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hage.28
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リツキがオレに近づいて俺の頭に手を置くと、屈みこんで溢れそうな涙にキスした。
「泣き虫」
そのまま、オレを胸の中に閉じ込める。
だって。
負けたくねーよ。
オレ、この胸を、誰にも譲りたくねーんだ。
リツキが抱きしめるのは、オレだけがいい。
リツキがキスするのは、オレだけがいい。
リツキの制服でこっそり涙を拭いていたら、頭の上に、リツキのため息が落ちた。
な、…なんか、もしかして、オレ、ウザい?
あれか?
姉ちゃんの雑誌に載ってた、
彼氏の過去を気にしてグチグチ言うウザいオンナ、…ってヤツか?
『お断り女子』ってヤツか!
急いで顔を振ってリツキに涙をこすりつけると、
「余裕だぜっ」
リツキを押してその腕から抜け出す。
「オレはウツワのデカい人間だからな。カワシマの1匹や10匹っ」
高らかに宣言して、踵を返し
「おお!今日はサッカー中継があったな。オレは急いで帰ってそれを、…」
立ち去ろうとしたけれど、
後ろからリツキに抱きすくめられた。
「離れるなよ」
耳元にリツキの息がかかる。
リツキの顔がすぐ後ろにあるのに、その表情が見えなくて、
簡単にリツキの腕の中にとらわれる自分がなんか頼りなくて、
だけど、動けなくて。
「離したくない」
胸の奥が、ぎゅってなった。
切なくて、嬉しくて。
「俺は別に、川嶋が好きだったわけじゃない」
オレを包みこむリツキの腕に力が入る。
「お前だけだよ、離したくないの」
「リツ、…って、オレのこと…」
好き?って聞いたら、好きって言ってくれる?
リツキの腕にそっと触れた。
「俺、この前、…好きな子に、初めてキスした」
え…、それ、って。
リツキの顔を見たいのに、抱きすくめられてて、動けない。
どうしよう。
なんか、すげー、心臓が壊れそうに暴れてるんだけど。
リツキがオレの頭にキスする。
「負けるわけないだろ。こんなカピバラ体型のハゲ」
は?
破裂しそうに高鳴っていた心臓が、一気に降下する。
「おい、リツ。てめー、…」
オレのトキメキを返せっ
振りほどいて頭突いてやろうと思うのに、リツキのバカ力がオレを留める。
「ずっと、…ずっと、ソイツだけ」
なんか、リツキの声が切なくて。
「離したくねえよ」
ささやく声が熱くて。
「…お前もカピバラ、ずっと抱いてたいと思っただろ」
最終的に、リツキの口調は笑いを含む。
なんか、オレ、いいように遊ばれてね?
「ハゲでもいいよ。アイなら、なんでもいい」
リツキがオレのハゲに、優しく口づけた。
「泣き虫」
そのまま、オレを胸の中に閉じ込める。
だって。
負けたくねーよ。
オレ、この胸を、誰にも譲りたくねーんだ。
リツキが抱きしめるのは、オレだけがいい。
リツキがキスするのは、オレだけがいい。
リツキの制服でこっそり涙を拭いていたら、頭の上に、リツキのため息が落ちた。
な、…なんか、もしかして、オレ、ウザい?
あれか?
姉ちゃんの雑誌に載ってた、
彼氏の過去を気にしてグチグチ言うウザいオンナ、…ってヤツか?
『お断り女子』ってヤツか!
急いで顔を振ってリツキに涙をこすりつけると、
「余裕だぜっ」
リツキを押してその腕から抜け出す。
「オレはウツワのデカい人間だからな。カワシマの1匹や10匹っ」
高らかに宣言して、踵を返し
「おお!今日はサッカー中継があったな。オレは急いで帰ってそれを、…」
立ち去ろうとしたけれど、
後ろからリツキに抱きすくめられた。
「離れるなよ」
耳元にリツキの息がかかる。
リツキの顔がすぐ後ろにあるのに、その表情が見えなくて、
簡単にリツキの腕の中にとらわれる自分がなんか頼りなくて、
だけど、動けなくて。
「離したくない」
胸の奥が、ぎゅってなった。
切なくて、嬉しくて。
「俺は別に、川嶋が好きだったわけじゃない」
オレを包みこむリツキの腕に力が入る。
「お前だけだよ、離したくないの」
「リツ、…って、オレのこと…」
好き?って聞いたら、好きって言ってくれる?
リツキの腕にそっと触れた。
「俺、この前、…好きな子に、初めてキスした」
え…、それ、って。
リツキの顔を見たいのに、抱きすくめられてて、動けない。
どうしよう。
なんか、すげー、心臓が壊れそうに暴れてるんだけど。
リツキがオレの頭にキスする。
「負けるわけないだろ。こんなカピバラ体型のハゲ」
は?
破裂しそうに高鳴っていた心臓が、一気に降下する。
「おい、リツ。てめー、…」
オレのトキメキを返せっ
振りほどいて頭突いてやろうと思うのに、リツキのバカ力がオレを留める。
「ずっと、…ずっと、ソイツだけ」
なんか、リツキの声が切なくて。
「離したくねえよ」
ささやく声が熱くて。
「…お前もカピバラ、ずっと抱いてたいと思っただろ」
最終的に、リツキの口調は笑いを含む。
なんか、オレ、いいように遊ばれてね?
「ハゲでもいいよ。アイなら、なんでもいい」
リツキがオレのハゲに、優しく口づけた。
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