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hage.15

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「リッくん」

授業が終わるや否や、カワシマがリツキに駆け寄った。

リッくん~~~~~~~?????

クラス中の熱い視線がカワシマとリツキに集中する。

「会いたかった。サッカー頑張ってるね。後で練習見に行くね」

かわいらしい笑顔を振りまいて、心底嬉しそうにリツキを見るカワシマに、リツキは何も言わず、席を立って教室を出て行った。

「うお~、アヤちゃん、リツキとワケアリかよ~」
「リツキ、モテすぎじゃね?」
「あんな年上美女まで持ってくなんて、ズリーよ」

とたんに巻き起こる男子総出のブーイング。

「何よ~、オバサンがリツキくんに色目使うなっての」
「見苦しいのよ、ねぇ」
「ホント、オトコって見る目ないっ」

なんでか、応対する女子。

「もぉ~、みんな落ち着こうよ。リツキくんは、アイと交際宣言してるんだから」

チナツの言葉にクラスの視線はオレに集まり、

「アイっ、昆布かじってる場合じゃないでしょ!?」

一気に散っていった。

「古町、授業中に昆布を食べるな」

6限の古典で、ハゲヤマ、もとい、ハギヤマがうらやましそうにオレを見るから、何も言わずに分けてやった。

今までただのムサいジジイだと思ってて、ごめんよ。
オレたち、仲間だったんだな。

「いや、いらないから」

ハゲヤマのくせに、遠慮深い。

「あー…、古町。廊下で食べてこい」

チッ。
まあ、ハゲヤマの場合は再生の可能性が薄いからな。
仕方あるまい。

最近のお供は断じて昆布だ。
昆布って、マジすげーんだって。

噛みごたえがあって、長持ちするし、
家の戸棚に年中あるからタダだし、
何より髪に必要なヨウ素とビタミンを含んでいるっ!

ワカメもいいけど、昆布もね。

窓から外を見ながらムグムグ食ってると、
渡り廊下にいる、リツキとカワシマが見えた。

そういや、さっき出てったまま、
6限が始まっても帰ってこなかったな、と思って見てたら、
カワシマとリツキが近づいて、キスした。

エロリツのキスシーンなんて、腐るほど見てきたのに、
心臓にでかい杭を打ち込まれたように、苦しくて息が出来ない。

なにこれ、…発作?
頭に血が上って、心臓がバクバクして、
思考が停止して、足元の地面が崩れ落ちていく。

吐きそうになって、トイレに駆け込んだ。
昆布を落としたことにも気づかなかった。

「おい、古町、いい加減戻ってこい。…て、いない?」

個室に閉じこもる。
すげー苦しくて、胃がギリギリして、涙が出た。

オレ、もうダメかも…
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