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第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!

誤解

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「ジルドーーーー! 無事じゃッたか?」

サキュバスっ子たちのところに着くなりミリアは飛びついた。

「ミリア様! お止めください! 人前ですよ!」

「妾には関係無いのじゃ!! ジルドと離れとーない!」

「ミリア様、私は茜さまに助けて頂いて以来、茜さま、クリムゾン魔国のために働くと決めております」

「妾は・・・・・妾は・・・・・妾ではダメなのか?」

「申し訳ありません。ミリア様」

その言葉を聞いてミリアは下を向き体を小さく震わせ、俺に飛びついてきた。

「お主! お主! ウォーーーーーーー! ウォーーーーー!!」

「泣くなよ! ミリア!」

「ウォーーーー ウォーーーーー!!」

「ミリア! ミリア!!」

「ウォーーー! ウォーーーーーーー」

ミリアは俺に縋りついたまま泣き止む様子はなかった。

「おい! ジルド! どうすんだよ!! こんな小さい女の子を泣かせて!」

ミリアは体が小さいだけで年齢は優に2000歳を越えている。

「別に茜ちゃんに仕えていてもミリアと付き合ってやってもいいんじゃないか!!
 外務大臣だからって一生独身でなくても構わないだろ!!」

と俺が言うとミリアはピタッと泣き止み

「そうじゃ!そうじゃ!! 妾の婿になりクリムゾン魔国の外務大臣をやれば良いのじゃ!」

「ちょ、ちょっとミリア!さすがにそれはマズイんじゃないの?
 バンパイアの国王がクリムゾン魔国の大臣って・・・・それはダメだろう」

「ダメか? なら智弘! 何か良いアイデアを出すのじゃ!」

「え! 俺? 急に俺に振るなよ! っていうか、ジルドの方はどうなんだよ! 
 ミリア! ジルドに逃げられたってのは、お前が人の意見、ジルドの気持ちを何も考えないのが原因なんだろ!
 まずはそこを直してからじゃないのか?」

智弘の意見に茜ちゃんが

「恋は盲目なのよね~」

「あなたがそれを言いますか! 茜くん!」

と加奈ちゃんが茜ちゃんの頭を杖で小突いた。

「ジルド! そう言わず、もう少しミリアに時間を与えてやってくれないか?
 こいつ、いいところあるんだぜ! 将太を助けるために霊峰へ行ったとき、お姫様とは思えないほど身を削って頑張ってくれたんだよ!
 そのおかげで将太も生きている。ドラゴンやヒドラを撃退できた。
 頼む、時間を与えてやってくれないか?」

俺はジルドに頭を下げた。
そして、ジルドは黙って頷いてくれた。

ミリアの恋愛相談が終わったときサキュバスっ子とマッド・サイエンティスト・ゲンガーヒ・ラーチがこちらへやって来た。
加奈ちゃんはサキュバスっ子に俺を襲撃したいきさつを聞く。
サキュバスっ子はソアラと言う名前で四天王の一人サキュバスの女王・メアリー・クイーンの配下だった。

「私たちは碧さまがブラッド・ライトニングを起こした魔王勇者の再来と誤解して排除に動いてしまいました。
 申し訳ございません」

ソアラは頭を深く下げた。

「「「「ブラッド・ライトニング!!」」」」

その言葉を聞いたとき茜ちゃん、加奈ちゃん、ジルド。そしてミリアまでも反応した。

「え?なに?ブラッド・ライトニングって?」

「お兄ちゃん!ブラッドライトニングと言うのは、人間が悪魔の血を飲むと、大体、死ぬんだけど、中には耐性を持っていたりする人がいるの。
 そうすると人間を超えた力を発揮できるの。
 魔王勇者と言うのは異世界から召喚されたバンパイアの勇者が悪魔の血を飲んでさらにさらに強くなり、最後は魔王になりハルフェルナを荒らしまくったのよ」

「そんな事件があったんだ。勇者も魔王になるんだ」

聖女がリッチになり魔王になったり、勇者さえも魔王になってしまう。
ハルフェルナが恐ろしい所なのか、人間と言う生き物が恐ろしいのか・・・・・

「あ~なるほど! それでハゲジジーたちは焦って碧さんたちを襲ったのね」

「え? 加奈! 何がなるほどなのよ!!」

「魔王勇者の被害も大きかったでしょ。人族は愚か魔族や亜人も多くの者が犠牲になったじゃない。
 だからハゲジジーたちも焦ったのよ。被害が拡大する前に手を打とうとしたのよ。
 それに前回の魔王勇者討伐を3人揃って失敗したでしょ。
 3人とも茜の手を煩わせたことを恥じていたでしょ。
 そのこともあって、より一層、焦ったのだと思う」

「話を総合するとさぁ~ 俺たち勘違いで何度も襲撃に遭ったってこと?」

茜と加奈は黙って頷いた。

「勘弁してくれよ~~!! 俺たち一般人なんだぜ! 俺たちよりガルメニアのフェルナンドを襲ってくれよ!
 あいつらに襲われたとき、死んだと思ったよ!! なぁ~みんな!!」

智弘たちに同意を求めるとみんなもウンウンと頷いた。

「申し訳ございません!! 碧さま」

サキュバスっ子・ソアラが側までやって来て深く深く頭を下げた。

処罰をして欲しいところだが、ハゲジジーとデカパイ女は四天王、デブとガリ悪魔は獣王といわれる四天王の一人・ネギトロを呼び捨てできる実力者。
処罰などすれば茜ちゃんや加奈ちゃんの立場も悪くなるかもしれない。
魔族といえども自分より年下に見える少女に厳罰を求めるのも格好がつかない・・・・・・これは黙って許すしかないだろう。

俺は両手の平を前に出し『分かった分かった』というジェスチャーをしながら「いいよ、いいよ」と愛想笑いを浮かべた。


そこへナミラーの街の方から馬に乗って騎士がやってきて馬上から大声で叫んだ。

「た、大変です!! ガルメニア軍が首都リーパスへ向け進軍を開始したそうです」

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