【完結】銀の龍瑠璃色の姫君を愛でる―31歳童貞社畜の俺が異世界転生して姫になり、王になった育ての息子に溺愛される??

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4章.元婚約者に攫われる

02.

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文字通り。
簀巻きにされた状態で、動けず、声も出せず、何も見えないまま、乱暴に持ち運ばれ、どこかに投げ入れられた。頭やら肩やら腰やらをしこたまぶつけたが、キングの柔らかい布団にくるまれているおかげでそれ程痛みはなかった。

身体をくの字に折りたたまれたような状態で身動きできないまま狭い空間に押し込められ、閉じ込められた。光が遮断される。上下左右を固い壁に囲まれている。上から、鍵をかけられたような音がした。

どうにも苦しい姿勢のまま、俺を詰め込んだ物が動き出した。
伸ばした状態の足と尻に下側から振動が伝わる。ガラガラ台車を引くような音もする。

なんか。キャスター付きの箱みたいなものに詰め込まれて運ばれてるんじゃないだろうか、と推測する。

狭いし暗いし揺れるしうるさいし。運ばれ心地は最悪だが、何より気になるのはまっ裸なことだ。俺は今、うら若き少女の容姿をしている。しかもジョシュアとの情事の後が色濃く残っている。

どんなに控えめに考えても最悪だろう。最悪過ぎる。何はともあれパンツをはかねばならないっ‼︎

前世の俺なら公然わいせつ罪で捕まるところだが、今の俺は強制わいせつに遭う可能性もある。

…え。

身体の芯が凍る。絶対に嫌だ。

…ジョシュアじゃなきゃ嫌だ。

続いて聞こえた自分の本心に動揺した。
俺は、身体も心もあいつに囚われている、…

「ネメシス様、おはようございます」
「今朝も一段と艶やかですわ」
「お客人とどちらかにいらっしゃるのですか?」

頭上から聞こえてきた底抜けに明るい声に、反射的に、助けてくれ、と、叫んだ。つもりが、猿轡をかまされた口からはくぐもった呻き声しか漏れなかった。助けを乞うべく四方の壁に体当たりしようとしても、依然動けないままだった。

クソ。あの怪しいお香のせいか、まだ身体が言うことを聞かない…

「客人が城内で迷われていましたので、お送りするところです」
「大変お世話になりました」

静かだけど張りのある女性の声、少しざらついた男性の声がする。さわさわと衣擦れの音もする。

客人。…って、人間か? 
ジョシュアの居室で見た人影は2、3人だったような気がするが、じゃあ俺を連れ出したのはゲゲック宰相の一行なのか? それと、ネメシス女史? きりりとした猫目美人の⁇

「ご機嫌よう」
「ご機嫌よう」
「永遠にさようなら」

タミル3人娘の少し澄ましたような声が遠ざかっていく。

待ってくれ、俺はここだっ‼︎

最大限に声を張り上げてむぐむぐ呻くと、外側から勢いよく蹴られた。弾みで壁に頭をぶつける。

クッソ。なんでこんなことになってんだ。こいつら俺をどうするつもりなんだ。パンツはかせてくれる気は、あるんだろうなっ⁉︎
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