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hage.20
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『やっぱり破局!サルに恋愛はムリだった!』
とかいう号外が朝から配られて、学校のヤツらが煩かったけど、
半端ないリツキの不機嫌オーラに自然鎮静された。
つか、サルってオレ?
リツキは、今朝、オレを迎えに来なかった。
このところ、毎日一緒に登校してたから、オレたちがダメになったのは、誰の目にも明らかだ。
ダメも何も、もともと付き合ってねーけど…
鬼畜なリツキがいつオレのハゲを暴露するか気が気じゃなくって、
もはやハゲがムズムズするけど、今のところ、まだ話題にはなっていない。
教室で、チラっとリツキをうかがい見たけど、
リツキは一切、オレを見ない。
こんな風にリツキと喧嘩するのは初めてだ。
どんなにオレが悪態ついても、なんだかんだ、なだめに来た気がする。
こんな、口もきかないなんて。
…ため息しか出ない。
「アイ、オレンジのリボンも可愛いね」
優しいチナツはそう言ってくれるけど、ハナクソがオレのハゲで遊び倒した挙句のチョイスだ。
金さえあれば、ハナクソに借りたりしないのに。
「アイ、顔暗い~、悩むとハゲが広がるよ~ん」
笑えない一言をくらうこともなかったのに。
クソ、頑張れ、毛根っ
あんまりにもオレが淀んだ空気を醸しているから、チナツが昼にドーナツを奢ってくれた。
いつもの中庭で昼食タイム。
「大っ嫌い、かぁ。それでリツキくん、殺気立ってたんだぁ。もぅ、2人とも素直じゃないなぁ。」
サンドイッチを食べながら、頬を膨らませてみせるチナツは、幸せオーラ全開だ。
あの後、結局、チナツとタケダは付き合うことになったらしい。
「素直にならないと、ヒグチくんとかカワシマセンセとか、こんがらがっちゃうよ?」
朝、ヒグチに告られたことを相談した結果、
「悩むことないじゃん。アイはリツキくんが好きでしょ」
スパッと軽快に切られた。
「アイ、リボン結んでるじゃん。それって、リツキくんのモノってことなんでしょう?」
うふふ、と訳知り顔で笑うチナツ。
いや。ただのハゲ隠しですから。
でも、アイツ、そんなこと、言ってたっけなぁ…
「アイ、勇気出して、カワシマセンセのこと、ちゃんと聞いた方がいいよ。リツキくん、モテるから、軽いトコあったかもしれないけど、でも、アイには一途だと思うよ」
チナツがくれたドーナツが甘い。
「恋って甘いばっかじゃないけど、でも、やっぱりいいよ」
チナツはいそいそと携帯を取り出して、
「カイトくん。すごくマメなんだよ。メール、いっぱいくれるの」
嬉しそうに竹田カイトからのラブメールを見せてくれた。
とかいう号外が朝から配られて、学校のヤツらが煩かったけど、
半端ないリツキの不機嫌オーラに自然鎮静された。
つか、サルってオレ?
リツキは、今朝、オレを迎えに来なかった。
このところ、毎日一緒に登校してたから、オレたちがダメになったのは、誰の目にも明らかだ。
ダメも何も、もともと付き合ってねーけど…
鬼畜なリツキがいつオレのハゲを暴露するか気が気じゃなくって、
もはやハゲがムズムズするけど、今のところ、まだ話題にはなっていない。
教室で、チラっとリツキをうかがい見たけど、
リツキは一切、オレを見ない。
こんな風にリツキと喧嘩するのは初めてだ。
どんなにオレが悪態ついても、なんだかんだ、なだめに来た気がする。
こんな、口もきかないなんて。
…ため息しか出ない。
「アイ、オレンジのリボンも可愛いね」
優しいチナツはそう言ってくれるけど、ハナクソがオレのハゲで遊び倒した挙句のチョイスだ。
金さえあれば、ハナクソに借りたりしないのに。
「アイ、顔暗い~、悩むとハゲが広がるよ~ん」
笑えない一言をくらうこともなかったのに。
クソ、頑張れ、毛根っ
あんまりにもオレが淀んだ空気を醸しているから、チナツが昼にドーナツを奢ってくれた。
いつもの中庭で昼食タイム。
「大っ嫌い、かぁ。それでリツキくん、殺気立ってたんだぁ。もぅ、2人とも素直じゃないなぁ。」
サンドイッチを食べながら、頬を膨らませてみせるチナツは、幸せオーラ全開だ。
あの後、結局、チナツとタケダは付き合うことになったらしい。
「素直にならないと、ヒグチくんとかカワシマセンセとか、こんがらがっちゃうよ?」
朝、ヒグチに告られたことを相談した結果、
「悩むことないじゃん。アイはリツキくんが好きでしょ」
スパッと軽快に切られた。
「アイ、リボン結んでるじゃん。それって、リツキくんのモノってことなんでしょう?」
うふふ、と訳知り顔で笑うチナツ。
いや。ただのハゲ隠しですから。
でも、アイツ、そんなこと、言ってたっけなぁ…
「アイ、勇気出して、カワシマセンセのこと、ちゃんと聞いた方がいいよ。リツキくん、モテるから、軽いトコあったかもしれないけど、でも、アイには一途だと思うよ」
チナツがくれたドーナツが甘い。
「恋って甘いばっかじゃないけど、でも、やっぱりいいよ」
チナツはいそいそと携帯を取り出して、
「カイトくん。すごくマメなんだよ。メール、いっぱいくれるの」
嬉しそうに竹田カイトからのラブメールを見せてくれた。
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