【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

remo

文字の大きさ
上 下
24 / 118

hage.24

しおりを挟む
「チナ~、帰ろ」
「うん、じゃあね~、アイ」

チナツがオレに手を振って、校門で待っていたタケダと仲良く帰ってしまった。

部室を出てから、オレの右手はリツキに拘束されている。
右手をつかむリツキの、節くれだったデカい手が、なんか妙に気になる。

熱い。
熱くて、右側を見れねー。

「アイ、どっか寄る?」

ビクっ。
リツキの問いかけに大げさに肩を跳ね上げてしまった。

どどど、どっか、って。
ままま、まさか、…。

「おい、どっち向いてんだよ」

リツキがオレの頭をつかんで、自分に向き直らせる。
う、…
至近距離にリツキの顔が。
ききき、キスできそうな距離に。

「お前、なんか、赤くね?」

リツキがオレの額に手をのせて、

「ん?」

次いで、自分の額を触れ合わせた。

「いてぇ」

リツキがあんまり近すぎて、勢い余って、気づいたら頭突いてた。

「あ、あ、赤くねーよっ」

リツキから目を逸らしてそそくさと歩く。

「おい、待て。なんか、お前、変だぞ?」

けど、がっちりつながれた右手を引っ張られ、よろけて、リツキに突っ込んだ。

図らずもリツキの腕の中!
うおっ、ししし、心臓が半端ねー。バクバクが半端ねー。

「…ん」

なんでか、リツキがぎゅっとオレを抱きしめる。

「なな、何す、…」

まさか、こんな人通りの多い往来で、いいい、いかがわしいこととか、…

直立不動のまま、動けないオレに、

「アイって、抱き心地いいな」

のんきなリツキの声。

抱きっ!? 抱くって、つまり、抱くって、…

「ナツキのカピバラのぬいぐるみみてー」

…カピバラ?

カピバラってでかいネズミじゃねーかっ

下からリツキを頭突くと、またもリツキの顎にクリーンヒットしたらしく、

「いてーよ、アイ。いきなり暴れんな、舌噛むだろ」

リツキが顔をしかめながら舌を出す。

舌…

「お前、やっぱ、赤くね?大丈夫か?」

リツキがオレの額に触ろうとするけど、

「触んなっ」

その手を振り払ってしまった。

「あ?」

リツキが眉根を寄せる。
やべー、なんか怒らせたっぽい。

「お前、さっきから何なの?」

リツキがオレの前に立ちはだかる。
後ろに下がろうとしたら柵にぶつかって気づいたら逃げ場を失っていた。

「吐け」

リツキがオレのリボンを摘み上げながら、顔を近づける。

近い。マジで近い。
リツキの長いまつげとか、茶色がかった瞳とか。
オトコのくせにきれいな肌とか、艶やかな唇とかが近すぎてっ

「オレは別に、なんもやらしーことは考えてねーっ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤマネ姫の幸福論

ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。 一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。 彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。 しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。 主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます! どうぞ、よろしくお願いいたします!

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

父(とと)さん 母(かか)さん 求めたし

佐倉 蘭
歴史・時代
★第10回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ ある日、丑丸(うしまる)の父親が流行病でこの世を去った。 貧乏裏店(長屋)暮らしゆえ、家守(大家)のツケでなんとか弔いを終えたと思いきや…… 脱藩浪人だった父親が江戸に出てきてから知り合い夫婦(めおと)となった母親が、裏店の連中がなけなしの金を叩いて出し合った線香代(香典)をすべて持って夜逃げした。 齢八つにして丑丸はたった一人、無一文で残された—— ※「今宵は遣らずの雨」 「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

瞬間、青く燃ゆ

葛城騰成
ライト文芸
 ストーカーに刺殺され、最愛の彼女である相場夏南(あいばかなん)を失った春野律(はるのりつ)は、彼女の死を境に、他人の感情が顔の周りに色となって見える病、色視症(しきししょう)を患ってしまう。  時が経ち、夏南の一周忌を二ヶ月後に控えた4月がやって来た。高校三年生に進級した春野の元に、一年生である市川麻友(いちかわまゆ)が訪ねてきた。色視症により、他人の顔が見えないことを悩んでいた春野は、市川の顔が見えることに衝撃を受ける。    どうして? どうして彼女だけ見えるんだ?  狼狽する春野に畳み掛けるように、市川がストーカーの被害に遭っていることを告げる。 春野は、夏南を守れなかったという罪の意識と、市川の顔が見える理由を知りたいという思いから、彼女と関わることを決意する。  やがて、ストーカーの顔色が黒へと至った時、全ての真実が顔を覗かせる。 第5回ライト文芸大賞 青春賞 受賞作

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

処理中です...