【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

remo

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「言うこと、って…」

なんだ、この追い詰められていく感じは。

「キス」

「あ?」

悪魔が笑った。

「キス、しろよ。アイ」

「ななな、なんで…」

リツキが、無駄に整った顔をオレに近づける。

「キスしたら。黙っててやる」

人差し指で、オレの頬をつつくと、親指で、オレの唇をなでる。

なんでーっ
クソ、エロ、リツキ!

「ほら、早くしないと俺の口が滑っちゃうよ?3秒しか待てないよ?」

リツキの顔が妙に近くて、なんでか心臓がバクバクして、
顔が急速に熱くなって、

「さ~ん、に~、い~…」

ブチ。

目をつむって、リツキの顔に突っ込んだ。

「…いてーよ、アイ」

うお、鼻がジンジンする。
そっと、片目を開けると、リツキが痛そうに顔をしかめて鼻と口を押えていた。

「お前ねー、キスだよ、キス。頭突きじゃねえんだよ」

…ご立腹なオーラが漂う。やべー。

バチ。

こっそり逃げ出そうとしたオレの両頬をリツキが両手で挟む。

「なにす、…」

ちゅ。

リツキが長いまつげを伏せて、首を傾け、なんでか妙に艶やかな唇でオレの唇に触れた。

ちゅ。ちゅ。

柔らかいリツキの唇が何度も何度もオレに触れる。

「やめ、…」

言いかけたオレの言葉は、差し込まれたリツキの舌に吸いとられた。

リツキの舌が、オレの舌を誘う。

腰のあたりがぞくぞくして、
頭がくらくらして、息が上がって、
なんでか涙まで込み上げて、
リツキの長い脚と腕に支えられながら、リツキのシャツをつかんでいた。

リツキがオレを塀にもたれかけさせて唇を離すと、
足ががくがくして、そのままへたり込んでしまった。

「…そんな良かった?」

塀に手をついて、オレをのぞき込むリツキの余裕っぷりが悔しい。
これ見よがしに唇なめんじゃねー。
エロ技使ってくるんじゃねー。

にらみつけるオレの頭に手を置くと、

「ま、初めてにしちゃ、上出来だよ、アイちゃん」

奪い取ったリボンをオレのハゲに結んだ。

「決めた。今日からお前は俺のおもちゃだ」

おも…!?

「な、なに言って…」

立ち上がってリツキの胸ぐらをつかんでやろうとしたのに、
足に力が入らなくて、そのまま尻もちをついた。

くそ、なんだこの威力…!

「楽しく遊ぼうな。ハゲアイちゃん」

理解不能な宣言を高らかにすると、屈みこんだリツキは俺の頭に顔を埋めて、

ちゅー。

ハゲに口づけた。
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