスの思い出を聞いてみたらいいんじゃない?」
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そうなのか。
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