【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

remo

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うおおおおおおーーーっ

風呂に響き渡るオレの絶叫。

「何よ、どしたの?」

姉ちゃんが飛んできて、遠慮なく風呂場のドアを開けるから、オレは急いでアタマを守った。

「何よ~?アイ。大きな声出して」

姉ちゃんがずかずか風呂に乗り込んでくる。
団地の風呂は狭い。
たった一歩で詰め寄られ、

「うお、やめろ!何でもねーっ」

吠えるオレをガン無視で、

「頭、どうかした?」

バカ力でオレの手をどかし、

「…ハゲてる」

乙女なオレに決定打をかます。

「ぶぷー、うそ!丸くハゲてるよっ!きれいにハゲだよ~」

オレの自慢の栗色の髪を容赦なくかき回し、腹を抱えて笑い転げる。

…ちょっとデリカシーなさすぎじゃね?

しかし、ハゲている。
何度、鏡を見てもハゲている。
しっかりくっきりハゲている。

「まぁまぁ、アイ。円形脱毛症ってやつでしょ?
大丈夫よ。そのうち治るよ」

他人事だと思って、のんきな発言をかますと、

「ぶぷ~、ウケる~」

姉ちゃんは抑えきれないらしく、大笑いしながら風呂を出て行った。

鏡を見る。
顎を引いて頭頂部を映す。
…ハゲ。

にこ。
微笑んでみる。
…ハゲ。

ウケねーよっ

くそ、一体いつからハゲてたんだ?
髪を洗った時、なんかここだけへこんでるような気がしたんだ。
でも、普段は見えないし、自分じゃ全然気づかなかった。

大好きなサッカーやって飛び跳ねてても、誰も何にも言わなかった。
…ヘディングし過ぎ?
いや。頭頂部じゃねぇ。

クソ~

【円形脱毛症】
通称:十円ハゲとは、頭に十円玉大の脱毛部分が出来る自己免疫病の1つである。自己免疫反応の結果、脱毛部分の毛根組織は萎縮し障害されるが、リンパ球反応が消失すれば元通りの毛が再生される。

Wikipediaを見ても、他のサイトを見ても、イマイチよくわかんねー。
どうすれば治るのか、わかんねー。
医者に行った方がいいのか、ほっといていいのか、わかんねー。

…はぁ。
寝たら元通りになってないかな~

と思って、豪快に寝て、朝が来たけど。

「アイ~、ハゲ好調じゃ~ん」

姉ちゃんが頭をかき回す。

「触んなよっ」

頭をガードするオレに、

「まぁまぁ、アイ。お姉ちゃんがいいもの付けてあげるから」

なんかやらしい笑みを浮かべて

「いや~ぁ、かわいい~~~」

ピンクのリボンを結びやがった。

「おい、ハナクソ!何だよ、このキモいリボン!」

オレの抗議に

「今、お姉さまに向かってなんてった?」

ハナがドスききまくりの声でヘッドロックをお見舞いしてくる。

「うぉ、ギブギブ!ハナお姉さま、おリボン、気持ち悪いっス」

ハナクソめ、マジでバカ力半端ねー。

「ふふん。分かればいいのよ。
い~い、アイ。女の子にリボン、これ常識。
これを機にアイも女の子の自覚を持てば一石二鳥よ!」

なんか、偉そうに人差し指を立ててるハナに、

「なー、違うのね~の?」

下出に出てみたけど、

「ない」

一刀両断。絶対ウソだろ。

「ほら~、早く行かないと遅刻しちゃうよ~」

なんで嬉しそうなんだよ。

ハゲとリボンが気になって、気が気じゃないオレは、
朝ごはんを三杯しか食べられずに家を出た。
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