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2章.瑠璃色の瞳の美少女になってた

03.

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ベッドの中で毒づきながら、周りを見回して状況把握を試みる。

天蓋付きの広いベッド。その向こうに透けて見えるソファ、チェスト、ランプ、広々とした窓、爽やかに揺れるカーテン、…

キングの、居室なんだろうか。
この広さとゴージャスさから言って、キングは相当身位の高い人に違いない。あの見た目にしてその地位。どう考えても31歳の冴えないオッサンには縁のない相手なんだろう。いや別にだからどうってわけじゃないし。俺には相思相愛の柊羽がいるわけで、…

「…柊羽⁉」

何と言うことだ。柊羽は、俺の銀龍は、一体どこに行った?

「あ、姫さま。お気づかれましたぁ?」

俺のつぶやきを拾って、誰かが部屋に入ってきた。

「きゃあ~~、瑠璃姫さま、可愛いです―――っ」
「すご~い、本当にラピスラズリですわ―――っ」

キャッキャと楽しげな声を上げて、あっという間にベッドの脇を取り囲んできたのは、

「……ワニ?」

全くそっくりな容姿の、二足歩行している、でも顔はどっからどう見てもワニそのものの、三つ子、…3人娘だった。

「うふふ~~~、青の種族タアです。お掃除隊でーす」
「洗い物担当のミイです」
「お料理担当のルウです」

…まあ。ドラゴンがいる世界だ。ワニが歩いてたって、ワニ獣人が女子高生みたいなノリだって、驚くことはないんだろう。

「「「3人合わせて、タミルで~す」」」
「…どうも。俺は、…」

自己紹介しようとして言葉に詰まった。
こっちに来てから名乗る機会はなかったが、もう俺は深町輝じゃないことだけは確かだ。そういえば、森に捨てられる前に、何とかって呼ばれてたな。ついでにさっきキングにも何か呼ばれたような気がする。

必死で記憶を手繰り寄せている俺より俄然早く、

「分かってますぅ~~~」
「瑠璃色の瞳を持つラピスラズリ姫さま」
「ジョシュアさまの運命のお相手ですわ」

3人娘が立て続けにその先を引き取った。

瑠璃。ラピスラズリ。姫。
銀龍が言ってたのも、ラピスラズリだった。そうだ、思い出した。ラピスラズリって、藍色の宝石のことだ。
でも俺、そんな名前だったっけか。ああでも、キングも、確か、…

『お前の唯一の男だ、ラズ』

低くて甘い声が耳元によみがえって、顔が羞恥に沸いた。いや、待て俺。ときめくな。

「きゃああ、ラズ姫さま、赤くなってますわ」
「絶対ジョシュア様との熱い一夜を思い出してるんですわ」
「仕方ありませんわ、ジョシュア様は王の中の王ですもの~~~」

3人娘にバッチリ悟られた上に盛り上がられてしまった。

「じゃあ、今夜に備えてまずは湯浴みですわ」
「お料理もたくさんご用意してますからね」
「行きますわよ~~~」

自分の名前がおぼろげに分かったような分かっていないような状態で、まだ何の状況把握も出来ていないのに、布団を剥ぎ取られて全裸のまま3人娘に担ぎ上げられた。

「ちょ、…っ、おいっ」

「姫さま、お肌すべすべ~~~」
「真っ白ですわ~~~」
「お胸ぷにぷに~~~」

慌てる俺にはお構いなしに部屋続きの浴室と思しき部屋に連れていく。

「ちょ、…触んなって」

俺だってまだロクに触ってないってのにっ

「ジョシュア様の所有印が艶めかしいですわ~~~」

…聞けよ。
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