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hage.27
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キスしながら、オレの髪をすくリツキの指とか、
オレの手に絡められたリツキの大きな手とか、
胸から腰まで密着した身体とか、
両脚を挟み込むように立てられた膝とか、…
なんで、こんなに全身でリツキを感じるんだ。
リツキでいっぱいになって、他には何も考えられない。
ここがどこで、自分が何をしたくて、
リツキと何を言い合ってたのか、全部吹き飛んで。
リツキの重みと、つないだ手と、甘い舌だけが、
オレの全てになる。
「リツ、…」
リツキの唇が離れたから、目を開けると、
なんでかリツキがちょっと泣きそうな顔をしていた。
「アイのくせに、誘ってんじゃねえよ」
リツキの唇が再び降りてくる。
吐く息が甘い。
キスの合間に、自分がオンナノコみたいな甘い声を、
漏らしたような気がする。
「ちゅーしてる」
ナツキの声がオレを現実に引き戻した。
部屋のドアを豪快に開け放ったまま、
「ママ~、リツキがナツのベッドでアイとちゅー、…」
デカい声を出すナツキの口を、リツキが慌てて手でふさぐ。
「っほら、ナツキ。お前、ゴーゴージャー観るんだろ。
俺、アイを送ってくるから、バイバイしな」
が。
「…いてっ」
ナツキがリツキの手に噛みついて、
「リツキばっかりずるいっ!ボクもするっ」
オレの前にやってきた。
「はい、アイ、ちゅー」
ナツキが目を閉じて、その可愛らしい唇をオレの前に突き出す。
え…
迫りくるナツキにちょっとドキドキしていると、
「もがっ」
リツキの手に口を覆われた。
「バカ、アイ。行くぞ」
そのまま強引に部屋から引きずり出される。
「ずるい~っ、リツキ、ずるいいい~~っ」
半泣きのナツキの声に見送られながら、
「すみません、お邪魔しました~」
リツキの家を後にした。
「お前、ちょっと来い」
オレんちまでもう10歩しかないのに、リツキがオレを連れて団地から遠ざかる。
「お前さ、…」
団地併設の児童遊園には、誰もいない。
リツキが滑り台にもたれかかりながらオレを見る。
「俺とシたいの?」
外灯に照らされて、リツキの顔がちょっと陰になってる。
眼だけが妙に光を帯びて、艶やかで、その眼はオレを簡単に捕まえる。
…ずるい。
オレだけ、いっぱいいっぱいで、ドキドキして、バクバクして、頭が沸騰して、泣きたくなって、…
「…わかん、ね。…でも、負けたく、ねー…」
リツキから目を逸らして、奥歯を噛みしめる。
ハゲって、涙腺も刺激するのかな?
オレの手に絡められたリツキの大きな手とか、
胸から腰まで密着した身体とか、
両脚を挟み込むように立てられた膝とか、…
なんで、こんなに全身でリツキを感じるんだ。
リツキでいっぱいになって、他には何も考えられない。
ここがどこで、自分が何をしたくて、
リツキと何を言い合ってたのか、全部吹き飛んで。
リツキの重みと、つないだ手と、甘い舌だけが、
オレの全てになる。
「リツ、…」
リツキの唇が離れたから、目を開けると、
なんでかリツキがちょっと泣きそうな顔をしていた。
「アイのくせに、誘ってんじゃねえよ」
リツキの唇が再び降りてくる。
吐く息が甘い。
キスの合間に、自分がオンナノコみたいな甘い声を、
漏らしたような気がする。
「ちゅーしてる」
ナツキの声がオレを現実に引き戻した。
部屋のドアを豪快に開け放ったまま、
「ママ~、リツキがナツのベッドでアイとちゅー、…」
デカい声を出すナツキの口を、リツキが慌てて手でふさぐ。
「っほら、ナツキ。お前、ゴーゴージャー観るんだろ。
俺、アイを送ってくるから、バイバイしな」
が。
「…いてっ」
ナツキがリツキの手に噛みついて、
「リツキばっかりずるいっ!ボクもするっ」
オレの前にやってきた。
「はい、アイ、ちゅー」
ナツキが目を閉じて、その可愛らしい唇をオレの前に突き出す。
え…
迫りくるナツキにちょっとドキドキしていると、
「もがっ」
リツキの手に口を覆われた。
「バカ、アイ。行くぞ」
そのまま強引に部屋から引きずり出される。
「ずるい~っ、リツキ、ずるいいい~~っ」
半泣きのナツキの声に見送られながら、
「すみません、お邪魔しました~」
リツキの家を後にした。
「お前、ちょっと来い」
オレんちまでもう10歩しかないのに、リツキがオレを連れて団地から遠ざかる。
「お前さ、…」
団地併設の児童遊園には、誰もいない。
リツキが滑り台にもたれかかりながらオレを見る。
「俺とシたいの?」
外灯に照らされて、リツキの顔がちょっと陰になってる。
眼だけが妙に光を帯びて、艶やかで、その眼はオレを簡単に捕まえる。
…ずるい。
オレだけ、いっぱいいっぱいで、ドキドキして、バクバクして、頭が沸騰して、泣きたくなって、…
「…わかん、ね。…でも、負けたく、ねー…」
リツキから目を逸らして、奥歯を噛みしめる。
ハゲって、涙腺も刺激するのかな?
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