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hage.17
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「こら、古町っ!人に向けて放水するな」
「古町~、起震車体験は1人1回までだっ」
「古町!アルファ米を大盛りにするな」
宿泊防災訓練なるもののおかげで、学校に泊まることになった。
AEDとか煙体験とか止血法とかいろいろやった後、22時半には一人一枚毛布をもって、教室で寝る。
ワケだけど、当然誰も寝ない。
「ね~ね~、アイ~。それでリツキくんと、どこまでいったの~?」
女子部屋のヤツらが集まってくる。
「…海?」
ムグムグ昆布を噛むオレ。
この前帰りに、リツキが買ってくれた「おやつ昆布」は「だし昆布」を遥かにしのぐ美味しさだ。
「ちっが~う!」
「いったって言えば、2人の関係!」
「つまり、ヤッたかどうかってことでしょ~!?」
女子の迫力にビビる。
いつの間にそんな意味になったんだ?
「ヤッてねーよ」
ったく、みんな、そればっかじゃんよ。
そりゃあ、確かに女性ホルモンとかなんか変わりそうな気がするけど、リツキとって、…なぁ。
「アイ、そんなのんきにしてていいの?」
「女豹カワシマに持ってかれちゃうよ?」
「リッく~ん、って、何アピールだってのよ!」
憤慨する女子ら。
カワシマは授業終了後、必ずリツキに声をかけてから教室を出る。
そのたびに、落胆のため息を漏らす男子と、むっつりと黙り込む女子。
「中学ん時の塾のセンセって言ってたぞ」
この前のリツキの言葉を思い出していると、
「あれは、それだけじゃないよ」
「ただの塾講師と生徒には見えないね」
「ヤッてる可能性高いよ」
「全くこれだからお子ちゃまは」と言わんばかりの憐みのまなざしを向けられる。
え、…そうなの?
ご意見番チナツ様をうかがい見ると、言いづらそうに上目で見返してきた。
「わかった! 確かめてくるっ」
そうと決まれば、直接確認あるのみっ
速攻、教室を飛び出すと、
「アイ~、待ってよ」
チナツが着いてきた。
見回りの先生がいないのを確認しながら、男子部屋に乗り込む。
「リツ~っ」
「うわぁ、コマチっ!!」
大慌てで何やら隠す男子ども。100%エロ本と思われる。
ったく、最近こんなんばっか。
「あ、えーっと、リツキね」
「さっき、出てったろ?川嶋先生に呼ばれて」
「ああ、リッくん、か」
カワシマ…
「アイ…」
チナツが心配そうにオレを見てくるから、笑ってみせた。
別に呼び出しくらい、あるだろ。
男子部屋のヤツらに礼を言って、
「オレ、ちょっと捜してみるから…」
言いかけると、チナツがオレの腕にひっついてきた。
「一緒に行くよ」
「へへっ…」
チナツはマジで優しくてイイヤツだ。
「古町~、起震車体験は1人1回までだっ」
「古町!アルファ米を大盛りにするな」
宿泊防災訓練なるもののおかげで、学校に泊まることになった。
AEDとか煙体験とか止血法とかいろいろやった後、22時半には一人一枚毛布をもって、教室で寝る。
ワケだけど、当然誰も寝ない。
「ね~ね~、アイ~。それでリツキくんと、どこまでいったの~?」
女子部屋のヤツらが集まってくる。
「…海?」
ムグムグ昆布を噛むオレ。
この前帰りに、リツキが買ってくれた「おやつ昆布」は「だし昆布」を遥かにしのぐ美味しさだ。
「ちっが~う!」
「いったって言えば、2人の関係!」
「つまり、ヤッたかどうかってことでしょ~!?」
女子の迫力にビビる。
いつの間にそんな意味になったんだ?
「ヤッてねーよ」
ったく、みんな、そればっかじゃんよ。
そりゃあ、確かに女性ホルモンとかなんか変わりそうな気がするけど、リツキとって、…なぁ。
「アイ、そんなのんきにしてていいの?」
「女豹カワシマに持ってかれちゃうよ?」
「リッく~ん、って、何アピールだってのよ!」
憤慨する女子ら。
カワシマは授業終了後、必ずリツキに声をかけてから教室を出る。
そのたびに、落胆のため息を漏らす男子と、むっつりと黙り込む女子。
「中学ん時の塾のセンセって言ってたぞ」
この前のリツキの言葉を思い出していると、
「あれは、それだけじゃないよ」
「ただの塾講師と生徒には見えないね」
「ヤッてる可能性高いよ」
「全くこれだからお子ちゃまは」と言わんばかりの憐みのまなざしを向けられる。
え、…そうなの?
ご意見番チナツ様をうかがい見ると、言いづらそうに上目で見返してきた。
「わかった! 確かめてくるっ」
そうと決まれば、直接確認あるのみっ
速攻、教室を飛び出すと、
「アイ~、待ってよ」
チナツが着いてきた。
見回りの先生がいないのを確認しながら、男子部屋に乗り込む。
「リツ~っ」
「うわぁ、コマチっ!!」
大慌てで何やら隠す男子ども。100%エロ本と思われる。
ったく、最近こんなんばっか。
「あ、えーっと、リツキね」
「さっき、出てったろ?川嶋先生に呼ばれて」
「ああ、リッくん、か」
カワシマ…
「アイ…」
チナツが心配そうにオレを見てくるから、笑ってみせた。
別に呼び出しくらい、あるだろ。
男子部屋のヤツらに礼を言って、
「オレ、ちょっと捜してみるから…」
言いかけると、チナツがオレの腕にひっついてきた。
「一緒に行くよ」
「へへっ…」
チナツはマジで優しくてイイヤツだ。
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