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hage.01
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うおおおおおおーーーっ
風呂に響き渡るオレの絶叫。
「何よ、どしたの?」
姉ちゃんが飛んできて、遠慮なく風呂場のドアを開けるから、オレは急いでアタマを守った。
「何よ~?アイ。大きな声出して」
姉ちゃんがずかずか風呂に乗り込んでくる。
団地の風呂は狭い。
たった一歩で詰め寄られ、
「うお、やめろ!何でもねーっ」
吠えるオレをガン無視で、
「頭、どうかした?」
バカ力でオレの手をどかし、
「…ハゲてる」
乙女なオレに決定打をかます。
「ぶぷー、うそ!丸くハゲてるよっ!きれいにハゲだよ~」
オレの自慢の栗色の髪を容赦なくかき回し、腹を抱えて笑い転げる。
…ちょっとデリカシーなさすぎじゃね?
しかし、ハゲている。
何度、鏡を見てもハゲている。
しっかりくっきりハゲている。
「まぁまぁ、アイ。円形脱毛症ってやつでしょ?
大丈夫よ。そのうち治るよ」
他人事だと思って、のんきな発言をかますと、
「ぶぷ~、ウケる~」
姉ちゃんは抑えきれないらしく、大笑いしながら風呂を出て行った。
鏡を見る。
顎を引いて頭頂部を映す。
…ハゲ。
にこ。
微笑んでみる。
…ハゲ。
ウケねーよっ
くそ、一体いつからハゲてたんだ?
髪を洗った時、なんかここだけへこんでるような気がしたんだ。
でも、普段は見えないし、自分じゃ全然気づかなかった。
大好きなサッカーやって飛び跳ねてても、誰も何にも言わなかった。
…ヘディングし過ぎ?
いや。頭頂部じゃねぇ。
クソ~
【円形脱毛症】
通称:十円ハゲとは、頭に十円玉大の脱毛部分が出来る自己免疫病の1つである。自己免疫反応の結果、脱毛部分の毛根組織は萎縮し障害されるが、リンパ球反応が消失すれば元通りの毛が再生される。
Wikipediaを見ても、他のサイトを見ても、イマイチよくわかんねー。
どうすれば治るのか、わかんねー。
医者に行った方がいいのか、ほっといていいのか、わかんねー。
…はぁ。
寝たら元通りになってないかな~
と思って、豪快に寝て、朝が来たけど。
「アイ~、ハゲ好調じゃ~ん」
姉ちゃんが頭をかき回す。
「触んなよっ」
頭をガードするオレに、
「まぁまぁ、アイ。お姉ちゃんがいいもの付けてあげるから」
なんかやらしい笑みを浮かべて
「いや~ぁ、かわいい~~~」
ピンクのリボンを結びやがった。
「おい、ハナクソ!何だよ、このキモいリボン!」
オレの抗議に
「今、お姉さまに向かってなんてった?」
ハナがドスききまくりの声でヘッドロックをお見舞いしてくる。
「うぉ、ギブギブ!ハナお姉さま、おリボン、気持ち悪いっス」
ハナクソめ、マジでバカ力半端ねー。
「ふふん。分かればいいのよ。
い~い、アイ。女の子にリボン、これ常識。
これを機にアイも女の子の自覚を持てば一石二鳥よ!」
なんか、偉そうに人差し指を立ててるハナに、
「なー、違うのね~の?」
下出に出てみたけど、
「ない」
一刀両断。絶対ウソだろ。
「ほら~、早く行かないと遅刻しちゃうよ~」
なんで嬉しそうなんだよ。
ハゲとリボンが気になって、気が気じゃないオレは、
朝ごはんを三杯しか食べられずに家を出た。
風呂に響き渡るオレの絶叫。
「何よ、どしたの?」
姉ちゃんが飛んできて、遠慮なく風呂場のドアを開けるから、オレは急いでアタマを守った。
「何よ~?アイ。大きな声出して」
姉ちゃんがずかずか風呂に乗り込んでくる。
団地の風呂は狭い。
たった一歩で詰め寄られ、
「うお、やめろ!何でもねーっ」
吠えるオレをガン無視で、
「頭、どうかした?」
バカ力でオレの手をどかし、
「…ハゲてる」
乙女なオレに決定打をかます。
「ぶぷー、うそ!丸くハゲてるよっ!きれいにハゲだよ~」
オレの自慢の栗色の髪を容赦なくかき回し、腹を抱えて笑い転げる。
…ちょっとデリカシーなさすぎじゃね?
しかし、ハゲている。
何度、鏡を見てもハゲている。
しっかりくっきりハゲている。
「まぁまぁ、アイ。円形脱毛症ってやつでしょ?
大丈夫よ。そのうち治るよ」
他人事だと思って、のんきな発言をかますと、
「ぶぷ~、ウケる~」
姉ちゃんは抑えきれないらしく、大笑いしながら風呂を出て行った。
鏡を見る。
顎を引いて頭頂部を映す。
…ハゲ。
にこ。
微笑んでみる。
…ハゲ。
ウケねーよっ
くそ、一体いつからハゲてたんだ?
髪を洗った時、なんかここだけへこんでるような気がしたんだ。
でも、普段は見えないし、自分じゃ全然気づかなかった。
大好きなサッカーやって飛び跳ねてても、誰も何にも言わなかった。
…ヘディングし過ぎ?
いや。頭頂部じゃねぇ。
クソ~
【円形脱毛症】
通称:十円ハゲとは、頭に十円玉大の脱毛部分が出来る自己免疫病の1つである。自己免疫反応の結果、脱毛部分の毛根組織は萎縮し障害されるが、リンパ球反応が消失すれば元通りの毛が再生される。
Wikipediaを見ても、他のサイトを見ても、イマイチよくわかんねー。
どうすれば治るのか、わかんねー。
医者に行った方がいいのか、ほっといていいのか、わかんねー。
…はぁ。
寝たら元通りになってないかな~
と思って、豪快に寝て、朝が来たけど。
「アイ~、ハゲ好調じゃ~ん」
姉ちゃんが頭をかき回す。
「触んなよっ」
頭をガードするオレに、
「まぁまぁ、アイ。お姉ちゃんがいいもの付けてあげるから」
なんかやらしい笑みを浮かべて
「いや~ぁ、かわいい~~~」
ピンクのリボンを結びやがった。
「おい、ハナクソ!何だよ、このキモいリボン!」
オレの抗議に
「今、お姉さまに向かってなんてった?」
ハナがドスききまくりの声でヘッドロックをお見舞いしてくる。
「うぉ、ギブギブ!ハナお姉さま、おリボン、気持ち悪いっス」
ハナクソめ、マジでバカ力半端ねー。
「ふふん。分かればいいのよ。
い~い、アイ。女の子にリボン、これ常識。
これを機にアイも女の子の自覚を持てば一石二鳥よ!」
なんか、偉そうに人差し指を立ててるハナに、
「なー、違うのね~の?」
下出に出てみたけど、
「ない」
一刀両断。絶対ウソだろ。
「ほら~、早く行かないと遅刻しちゃうよ~」
なんで嬉しそうなんだよ。
ハゲとリボンが気になって、気が気じゃないオレは、
朝ごはんを三杯しか食べられずに家を出た。
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