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hage.26

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声を聞きつけて、ナツキが玄関に飛んでくる。

「アイっ」

ナツキは全力でタックルしてくるから、受け止めるのが大変だ。

「よう」

ナツキの頭をなでてやる。
ナツキはリツキの年の離れた弟で、今、5歳。
リツキに似てなくて素直で、すごく可愛い。

「アイ~」

ナツキがオレにしがみつく。
でもまあ、5歳児はなかなか重たい。

「ナツキさ、カピバラのぬいぐるみ持ってんだって?ちょっとだけ見せてくんない?」

「うんっ」

ナツキがオレの手を引いて、リツキ兼ナツキの部屋に入る。
そういや、リツキの部屋に入るのは久しぶりだな。
オレんちと同じく、ここの兄弟も二段ベッドで寝ている。

「これ」

ナツキが自分の2/3くらいありそうな、カピバラのぬいぐるみを下のベッドから取り出して見せてくれた。

…四角い。
これ、もはや、枕じゃね?

「…アイになら、貸してあげてもいいよ」

ちょっともじもじしながら言ってくれるナツキはめちゃめちゃ可愛い。

「さんきゅーな」

ナツキの頭をなでると、すり寄ってきたからカピバラと一緒に抱きしめる。
確かに抱き心地はいいけども。
オレは、これか…

「あ、おかえり~」

リツキの母ちゃんの声がする。

うお、リツキ、もう帰ってきたのかよ。
早くね?

急いでナツキにカピバラを返し、ベッドの下段に潜り込んだ。

「ナイショな、ナイショ!」

オレが口の前に指を立てると、ナツキが妙にまじめな顔でうなずいた。

頭から布団をかぶるのとほぼ同時に、部屋のドアが開く音が聞こえた。

「リツキ、アイ、来てないよ」

ナツキ~~~~~っ

ナツキの素直すぎる一言に、布団の中で固まる。
…消えたい。

「あ?…そうか。ナツキ、ありがとな。お前、ホントいい子だな」

リツキの声が空寒い。

「ナツキ。俺のプリンやるから、食べてこい」

「うんっ」

あああ~っ、ナツキ、オレを置いて行くなよっ

「アイ」

うお。
ベッドに重みがかかったかと思うと、布団ごと拘束された。

「俺のベッドで待ってるなんて、大胆だな、お前」

あっという間に布団が跳ね除けられ、背後から抱えられたと思ったら、一気に視界が反転して、上向きになっていた。
すぐ目の前に、リツキの顔がある。
身体ごと上からリツキにのしかかられている。

「リツ、…これ、ナツキのベッドじゃ、…」

ともかく、この場を何とかしなきゃと、もごもご言いかけた口は、瞬く間にリツキの唇に封じ込められた。

狭い二段ベッドの中で、リツキの舌に溶かされる。
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