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hage.05
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「も~ぅ、アイったら、そんな拗ねないの」
グラウンドの片隅でチナツとアップしていると、
広々としたコートで練習する男子チームの、中でもひときわ目立つリツキが嫌でも目に入る。
「ラブなリツキくんと一緒に練習したいのはわかるけど、仕方ないよ。女子は人数少なくて、実力が全然下なんだから」
ラブじゃねー。
オレは当初の目的を思い出したんだ。
リツをオレの前にひざまずかせてやるんだっ
リフティングをしながら、
「でさー。リツキくんとは、どこまでいったの?もうちゅーした?」
チナツがこそっと、囁きかけるから、朝のあのエロ度マックスのリツキを思い出して足元が狂い、ボールを明後日の方向に飛ばしてしまった。
「…わかりやすい」
ちくしょー、顔が熱いぜ。
慌ててボールを取りに走り、やっと追いついたところで、
「ジャマだ、ハゲ」
諸悪の根源がオレのボールに足をかけた。
「て、てめっ、ハハハ、ハゲ、とか…!」
なんてこと言うんだ!
ハゲにハゲっつっちゃいけないんだぞ。
小学校で習わなかったのかよ、こんちくしょー。
怒りでわなわなしながらリツキをにらみ上げると、
「可愛いな、お前」
ちゅ。
リツキはすばやく屈みこんでオレにキスしてから、オレのボールを蹴飛ばした。
「な…、なな…」
ショックのあまり足がよろける。
キィヤアアーーーー
男子サッカーを応援するギャラリーから悲鳴が上がった。
リツキは涼しい顔をしてさっさと練習に戻ってしまい、
「やだもー、見せつけすぎ~」
「リツキくん、甘いぃ~」
オレは一人で一斉に向けられる好奇の目に耐える羽目になった。
…死にたい。
いつもの100倍くらい疲れて、ぐったりしながら部室を出ると、
「帰るぞ、アイ」
スポーツバックを肩にたたずむリツキ。
キャアアア~~~
なぜか色めき立つ女子サッカー部員たち。
「ざ、けんなよ。なんでオレがお前なんかと…」
屈辱の数々を思い出し、リツキの前を足早に通り過ぎようとすると、
「照れんなって」
リツキに肩を引き寄せられ、顔からリツキに突っ込む羽目になった。
「あにす、…」
文句を言いかけると、リツキは、オレのリボンで結ばれた髪を容赦なくつかむ。
「おいっ」
貴重な髪を軽々しくつかむんじゃねー。
振り払おうとすると、リツキがオレの唇に人差し指で触れ、
「…バラすよ?」
悪魔の笑顔を見せた。
グラウンドの片隅でチナツとアップしていると、
広々としたコートで練習する男子チームの、中でもひときわ目立つリツキが嫌でも目に入る。
「ラブなリツキくんと一緒に練習したいのはわかるけど、仕方ないよ。女子は人数少なくて、実力が全然下なんだから」
ラブじゃねー。
オレは当初の目的を思い出したんだ。
リツをオレの前にひざまずかせてやるんだっ
リフティングをしながら、
「でさー。リツキくんとは、どこまでいったの?もうちゅーした?」
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「…わかりやすい」
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慌ててボールを取りに走り、やっと追いついたところで、
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「て、てめっ、ハハハ、ハゲ、とか…!」
なんてこと言うんだ!
ハゲにハゲっつっちゃいけないんだぞ。
小学校で習わなかったのかよ、こんちくしょー。
怒りでわなわなしながらリツキをにらみ上げると、
「可愛いな、お前」
ちゅ。
リツキはすばやく屈みこんでオレにキスしてから、オレのボールを蹴飛ばした。
「な…、なな…」
ショックのあまり足がよろける。
キィヤアアーーーー
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「やだもー、見せつけすぎ~」
「リツキくん、甘いぃ~」
オレは一人で一斉に向けられる好奇の目に耐える羽目になった。
…死にたい。
いつもの100倍くらい疲れて、ぐったりしながら部室を出ると、
「帰るぞ、アイ」
スポーツバックを肩にたたずむリツキ。
キャアアア~~~
なぜか色めき立つ女子サッカー部員たち。
「ざ、けんなよ。なんでオレがお前なんかと…」
屈辱の数々を思い出し、リツキの前を足早に通り過ぎようとすると、
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「あにす、…」
文句を言いかけると、リツキは、オレのリボンで結ばれた髪を容赦なくつかむ。
「おいっ」
貴重な髪を軽々しくつかむんじゃねー。
振り払おうとすると、リツキがオレの唇に人差し指で触れ、
「…バラすよ?」
悪魔の笑顔を見せた。
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