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hage.08
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「や、…だっ!」
渾身の力でリツキを押し返す。
悔しくて、涙さえ込み上げる。
「所構わず、してんな、キス魔っ!
…オレは、心臓病かもしれないんだよっ」
「は?」
完全に面食らったようなリツキを振り払って駆け出した。
もう二度とリツキとキスするもんか。
アイツが誰とでも簡単にするようなキス、絶対絶対もうしない。
「アイっ、待てよ!」
リツキが追いかけてくるから必死で走った。
なのに、あっという間に追いつかれる。
くそ、こいつ、足速え。
「やだやだやだ…!」
暴れるオレをリツキがその長い腕の中に囲い込む。
「わかったから、落ち着け」
リツキがぎゅうぎゅうオレを締め付ける。
断じてこれは、抱きしめられてるとかじゃねー。
「…何が、やなんだよ?」
リツキのバカ力に負けて、もがけなくなったオレを、腕の中に閉じ込めたまま、あやすようにリツキが言う。
「…心臓が、…キリキリする」
クソ、オレ、なんで涙声なんだ。
「オレ、本格的にやばいかもしんない。び、病院、行った方がいいかもしんない」
リツキは黙ってオレを見つめ、そっと目じりの涙にキスして、
「…わりぃ」
苦しいくらい強く強く抱きしめた。
「病院行くなら、一緒に行ってやるから」
リツキは大きくて、胸も広い。
「…もう、人前ではしないから」
耳元で響く声も、低い。
「泣くなよ」
リツキの声が優しい気がして、リツキの胸の中が温かい気がして、このままずっと、こうしててほしいとか思いそうになって、…
オレは、脳もやられたのかもしれない。
「なー、…キス、ってさ」
誰とでもできんの?
教室でこっそりチナツに聞くと、チナツは一瞬唖然としたような顔をして、その後、猛烈にやらしいニヤニヤ笑いを浮かべた。
「いや~ん、アイが乙女になってる~」
「ばっ…!」
バカ、チナツ! クネクネすんな。でかい声だすな。
リツがこっち見てんだろ!
「アイったら、心配なんだ~。まぁ、わかるよ。リツキくん、モテるし、アイ、色気ないし」
うんうん、と変なところで納得するチナツ。
色気とか、関係…
「あっ!」
もしかしたら、ホルモンバランスの問題なのか。
オレがオンナノコらしくないから、おっさん化の象徴として、ハゲが…
「でも、大丈夫だよ。リツキくんは、ずっとアイに一途だもん」
なんか言ってるチナツの肩をがしっとつかみ、
「チナツ!オレ、女になるっ」
「…は?」
チナツが心底ぎょっとしたような顔でオレを見た。
渾身の力でリツキを押し返す。
悔しくて、涙さえ込み上げる。
「所構わず、してんな、キス魔っ!
…オレは、心臓病かもしれないんだよっ」
「は?」
完全に面食らったようなリツキを振り払って駆け出した。
もう二度とリツキとキスするもんか。
アイツが誰とでも簡単にするようなキス、絶対絶対もうしない。
「アイっ、待てよ!」
リツキが追いかけてくるから必死で走った。
なのに、あっという間に追いつかれる。
くそ、こいつ、足速え。
「やだやだやだ…!」
暴れるオレをリツキがその長い腕の中に囲い込む。
「わかったから、落ち着け」
リツキがぎゅうぎゅうオレを締め付ける。
断じてこれは、抱きしめられてるとかじゃねー。
「…何が、やなんだよ?」
リツキのバカ力に負けて、もがけなくなったオレを、腕の中に閉じ込めたまま、あやすようにリツキが言う。
「…心臓が、…キリキリする」
クソ、オレ、なんで涙声なんだ。
「オレ、本格的にやばいかもしんない。び、病院、行った方がいいかもしんない」
リツキは黙ってオレを見つめ、そっと目じりの涙にキスして、
「…わりぃ」
苦しいくらい強く強く抱きしめた。
「病院行くなら、一緒に行ってやるから」
リツキは大きくて、胸も広い。
「…もう、人前ではしないから」
耳元で響く声も、低い。
「泣くなよ」
リツキの声が優しい気がして、リツキの胸の中が温かい気がして、このままずっと、こうしててほしいとか思いそうになって、…
オレは、脳もやられたのかもしれない。
「なー、…キス、ってさ」
誰とでもできんの?
教室でこっそりチナツに聞くと、チナツは一瞬唖然としたような顔をして、その後、猛烈にやらしいニヤニヤ笑いを浮かべた。
「いや~ん、アイが乙女になってる~」
「ばっ…!」
バカ、チナツ! クネクネすんな。でかい声だすな。
リツがこっち見てんだろ!
「アイったら、心配なんだ~。まぁ、わかるよ。リツキくん、モテるし、アイ、色気ないし」
うんうん、と変なところで納得するチナツ。
色気とか、関係…
「あっ!」
もしかしたら、ホルモンバランスの問題なのか。
オレがオンナノコらしくないから、おっさん化の象徴として、ハゲが…
「でも、大丈夫だよ。リツキくんは、ずっとアイに一途だもん」
なんか言ってるチナツの肩をがしっとつかみ、
「チナツ!オレ、女になるっ」
「…は?」
チナツが心底ぎょっとしたような顔でオレを見た。
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