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第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!
勇者 聖騎士 賢者
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「頑張れ! ハチベー!」
頭部に2本の角の生えた真紅のプレートを着た少女が手を叩き応援する。
「なぁ~ 剣姫さま! まだ掘るんですか?」
白銀のフルプレート鎧を着た少年がシャベルを肩に乗せ、真紅のフルプレートをきた少女に声を掛ける。
「レディーに穴掘りなんてさせないでよ!!
あんた勇者なんでしょ!
力仕事はお手の物でしょ!!」
緑に銀色の縁取りがされたローブを着た少女が真紅の鎧を着た剣姫の隣に座りで少し怒ったように答えた。
ローブを着た少女はフードを深く被っていた。
「へーへー大賢者様・・・・・・」
ハチベーと言われた少年は腰に手をやり答えた。
「でも、ヤバクないか?
柵に囲われて、立ち入り禁止のところを掘っているんだぜ!
しかも立て札には『掘削禁止』の文字があるんだぜ!
大賢者様の魔法一発で掘り返してくださいよ~」
と緑のローブを着た少女に向かって答える。
「無理!! 私、20mくらいあるロボットを掘り起こすことが出来る土魔法持っていないから!!
土魔法なんて地味な魔法覚える時間がもったいないわよ!
1mくらい掘れば魔石の力を使って、上に乗っている土砂を取り除いてあげるから」
と冷たく答えた。
「でもよー 立ち入り禁止だぜ!
誰かに見つかったらヤバイだろ」
「ズガーンダムだっけ? 放置しておく方がもっと危険よ!
我らの宰相閣下の方針で現代世界から持ち込まれたものは、すべて破壊するように仰せ付かっているから!!
掘り起こしたら操縦席を壊すわ。
そうしたら、もう二度と動かすことは出来ないでしょ」
緑のローブを着た少女が答える。
「ほら、ほら、頑張れ、我らの勇者・ハチベーー!」
真紅の鎧を着た少女が答える。
「お前も聖騎士だろ!!
俺と同じくらい力あるだろ!! 手伝えよ!
で、我らの姫様と宰相閣下は、どうしたんだよ!!」
「二人はクリムゾンの最重要人物だから色々なところの挨拶や政治的なことがあるでしょ~
私たちみたいに身軽に動けないわよ。
雑務が終わったらゲートを使ってこちらに来るはずよ?」
と真紅の鎧を着た剣姫と呼ばれた聖騎士が答えた。
「サキュバスさんたちの話しによると、一瞬でズガーンダムは地中に埋まったらしいわね。
強力な魔術師がナミラーに居るみたいね」
「20mの巨大な穴が一瞬にして出来たってことだろ。
ご隠居様クラスの術師でもないと難しいんじゃないか?」
とハチベーが大賢者に答えた。
「ブラッド・ライトニングを起こそうとしている二代目・魔王勇者の可能性もありそうね」
と緑色のローブを着た少女が答えたとき、遠くから一台の装甲車が近づいてきた。
「お! ヤバイ!見つかる!
・・・て、あれ装甲車じゃないか?
例のガルメニアが召喚した軍隊か?」
「ナミラーは占領されていないはずよ!
失敗したと聞いているわよ!」
と少年少女が話しているうちに装甲車が3人の前に止まりハッチが開いた。
「お前たち、ここで何をしている!! ここには危険な物が埋まっていでゴザルよ!」
中から金髪の大女が降りてき怒声を含んだ声で忠告して来た。
ハチベーの手にはシャベルが握られていた。
「怪しい奴らめ! 拙者が成敗いたす!!」
金髪の大女が巨大な剣を構えたとき、ハチベーは盾と片手剣を。
剣姫は鎧のフェイスガードを降ろし両手剣を抜く。
緑のローブを着た賢者は杖を握り臨戦体勢を敷いた。
金髪の大女が一気に間を詰めハチベーに斬りかかる。
ガキン!
と金属音が辺りに響く。
ハチベーは足元に置いてあった盾を取り咄嗟に防ぐが弾き飛ばされ地面を転がっていく。
「ハチベー!!」
剣姫が驚きの声を上げる。
装甲車から犬のお面を付けた人間が降りてくる。
体つき、胸のふくらみから見て女であると思われる。
「ハチベー! 下がれ、こいつは私がやる!
お前は犬女の相手をしろ!
理沙は援護しろ!」
「分かった」
「分かったわ。 身体強化!!」
賢者・理沙は剣姫に身体強化の魔法を掛けた。
赤い鎧に光が纏われ一瞬、光った。
間髪入れず剣姫は金髪の大女に斬りかかった。
ガッキン!
巨大な両手剣同士が当たる音が響く。
鍔迫り合いをしながら剣越しにお互いがにらみ合う。
(重い! なんて重い剣圧なんだ! この金髪の女、強い! 勝てるか?)
剣姫は思った。
ハルフェルナに召喚されてから2000年。
その間、現代世界と行き来をし、剣の技量も上がったはずだが、今まで対峙した中で一番の強敵。
最初に召喚されたときは殺し合い、荒事になれていなかったいなかったせいで実力を十分発揮できなかった。
が、今は違う! 2000年前の自分とは違う!
尊敬すべき先輩の則之さんを探さないといけないのだ!
こんな金髪の大女にごときに負けるわけにはいかない!
ガキン! ガキン! ガキン!
二度三度、打ち合いの後、距離を取りながら見合う。
構え、太刀筋が則之さんを思い出させる。
この金髪の大女が、どうしても則之さんに被る。
似ているところが余計腹立たしさを掻き立てる。
「なかなかやるでゴザルな!」
チッ!
思わず兜の中で舌打ちをしてしまった。
武道を志す物としては失格だ。
口調まで則之さんと同じなのか!
女で『ゴザル』なんて・・・・・趣味が悪い。
「の・・・・・・」
思わず『則之さん?』と口に出掛かってしまった。
則之さんな訳が無い!
金髪の女、しかも、美女だ。
則之さんはどちらかと言うと・・・・・・誰に似ているかと言うと・・・・・・
ゴリラに一番近い。
こんな美女な訳が無い。
そして、戦い方が違う。
構え、剣筋は似ていても、こんなにも積極的に打ち合う剣ではない。
『待ちの剣』だ。
相手をじっくり見てから動く剣なのだ。
ガンガンガキン!!
剣が当たる度に長い金髪がフワリフワリと舞う。
その舞い方が私を苛立たせる。
『私、綺麗な女でしょ! あなたのような胴着臭い女とは違うのよ』
と言わんばかりに金髪が目の前を舞う。
則之さんもこんな美人が好みなのだろうか・・・・
いけない。
集中しなくては。
ガキンガキン!
剣と剣が当たるたびに火花が散る。
大剣で受けるたびに一撃一撃の重さが両腕に響く。
隙が無い! 下手に飛び込むとやられる。
思い出せ、則之さんに言われたことを。
「無理に飛び込みすぎるでゴサルよ」と。
「一瞬の隙を待つでゴザル。呼吸している限り、どこかで隙が生まれるでゴザル」と
相手の呼吸が乱れるまで待つしか無い。
20mほど離れた場所でハチベーと犬のお面を付けた女が向かい合う。
犬の女も細身の剣を抜く。
「お前、ふざけたお面を被ってるな~」
と言った瞬間、ハチベーは斬りつけた。
ガキン!!
犬お面を付けた女が斬られる直前に両腕を縮め何とか受ける。
「お前、剣の腕はたいしたこと無いな~」
ハチベーが犬のお面の女を鍔迫り合いで弾き飛ばす。
「キャー」
と叫んでお面の女が尻餅をつきながら倒れこむ。
「素顔はどんな顔しているんだ!」
ハチベーがお面に手を掛けようとした瞬間、
「サンダーブレード」
お面の女が右手を前に出し呪文を唱えた。
咄嗟にオリハルコン製の盾を出し防ぐと魔法は弾け散りバックステップで距離を取る。
「危ね~危ね~!お前、魔法剣士か!
なら、これでどうだ!
これでも俺は勇者なんでな! 聖属性の魔法が得意なんでね!」
一瞬、お面女が怯んだ。
「セイント・アロー!!」
右手を突き出し10本の矢が飛んでいく。
「魔法障壁!」
カン!ガン!カカン!!ガンガン!
徐々に障壁にヒビが入っていく。
そして、ついに『バキッ!』と音をたて壁が壊れた。
「キャーー!」
聖属性の矢が魔法障壁に弾かれるが、最後の一本が魔法障壁を突き破りお面女に命中した。
お面女は吹き飛び地面に横たわる。
「そのフザケタお面を剥ぎ取ってやるよ」
倒れている女に近づきお面を剥ぎ取った。
!!!!
「骸骨! スケルトン!? 魔法を使う!! 貴様、リッチか!!
リッチにしては弱そうだが・・・・・」
「!!何、リッチか!」
「エ!?リッチがまたいるの!」
剣姫と賢者が振り向き倒れているリッチに注目する。
「ハチベー! そいつだけは止めを刺せ!!」
剣姫が声を上げる。
「分かっている!」
ハチベーは剣を振り上げながら
「俺の剣は、うちの我がまま姫様がダンジョンへ潜って獲って来てくれた聖剣なんでね。
死んで貰うぞ!」
と言いながら振り下ろそうとしたとき、
グサッ!
ハチベーとリッチの間に巨大な槍が突き刺さった!
その槍には見覚えがあった。
2000年前に初めてハルフェルナにやってきたときに、他の異世界から召喚された勇者が持っていたモノに似ていた。
その槍は自力で地面から抜けると装甲車の上に立っていた投擲者のところまで戻っていった。
投擲者を見るとウエットスーツのように体にピチッと張り付くような服を着ていた。
エ、エ、エロイ!!
胸のふくらみと、お尻の丸みが丸分かる!
うちの国の女子たちもあんな服着てくれないかな~!
「紫音ーーーー!」
装甲車からもう一人、背の高い女が両手剣を片手に飛び降りてきた。
「エ! エクズカリバー!!」
ハチベーは思わず声を上げた。
その言葉に剣姫も振り向いた。
2000年前に他の異世界の勇者が持っていた剣だ。
二人はエクズカリバーで斬られ半分死にかけた苦い過去があった。
あの時の恐怖が思い出される。
あと少し救護が遅れていれば二人とも、ここにはいなかったことだろう。
ギギン!
エクズカリバーを持った大女が斬りかかって来るのを、ハチベーは聖剣で受け止める。
その間に装甲車から女性たちが数人降りてきてリッチ女を助けお越し、装甲車の陰へと連れて行った。
「このこのこの!!」
エクズカリバーを持った大女が力ずくで振り回し襲ってくる。
メチャクチャだ。
剣筋もあった物ではない。
「お前らもリッチの仲間と言うことでいいな!
死んで貰うぜ!!」
隙だらけ大女に斬りつけようとした瞬間、ロンロンギヌの槍が飛んでくる。
「チッ、面倒だな!」
避けようとすると体勢を立て直した大女のエクズカリバーがハチベーを襲う。
大女の大振りを避け、斬りつけようとすると槍が!
を繰り返しているうちにエロいスーツを着た女が大女の隣に立ち二人が獲物を持ってハチベーに迫る。
「ファイヤーボール!」
「おお、ナイス、賢者様!」
援護のために賢者がエクズカリバーを持つ大女へ目掛けファイヤーボールを放った。
が、当たる直前にエロいスーツの女が身を挺し守った!
完璧に命中したがファイヤーボールは何事も無かったようにスーツ表面で弾け消えた。
「おいおい、嘘だろ!」
ハチベーはそう言うとエロいスーツの女に斬りつけた。
バシ!
手応えはあった! 完璧な太刀筋だった。
が、エロいスーツの女を斬る事は出来なかった。
「チート装備かよ! うん!?」
背後に気配を感じた瞬間、体を反らした。
グサッ!
「いてて!」
黒装束の小さい女が鎧の隙間からクナイを突き刺した。
二度三度、バックステップを使い下がる。
「ハチベー、大丈夫?ヒール!!」
賢者がヒールを掛ける。
「な、なんだよ! お前ら!!
なんだよ、このチーム編成は!! 前衛職ばかりじゃねーか!
で、なんでリッチなんかがいるんだよ!」
ハチベーは大女、エロいスーツの女、黒装束の少女を剣で指しながら怒りを滲ませ叫んだ。
が、答えは帰って来る事は無かった。
そこへ騒ぎを駆けつけ冒険者姿の4人の女性が駆け寄ってきた。
先頭を走るのは獣人の女戦士だった。
「おい、何やっているんだ! ここは立ち入り禁止だぞ!!
うん? 魔道師さん、じゃないか!」
装甲車の陰で倒れているリッチに気がつく。
「おい! 魔道師じゃねーだろ! 犬女! お前の目は節穴かよ!
骸骨だぞ、普通、モンスターだと思うだろうが!
モンスターどころか、あいつはリッチだぞ! リ・ッ・チ!!」
「アン? だからどうしたんだよ! あの魔道師さんは何度もナミラーの危機を救ってくれてるんだよ!」
と犬の獣人は剣を抜きハチベーを指しながら言った。
その隣には大柄の女剣士が睨みながら立つ。
後から僧侶の服装をした女性と魔法使い帽子を被った背の低い少女が走ってくる。
倒れているリッチを見た途端、魔法使いの少女は空に向かってファイヤーボールを2発打ち上げた。
「リッチだぞ! リッチ!!」
「だからそれがどうしたんだよ!
リッチなんて呼ぶな! 魔道師さんて呼べ!」
と言うと、犬の獣人がハチベーに斬りつける。
ガキン! ガキン!
斬激が響く。
もう一人の女剣士も斬りかかってくる。
パカラン!パカラン!
10人ほどの騎士が馬に乗ってナミラーの町の方角から向かってきた。
「何ごとだ!!」
先頭の隊長らしき人物が馬に乗りながら大声で尋ねる。
「BLパーティーの魔道師さんがあいつらに斬られました!」
僧侶の格好をした女が答える。
「何だと!! 奴らを捕まえろ!」
騎士団長らしき男が抜刀しながらハチベーたちを指し命令を下した。
配下の騎士たちも剣を抜き馬を走らせハチベーたちに駆け寄る。
「チッ! 引くぞー 剣姫! 撤退だ! 賢者!頼む!」
(どうなっているんだよ! この町は!! リッチだぜ! リッチを庇うのかよ!!)
ハチベーの指示が飛ぶ。
「勝負はあずけた!」
と剣姫は金髪の大女に向かい言うとハチベーと賢者の下へ駆け寄った。
「スモーク!」
賢者は撤退のために目くらましの煙を大量に焚いた。
煙が消えたときにはあの3人はどこにもいなかった。
頭部に2本の角の生えた真紅のプレートを着た少女が手を叩き応援する。
「なぁ~ 剣姫さま! まだ掘るんですか?」
白銀のフルプレート鎧を着た少年がシャベルを肩に乗せ、真紅のフルプレートをきた少女に声を掛ける。
「レディーに穴掘りなんてさせないでよ!!
あんた勇者なんでしょ!
力仕事はお手の物でしょ!!」
緑に銀色の縁取りがされたローブを着た少女が真紅の鎧を着た剣姫の隣に座りで少し怒ったように答えた。
ローブを着た少女はフードを深く被っていた。
「へーへー大賢者様・・・・・・」
ハチベーと言われた少年は腰に手をやり答えた。
「でも、ヤバクないか?
柵に囲われて、立ち入り禁止のところを掘っているんだぜ!
しかも立て札には『掘削禁止』の文字があるんだぜ!
大賢者様の魔法一発で掘り返してくださいよ~」
と緑のローブを着た少女に向かって答える。
「無理!! 私、20mくらいあるロボットを掘り起こすことが出来る土魔法持っていないから!!
土魔法なんて地味な魔法覚える時間がもったいないわよ!
1mくらい掘れば魔石の力を使って、上に乗っている土砂を取り除いてあげるから」
と冷たく答えた。
「でもよー 立ち入り禁止だぜ!
誰かに見つかったらヤバイだろ」
「ズガーンダムだっけ? 放置しておく方がもっと危険よ!
我らの宰相閣下の方針で現代世界から持ち込まれたものは、すべて破壊するように仰せ付かっているから!!
掘り起こしたら操縦席を壊すわ。
そうしたら、もう二度と動かすことは出来ないでしょ」
緑のローブを着た少女が答える。
「ほら、ほら、頑張れ、我らの勇者・ハチベーー!」
真紅の鎧を着た少女が答える。
「お前も聖騎士だろ!!
俺と同じくらい力あるだろ!! 手伝えよ!
で、我らの姫様と宰相閣下は、どうしたんだよ!!」
「二人はクリムゾンの最重要人物だから色々なところの挨拶や政治的なことがあるでしょ~
私たちみたいに身軽に動けないわよ。
雑務が終わったらゲートを使ってこちらに来るはずよ?」
と真紅の鎧を着た剣姫と呼ばれた聖騎士が答えた。
「サキュバスさんたちの話しによると、一瞬でズガーンダムは地中に埋まったらしいわね。
強力な魔術師がナミラーに居るみたいね」
「20mの巨大な穴が一瞬にして出来たってことだろ。
ご隠居様クラスの術師でもないと難しいんじゃないか?」
とハチベーが大賢者に答えた。
「ブラッド・ライトニングを起こそうとしている二代目・魔王勇者の可能性もありそうね」
と緑色のローブを着た少女が答えたとき、遠くから一台の装甲車が近づいてきた。
「お! ヤバイ!見つかる!
・・・て、あれ装甲車じゃないか?
例のガルメニアが召喚した軍隊か?」
「ナミラーは占領されていないはずよ!
失敗したと聞いているわよ!」
と少年少女が話しているうちに装甲車が3人の前に止まりハッチが開いた。
「お前たち、ここで何をしている!! ここには危険な物が埋まっていでゴザルよ!」
中から金髪の大女が降りてき怒声を含んだ声で忠告して来た。
ハチベーの手にはシャベルが握られていた。
「怪しい奴らめ! 拙者が成敗いたす!!」
金髪の大女が巨大な剣を構えたとき、ハチベーは盾と片手剣を。
剣姫は鎧のフェイスガードを降ろし両手剣を抜く。
緑のローブを着た賢者は杖を握り臨戦体勢を敷いた。
金髪の大女が一気に間を詰めハチベーに斬りかかる。
ガキン!
と金属音が辺りに響く。
ハチベーは足元に置いてあった盾を取り咄嗟に防ぐが弾き飛ばされ地面を転がっていく。
「ハチベー!!」
剣姫が驚きの声を上げる。
装甲車から犬のお面を付けた人間が降りてくる。
体つき、胸のふくらみから見て女であると思われる。
「ハチベー! 下がれ、こいつは私がやる!
お前は犬女の相手をしろ!
理沙は援護しろ!」
「分かった」
「分かったわ。 身体強化!!」
賢者・理沙は剣姫に身体強化の魔法を掛けた。
赤い鎧に光が纏われ一瞬、光った。
間髪入れず剣姫は金髪の大女に斬りかかった。
ガッキン!
巨大な両手剣同士が当たる音が響く。
鍔迫り合いをしながら剣越しにお互いがにらみ合う。
(重い! なんて重い剣圧なんだ! この金髪の女、強い! 勝てるか?)
剣姫は思った。
ハルフェルナに召喚されてから2000年。
その間、現代世界と行き来をし、剣の技量も上がったはずだが、今まで対峙した中で一番の強敵。
最初に召喚されたときは殺し合い、荒事になれていなかったいなかったせいで実力を十分発揮できなかった。
が、今は違う! 2000年前の自分とは違う!
尊敬すべき先輩の則之さんを探さないといけないのだ!
こんな金髪の大女にごときに負けるわけにはいかない!
ガキン! ガキン! ガキン!
二度三度、打ち合いの後、距離を取りながら見合う。
構え、太刀筋が則之さんを思い出させる。
この金髪の大女が、どうしても則之さんに被る。
似ているところが余計腹立たしさを掻き立てる。
「なかなかやるでゴザルな!」
チッ!
思わず兜の中で舌打ちをしてしまった。
武道を志す物としては失格だ。
口調まで則之さんと同じなのか!
女で『ゴザル』なんて・・・・・趣味が悪い。
「の・・・・・・」
思わず『則之さん?』と口に出掛かってしまった。
則之さんな訳が無い!
金髪の女、しかも、美女だ。
則之さんはどちらかと言うと・・・・・・誰に似ているかと言うと・・・・・・
ゴリラに一番近い。
こんな美女な訳が無い。
そして、戦い方が違う。
構え、剣筋は似ていても、こんなにも積極的に打ち合う剣ではない。
『待ちの剣』だ。
相手をじっくり見てから動く剣なのだ。
ガンガンガキン!!
剣が当たる度に長い金髪がフワリフワリと舞う。
その舞い方が私を苛立たせる。
『私、綺麗な女でしょ! あなたのような胴着臭い女とは違うのよ』
と言わんばかりに金髪が目の前を舞う。
則之さんもこんな美人が好みなのだろうか・・・・
いけない。
集中しなくては。
ガキンガキン!
剣と剣が当たるたびに火花が散る。
大剣で受けるたびに一撃一撃の重さが両腕に響く。
隙が無い! 下手に飛び込むとやられる。
思い出せ、則之さんに言われたことを。
「無理に飛び込みすぎるでゴサルよ」と。
「一瞬の隙を待つでゴザル。呼吸している限り、どこかで隙が生まれるでゴザル」と
相手の呼吸が乱れるまで待つしか無い。
20mほど離れた場所でハチベーと犬のお面を付けた女が向かい合う。
犬の女も細身の剣を抜く。
「お前、ふざけたお面を被ってるな~」
と言った瞬間、ハチベーは斬りつけた。
ガキン!!
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「キャー」
と叫んでお面の女が尻餅をつきながら倒れこむ。
「素顔はどんな顔しているんだ!」
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咄嗟にオリハルコン製の盾を出し防ぐと魔法は弾け散りバックステップで距離を取る。
「危ね~危ね~!お前、魔法剣士か!
なら、これでどうだ!
これでも俺は勇者なんでな! 聖属性の魔法が得意なんでね!」
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倒れている女に近づきお面を剥ぎ取った。
!!!!
「骸骨! スケルトン!? 魔法を使う!! 貴様、リッチか!!
リッチにしては弱そうだが・・・・・」
「!!何、リッチか!」
「エ!?リッチがまたいるの!」
剣姫と賢者が振り向き倒れているリッチに注目する。
「ハチベー! そいつだけは止めを刺せ!!」
剣姫が声を上げる。
「分かっている!」
ハチベーは剣を振り上げながら
「俺の剣は、うちの我がまま姫様がダンジョンへ潜って獲って来てくれた聖剣なんでね。
死んで貰うぞ!」
と言いながら振り下ろそうとしたとき、
グサッ!
ハチベーとリッチの間に巨大な槍が突き刺さった!
その槍には見覚えがあった。
2000年前に初めてハルフェルナにやってきたときに、他の異世界から召喚された勇者が持っていたモノに似ていた。
その槍は自力で地面から抜けると装甲車の上に立っていた投擲者のところまで戻っていった。
投擲者を見るとウエットスーツのように体にピチッと張り付くような服を着ていた。
エ、エ、エロイ!!
胸のふくらみと、お尻の丸みが丸分かる!
うちの国の女子たちもあんな服着てくれないかな~!
「紫音ーーーー!」
装甲車からもう一人、背の高い女が両手剣を片手に飛び降りてきた。
「エ! エクズカリバー!!」
ハチベーは思わず声を上げた。
その言葉に剣姫も振り向いた。
2000年前に他の異世界の勇者が持っていた剣だ。
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あの時の恐怖が思い出される。
あと少し救護が遅れていれば二人とも、ここにはいなかったことだろう。
ギギン!
エクズカリバーを持った大女が斬りかかって来るのを、ハチベーは聖剣で受け止める。
その間に装甲車から女性たちが数人降りてきてリッチ女を助けお越し、装甲車の陰へと連れて行った。
「このこのこの!!」
エクズカリバーを持った大女が力ずくで振り回し襲ってくる。
メチャクチャだ。
剣筋もあった物ではない。
「お前らもリッチの仲間と言うことでいいな!
死んで貰うぜ!!」
隙だらけ大女に斬りつけようとした瞬間、ロンロンギヌの槍が飛んでくる。
「チッ、面倒だな!」
避けようとすると体勢を立て直した大女のエクズカリバーがハチベーを襲う。
大女の大振りを避け、斬りつけようとすると槍が!
を繰り返しているうちにエロいスーツを着た女が大女の隣に立ち二人が獲物を持ってハチベーに迫る。
「ファイヤーボール!」
「おお、ナイス、賢者様!」
援護のために賢者がエクズカリバーを持つ大女へ目掛けファイヤーボールを放った。
が、当たる直前にエロいスーツの女が身を挺し守った!
完璧に命中したがファイヤーボールは何事も無かったようにスーツ表面で弾け消えた。
「おいおい、嘘だろ!」
ハチベーはそう言うとエロいスーツの女に斬りつけた。
バシ!
手応えはあった! 完璧な太刀筋だった。
が、エロいスーツの女を斬る事は出来なかった。
「チート装備かよ! うん!?」
背後に気配を感じた瞬間、体を反らした。
グサッ!
「いてて!」
黒装束の小さい女が鎧の隙間からクナイを突き刺した。
二度三度、バックステップを使い下がる。
「ハチベー、大丈夫?ヒール!!」
賢者がヒールを掛ける。
「な、なんだよ! お前ら!!
なんだよ、このチーム編成は!! 前衛職ばかりじゃねーか!
で、なんでリッチなんかがいるんだよ!」
ハチベーは大女、エロいスーツの女、黒装束の少女を剣で指しながら怒りを滲ませ叫んだ。
が、答えは帰って来る事は無かった。
そこへ騒ぎを駆けつけ冒険者姿の4人の女性が駆け寄ってきた。
先頭を走るのは獣人の女戦士だった。
「おい、何やっているんだ! ここは立ち入り禁止だぞ!!
うん? 魔道師さん、じゃないか!」
装甲車の陰で倒れているリッチに気がつく。
「おい! 魔道師じゃねーだろ! 犬女! お前の目は節穴かよ!
骸骨だぞ、普通、モンスターだと思うだろうが!
モンスターどころか、あいつはリッチだぞ! リ・ッ・チ!!」
「アン? だからどうしたんだよ! あの魔道師さんは何度もナミラーの危機を救ってくれてるんだよ!」
と犬の獣人は剣を抜きハチベーを指しながら言った。
その隣には大柄の女剣士が睨みながら立つ。
後から僧侶の服装をした女性と魔法使い帽子を被った背の低い少女が走ってくる。
倒れているリッチを見た途端、魔法使いの少女は空に向かってファイヤーボールを2発打ち上げた。
「リッチだぞ! リッチ!!」
「だからそれがどうしたんだよ!
リッチなんて呼ぶな! 魔道師さんて呼べ!」
と言うと、犬の獣人がハチベーに斬りつける。
ガキン! ガキン!
斬激が響く。
もう一人の女剣士も斬りかかってくる。
パカラン!パカラン!
10人ほどの騎士が馬に乗ってナミラーの町の方角から向かってきた。
「何ごとだ!!」
先頭の隊長らしき人物が馬に乗りながら大声で尋ねる。
「BLパーティーの魔道師さんがあいつらに斬られました!」
僧侶の格好をした女が答える。
「何だと!! 奴らを捕まえろ!」
騎士団長らしき男が抜刀しながらハチベーたちを指し命令を下した。
配下の騎士たちも剣を抜き馬を走らせハチベーたちに駆け寄る。
「チッ! 引くぞー 剣姫! 撤退だ! 賢者!頼む!」
(どうなっているんだよ! この町は!! リッチだぜ! リッチを庇うのかよ!!)
ハチベーの指示が飛ぶ。
「勝負はあずけた!」
と剣姫は金髪の大女に向かい言うとハチベーと賢者の下へ駆け寄った。
「スモーク!」
賢者は撤退のために目くらましの煙を大量に焚いた。
煙が消えたときにはあの3人はどこにもいなかった。
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三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
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「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
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五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
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もはや文字ですら無かった
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本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。
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突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
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俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
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