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第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!

龍王、大魔王、元獣王

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「あーーワシはどうしたら良いのだ! 女子おなごに合わせる顔が無いのー!」

茜と加奈が碧たちと合流したころ大魔王・フェネクシーは桜城で禿げ上がった頭を抱えていた。
茜たちがハルフェルナに戻り、ナミラーへ再度転移したときと入れ違うように大魔王、スケルシャール、メアリーは桜城へ帰ってきた。
メアリーの配下のグロリアたちは人類側に残り、行方不明のソアラの捜索に従事させるため人類側へ残した。

大魔王・フェネクシーは碧たち一行を襲撃したときに止めに入った獣人の顔を思い出していた。
遙か昔に、その者とは対峙し命を掛け戦い合った相手であった。
(アヤツが自ら守っておったのじゃ女子おなごの大切な兄で間違いなかろう)


「大魔王よ! そんなに心配することは無かろう。紅姫様は心の広いお方だ。誠実に理由を話せば分かってくるはずだ」

龍王・龍左衛門がフェネクシーに声を掛ける。

コツコツコツ

「安心しろ! フェネクシー! 茜はそんな小さい女じゃない!」

腰が曲がり杖を付きながらおぼつかない足で先代獣王・ライキンが声を掛ける。
その声も年老いてはいたが昔のように威厳のある声であった。
本来ならライキンは寿命が尽きていてもおかしくない年齢に達していた。
獣人も人族と比べれば遙かに長命ではあるが魔族、龍族ほどの寿命は持っていない。

「良かったではないか茜の兄が見つかったのだろ!」

「見つかったことは良かったのだが・・・・ 女子おなごの大切な兄に向け最大の魔法を放ってしまったのだ!」

「今さら襲撃の件はどうしょうもないだろう。
 お前の魔法は爆発しなかったのだろ! 
 それなら茜の兄は無事なのだろう! なら茜に許しを請うしか無いだろ」

「恩を仇で返してしまった」

「お前は悪魔のクセに義理堅いんだよ!」

ライキンは両手で杖に重心を掛けながら言った。

「ライキン、そうは言うがな女子おなごたちがどれくらい魔属領に貢献したか分かっておろう。
 我々が飢えることが無くなったのも女子おなごたちが故郷から数多くの種子や技術を持って来てくれたからじゃ!
 多くの農作物の栽培に成功したおかげで我ら魔族を初め獣人、亜人たちが飢えることが無くなったのじゃ!
 ハルフェルナで唯一、魔道列車などと言うものが走っておるのじゃぞ!」

錬金術師の平内が現代世界の列車を手本に魔道石を動力源として完成させクリムゾン魔国に開通させた。
翼のある獣人、飛空魔法を使える魔族を除きほとんどのクリムゾン魔国の人々は人間と同じく空を飛べることは出来ない。
が、魔道列車により魔族領の移動が速く物資の輸送も楽になった。
人間界では平内源賀ことゲンガーヒ・ラーチはマッドサイエンティスト呼ばわりされているが魔国内では紅姫こと茜、聖女の詩織に次いで尊敬の念を集めている。
その平内が毎回ハルフェルナに来るのも茜が居ての話ではあるが。

「大魔王よ! 安心せい。 紅姫様に牙を向けたバカ息子を許してくださった心お優しきお方じゃ!
 必ずや許してくださる」

「とは言うが・・・・・けじめの一つくらいはつけないとな。
 ワシの愚かな判断でカクタスを失ってしまった今、スケルシャール、それにメアリーに処分が下されぬようにせねば。
 老い先短いワシの身一つで済むようにしなくては」
大魔王フェネクシーはカクタスが亡くなったものだと思っていた。


「お前! そりゃ考えすぎだぞ! 茜もお前のようなじじーの命なんて貰っても迷惑なだけだぞ!
 誠心誠意、詫びを入れるんだ。俺も一緒に頭を下げてやる!」

ライキンは項垂れるフェネクシーの肩を叩きながら言った。

「ブラドー様が帰還されました! 転移の間で帰還の儀を行っております」

3人の元へ頭に2本の角を生やし背中に大きな翼を持つ魔族の若者がやって来た。

タン!

「ブラドーのヤツ、どこで油を売っておったのだ!」
ライキンが杖で床を強く打つ音が響いた。

「ライキンよ! 伯爵ほどの男がこれほど時間が掛かったのだ、何か事情があったのに違いない!
 大魔王よ、いつまでも頭を抱えていないで伯爵の下へ向かおう!
 うぬの話と照らし合わせ人間界の詳しい情勢を見極めなくてはならぬ! 行くぞ!」



3人の長老が話しているとき別の部屋ではスケルシャールとメアリーの二人は嘆いていた。

「カクタス・・・・・カクタス・・・・・あのバカ野郎!  
 何しているんだ! 俺を置いて逝ってしまいやがって!」
スケルシャールは下を向き涙を流しながら。

「ソアラ・・・・ソアラ。無事よね。きっと無事よね・・・・・」
とうっすらと涙を浮かべながらソアラの名を呼んでいた。
メアリーは自分一人でもソアラを探したかったのだが大魔王・フェネクシーの命令で桜城まで戻ってきた。
ソアラの捜索はグロリアに任せるしかなかった。

「グロリアなら探し出してくれる・・・・グロリアなら」

と小さく弱々しい声で自分に言い聞かせるように言った。

「メアリー様! カクタス様! ブラドー伯爵が帰還されました。
 至急、転移の間にお越しください」

カバの獣人が二人の下へやって来ると集まるように促した。

「伯爵が!?」
「ブラドーのヤツ! 今までどこで油を売っていたんだよ!」

メアリーは驚いたようにカクタスは憤怒をにじませカバの獣人の言葉に反応した。

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