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第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!

クリムゾン魔国

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アリーナと戦った場所からコリレシア軍と戦った場所へ移動し茜ちゃんに兵士たちの遺体を焼き払い将太に辺り一帯に浄化魔法を掛けてもらいオークゾンビ、オークゴーストにならないようにしてもらった。

「なぜそこまで念入りにするのですか?」

「コリレシア兵はオークになるんだよ。そして死ぬとオークのゾンビに。その後ゴーストになるんだ!」

疑問を呈した加奈ちゃんに答えた。

「え~~~! なに、そのしつこさ!! 典型的な女に嫌われるパターンじゃない!」

と茜ちゃんが続ける。

「で、将太はオークたちに集団で襲われてそれ以来、オークにトラウマが出来て・・・・
 すぐに俺の後に隠れるんだよ」

「止めてよ!アオ君。そんなこと茜ちゃんたちに話さなくてもいいじゃない」

「そーか、そーか! ショータ君! これからはこの茜お姉さんが守ってあげるから!」

と将太の肩を叩きながら言った。
白田 茜はいつまでも白田 茜のままだった。


「ところで茜さま。なぜ死んだ事にしたのですか?
 碧は茜さまが紅姫に殺されたと知って大泣きしながら紅姫に復讐を誓ったのですよ」

「智弘!! 大泣きはしてないだろう! 大泣きは!」

「あれ?してなかったっけ? 『俺が茜ちゃんの仇を討つ!!』とか言って拳を握って涙を浮かべながら?」

「お、おい! し、し、してないぞ!!」

茜ちゃんと加奈ちゃんが真剣な眼差しで俺を見つめる・・・・・・止めてくれ!
恥ずかしい!!恥ずかしすぎる!!

「まぁ~碧の話しはおいておいて。 なぜ、茜さまは死んだ事にしたのですか?」

「えーーーなんか面倒になっちゃって・・・・・・」

「へ?」

幼女・智弘がマヌケ顔をする。

「茜! そんな説明じゃ伝わらないでしょ! ちゃんと最初から説明しなさいよ!!」

「えーーー!面倒! そういうことは頭脳労働は加奈の仕事でしょ! 私は力仕事担当!!」

「もう、この子は!!」

と加奈ちゃんはあきれ返りながら一呼吸入れた後、説明を始めた。

「私たち何度か現代の世界とハルフェルナを行き来してきたのです。
 来るたびに何かと事件が起きていたんですよ。
 だいたい『強力な魔王が生まれ、この世界を支配下に!』というパターンで、茜がその魔王を倒し、一件落着して私たちは元の世界に帰る。
 邪悪な魔王がいなくなったハルフェルナでは人間の中で力を持った者が支配地域を巡って争い合いをして人々がその災禍に巻き込まれ減っていく。
 人々の不幸が強力な魔王を生み出す。強力な魔王が生み出された頃、私たちハルフェルナにやって来て茜がその魔王を倒す。
 私たちが帰ってしばらくすると人間同士が戦いを繰り返し、憎しみが邪悪な心になり、そして魔王となり茜が・・・・・の繰り返しを延々に続けてきました。
 ハルフェルナの人たちは、どっかの誰かと同じで学習しないんですよ! ねぇ~茜!」

と加奈が茜に振ると音が鳴らない口笛を吹きながら左右キョロキョロしていた。

「雨宮さん、それは俺たちの世界でも変わらないんじゃない? 
 俺たちの世界も大概だと思うけどな。
 人類の歴史は戦争の歴史と言ってもいいだろう。
 幸い俺たちの世代は大きな、世界大戦に巻き込まれていないだけど、世界中のあちらこちらで砲弾が飛び交っているんだ・・・・・たいして変わらないと思うよ」

智弘が顎に手をやりながら意見を述べた。

「確かにそうかもしれませんね。 こちらの世界の最大の問題は通信手段がすべて人力なので一つの連絡ミスが致命的な事になることが多いのです。
 そのちょっとした連絡ミスで誤解が大きくなり戦いになったことは数多くあります。
 私たちの仲間に錬金術師の・・・・さっきいた男子が錬金術師です」

「そうそう平内が錬金術師なの。その平内だって、どこでどう間違ったのか『ゲンガーヒ・ラーチ』なんて変なドイツンダ人みたいな名前で伝承されているのよ!ハハハハ! 笑っちゃうでしょ!!」

と茜はあっけらかんと笑った。

「「え!」」

俺たちは声を合わせ驚き

「ゲンガーヒ・ラーチってあの子だったの!? 歴史に残る偉人じゃん! 
 どっかの町を消し飛ばせたマッドサイエンティストとも言われてるけど!
 まさか茜ちゃんの友達とは思わなかったな」

「碧さん・・・・・・町を吹き飛ばしたのは・・・・主にこの子が原因です」

と加奈は言うと茜のほうを見た。
すると茜はまた下手な口笛を吹いて誤魔化し始めた。

「この子がガソリンの近くで火の魔法を使ったのが原因です」

「だってしょうがないじゃない!! スケさんがカクサンが氷付けにしちゃったのよ!
 溶かすには火の魔法を使うしか無いでしょ!!
 それに町には誰もいなかったんだから!!」

「まぁ~そうだけど、氷付けになったくらいでカクサンは死なないでしょ!
 そんなので死んでいたら、とっくの昔に亡くなっているわよ!」

俺が、その話を聞いたとき、現代に戻ったとき、この調子で世界を蹂躙しているのでは無いかと不安に感じたのは黙っておこう。

「平内が通信手段を色々と研究しているのですがミノタウロスキー粒子が多くて無線は使うことが出来ません。
 有線を敷設しようとしたのですが魔物や魔獣にすぐに切断されてしまいます。
 人間にも珍しくて電線が何か分からないようで盗まれてしまいました」

「知識は力なり・・・・電線が何か分からなければロープ代わりにするか・・・・・」

智弘がしょぼくれながら言う。

「話がそれてしまいましたけど、私たちも色々と考えたのですよ。
 諸悪の根源は『勇者・茜伝説』なのでは無いかと。
 人間の憎悪、憎しみ、欲望が魔王を作ると言い伝えたにも関わらず、次に転移したときはすべて忘れ去られ魔王が生み出されている。
 茜がいれば魔王を倒してくれる。何とかしてくれる。とハルフェルナの世界の人たちは依存してしまい同じ過ちを何度も繰り返したのですよ」

「もう本当に無限ループ?っていう感じで繰り返すのよ! 嫌になっちゃう!
 それでね、加奈が『そんなに茜に頼るんだったら、いっそのこと勇者・茜を消しちゃえばいいんじゃない』ってなったの!
 変に『勇者・茜』なんてのがいるから、この世界の人が頼っちゃうのよ!」

「で、殺しちゃったと!!  俺はねぇ~『勇者・茜』が茜ちゃんと分かったときに、どれくらいショックだったか! 目の前が真っ暗になったんだから!」

と茜ちゃんの両肩を掴み半分キレ気味でに詰め寄った。
それでも茜ちゃんの顔を見ると、その怒りもどこかへ行ってしまった。

「そうか、そうか・・・・色々あったんだ」
と自分を納得させるように、自分に言い聞かせるように言った。

「そこまでは分かったけど、なぜ『クリムゾン魔国』なんて作ったの?」

将太が疑問を口にした。

「一つはリッチの魔王となったアリア様を倒すと、アリア様は巨大なゲートになったんです」

「え! 加奈ちゃん! 魔王を倒すとゲートになるの!?」

「強大な力を持つ魔王はゲートになり、普通の魔王は魔王石というゲートの力を使うためめの動力になる石になるんです」

「「「えええ!!」」」

俺たちは一斉に声を上げ驚いた。

「俺たちは名無しの女神さまから『魔王は勇者でないと封印できない』と聞いていたから・・・・
 俺たちの仲間にいた勇者を俺が殺したから・・・・・倒せないって思っていたんだけど」

「魔王は倒せます。魔王かそれ以上の力さえあれば」

ジルドが話しに加わってきた。

「私も数名の魔王を倒したことがあります。
 碧さまがお持ちのサックブラッド・ナイフの材料にするためにヒルが巨大化した魔王を倒しました。
 それ以外にも数名この手で葬り去りましたが」

「そりゃ、ジルド! あんたが魔王だからだろ」

「姫様は、その辺にいる魔王より遙かに強いお力を持っております。
 ですので魔王の一人二人物の数ではありません」

「嫌ね~ 伯爵さん! 私が危険人物みたいないい方じゃない!!」

というと茜はジルドの肩をペシペシと二回叩いた。

その光景を見た俺たち全員心の中で、『ジルドの肩をそんなに簡単に叩くことが出来るのは茜ちゃんだけだよ!』と思っていた。

「そのアリア様もゲートになり、アリア様のゲート守るために、そこに桜城を建てたんです。
 都合の良い事に桜城が人類との境界になったんですけどね」

「普通は自国の首都になる拠点は最前線に置かないのに、最前線に築城してるから『人類なんて物の数では無い!!』という示威行動だと思っていたよ」

と智弘が言う。

「魔族界のほうも幾つかの派閥に分裂しているから、人類側との境界はいろいろと都合が良かったのですけどね」

「加奈ちゃん、聞いた話では魔族界を統一していると聞いたけど、どうなったの?」

「こちらの世界で300年ほど前に完全統一できましたよ!」

「クリムゾン魔国の建国って500年前と聞いているけど・・・・・・
 魔族といえば、強いのがゴロゴロしているんでしょ? 200年くらいで統一できるものなの?」

「はい、そういう力仕事は茜が片付けちゃいますから」

と加奈の言葉に茜は胸を張っていた。

「それに大魔王さんや龍王さん、ネギトロがいるし。それに頼りになる伯爵さんがいるから簡単よ!
 伯爵さんなんか一人で他国や領土へ行って交渉して、クリムゾン魔国に加わらなければ一人でボッコシちゃうんだから!!」

「姫様!そんな大袈裟な。私ごときたいしたお力になれなく恥ずかしいばかりです」

うわーーー! 一国を力ずくで傘下に入れちゃうヤツと戦って俺たちが生きていいられたなんて奇跡だ! と思ったとき嫌な汗が流れた。

「そんなことありませんよ。伯爵さん! 伯爵さんのおかげでどれだけ無駄な血が流れずにすんだことか。
 この子やネギトロが矢面に立つと血なまぐさい事にしかなりませんからね」

と言って加奈ちゃんは杖で茜ちゃんの頭をコツコツと叩いた。

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