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第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!

追跡者

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チューン! ドーン!!
チューン! ドドーン!!

「アオ君、誰かが魔法攻撃を仕掛けてきたよ!」

「分かってる!!」

クソ!追いつかれたか!!
直撃を逃れるために出来る限り装甲車を蛇行運転させた。
攻撃は上空から行われていた。
魔法が車体に当たった時の音は屋根から聞こえてきた。
空を飛んで攻撃する者!と言えば十中八九、魔族だ!

「やはり追っ手が来たか!」

智弘が声を上げる。

なぜ、俺を執拗に追う?
俺が『勇者・茜』の兄だからか?
それなら見当違いだぞ!
俺なんか、どこにでもいる典型的なザコだぞ!
それとも紅姫を殺そうとしているからか?
そんなことを知っている訳がない。
それとも異世界からの召喚者だからか?
異世界人を敵視しているのか?
可能性は無くは無いが、俺だけが標的になっているのはおかしい。

「アオ君!もっとスピード上げて!!」

将太の言葉にスピードを上げるが現代世界とは異なりハルフェルナは舗装されているわけでもなく木々の間を華麗に抜けてゆくドライビングテクニックがあるわけでもないので限界はある。
が、林を走っていることもあり木々が遮ってくれたのか以後は直撃される事は無かった。
そうこうしているうちに攻撃の手は止んだ。
追っ手を撒くことができたのだろうか?
そんなはずは無い。
車内まで追っ手の威圧感が伝わってくる。
則之のように気配察知や相手の力量を推し量れるほどの経験値は無いが、先ほどのサキュバス4人組を確実に上回るプレッシャー。
殺気だっているのを感じ取ることが出来た。
あのサキュバスを拉致していると思って取り返しにきたのだろうか?
が、ジルドほどの恐怖は感じなかった。

チュドーン!

魔法が天井を直撃した。
フロントガラスにまで炎が回り込む。

「魔法障壁!!」

将太が慌てて魔法の壁を装甲車の周りに展開した。
これなら安全だ!
将太の魔法障壁は簡単には破れない!
が、安心は出来ない。
あの時の太った悪魔は魔法障壁を殴り叩き割った。

装甲車の天井から靴音が響く。
車体上部に取り付かれたか!
と思った瞬間

ガシュ!
グサ!

「ウワーーー! アオ君! 剣が突き刺さったよ!!」
将太の声が車内に響く。

慌ててハンドルを左に切る。

ザザーー
土の上を滑る音が車内にも聞こえてくる。
一瞬、車体左側が浮かび上がったが横転する事は無かった。

コンココン!
車体の上から左から右へ転がりながら異動してゆく音が聞こえた。
どうやら、振り落とすのに成功したようだ。

この間に少しでも追ってとの距離を開けなくては!
アクセルを強く踏む。
装甲車は少々左右によろめきながらも加速する。

ヒュン!
ヒュンヒュンヒュヒュヒュヒュ
バシッ!

??なんだ?
何かが天井を突き破る剣に絡んだ音が聞こえた。
次の瞬間、ビリビリと電撃が車を襲う。

「ウワーーー!」
「ウグッ!」

一瞬体に電気が走ったが魔法耐性があるのでたいした事はなかったが、智弘と将太は耐性が弱いのでダメージを受けてしまった。

「ミリア、龍之介! 大丈夫か?」

「問題ないのじゃ!」
「僕も大丈夫!」

さすが二人はハルフェルナでも上位種族ダメージはほとんどないようだ。
が、最もダメージを受けたのは装甲車であった。
アクセルを踏んでもスカッ! 
手応え、いや、足応えが無く徐々に減速して言った。

マズイ!
追いつかれるのは確実。
動けない智弘と将太を抱えて戦うしか選択肢は無さそうだ。

「ミリア、龍之介! 打って出るぞ!
 全力で戦うぞ!
 智弘たちが回復するまで時間を稼ぐぞ!」

「妾に任せるのじゃ!」
「僕もやっちゃうよ!!」

ジルドほどの恐怖は感じない。
上手く行けば俺たち3人で撃退できるかもしれない。
先いだっているのが分かるがジルドほどの強者では無さそうだ。
上手くいけば逃げることができそうな気がする。

ミリアがハッチを開け飛び出る。

「お返しじゃ! サンダーブレード!」
空に向け魔法を撃つ。

「妾が次期バンパイアの女王ミリア・アルカートと知っていての狼藉か!!」

ミリアが甲高い声で啖呵を切った!
おお、カッコいいぞ! 未来のバンパイアの女王様!!
もっと威嚇してやれ!!

「ミリア・アルカート! なぜ、お前のような高貴な者が、そのような下賎な者と行動を共にしている!!」

「血を分けてもらう契約を交わしたのでな!」

契約というほどのものじゃないだろ!
俺にも拒否権はあるはずだろ、ミリア!

続いて龍之介が装甲車から地上に降りた。

「お兄ちゃん、本気出して攻撃してもいいよね!」

「あぁ、いいぞ!!」

と、答えると龍之介は本来の龍の姿に戻った。

「龍!!」

装甲車のハッチから車上にあがり襲撃者を確認する。

デカ乳露出狂女!!

ケッ! 誰かと思えば、またあの女かよ!!
厄介な事になりそうだ。
このデカ乳女がいるという事はデブとガリとじじーもいる可能性が高い。
これはヤバイぞ!
ミリアや龍之介がいる今、デカ乳女一人なら何とかなるかもしれないが、残りの3人に合流されたら・・・・・・
もう、大量の水攻撃も効かないだろうし・・・・・
逃げの一手しか無い!
合流される前に何とかしなくては!


だが、俺の心配は他所にミリアと龍之介は圧倒的手数で露出狂を押している。
いや、反撃せずに様子を見ているだけかもしれないが、ミリアの魔法攻撃、龍之介のブレスをかわすのが精一杯のように見えた。
そのとき、デカ乳女は上空へ特大のファイヤーボールらしき魔法を打ち上げた。

!!ヤバイ! これは仲間を呼んだ!
あのじじーたちがやってくるに違いない!

「将太、智弘! 大丈夫か! 車を捨てて逃げるぞ!」
将太と智弘をハッチから引っ張り上げたとき

「ハーレム小僧!! ソアラはどうした!!
 お前の下僕にしたのじゃないだろうな!
 もし、そんなことをしたらお前を殺す! 絶対に殺す!!」

やはり、デカ乳女はあの4人の関係者だった。

「デカ乳お化け! あの小娘はお前の仲間か!
 あの小娘なら将太が丁寧に回復魔法を掛けて逃がしてやったよ!
 感謝しろ!
 怪我が完治したわけじゃないから早く見つけてやれよ!」

「本当でしょうね!」

「俺は嫌がっている女の子を力ずくで、どうこうする趣味はねーよ!」

俺たちには、あのサキュバスを拉致しておく理由も必要も無い。
下手に捕まえておくと足を引っ張られる恐れがある。
そう答えるとデカ乳女は爆心地の方へ飛び去って行った。

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