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第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!
アルファンブラ商会
しおりを挟むロッシさんがアルファンブラ商会の下へ使いの者を出してくれたおかげでスムーズにジーコさんとアポイントメントを取ることができた。
4頭立ての馬車にのって学術区から住宅区へ向かった。
アルファンブラ商会は住宅区と生産区の境に位置していた。
この辺りは正確に区と定義されているわけではないのだが街の人たちは『商業区』という呼び方をしているらしい。
学術区とは異なり根暗で陰鬱そうな・・・・・・
失礼。生真面目そうで質素な服装を着ている人から元気よく明るい服装の人が忙しいそうに小走りに走っている。
多くの店はグレーがかった地味な色から赤やオレンジ、青などカラフルな色の建物に変わる。
街が出す音も賑わっており学術区とは活気が違っていた。
商業区のためか他の国から取引のために来たような人もチラホラ見かける。
亜人はもとより、頭にターバンを巻いた人、肌の色が浅黒い人・・・・・
その中に、旅なれた和服姿の一行がいた。
杖を突いた老人一人、若い男が二人、妙齢な女が一人。
全員の顔立ちは西洋人の顔なのが違和感あるのだが・・・・・
イズモニア人だと思うと、切なくなってくる。
あの人たちの祖国は、今はもう無い。
ガルメニアの侵略で皇王家全員が処刑され国も。
あの人たちの帰る国はもう無い。
その時、俺は凄く悲しい瞳を向けていたと思う。
商業区内のほぼ一区画、紺色をした建物郡があった。
その中でも明らかに大きさの違う建物がありデカデカと大きな看板で『アルファンブラ商会』と金色も文字で書いてあった。
そのカラーリングを見たとき、ネーナさんの服が紺色で金の縁取りされているのを理解した。
紺色の巨大な建物の入り口には槍を持ち立っている騎士が4人いた。
馬車を止めるとそのうちの一人が
「マイソール様がお見えになったぞ。早く会長に知らせろ」
建物の中へ入り大声を上げた。
俺たちが馬車から降りた頃、
「兄さん!! お待ちしてましたよ。
早くこっちこっち。
異世界△×○■・・・・・・・のみなさんもこっち。こっち」
と紺色で金色の縁取りがされている服を着た小太りのおっさんが飛び出てきた。
「ジーコ。落ち着け。
アルファンブラ商会の会長がそんなんじゃ貫禄無いぞ!」
「兄さんが久しぶりに訪ねてきてくれたんですから。
しかも凄いお客さんを連れて」
おっさん、テンション高い!
「さぁ、こっち、こっち」
と手招きをして建物の奥の会長室へ招いてくれた。
会長室の扉を勢いよく開け
「さぁ、みなさん適当に座って座って。
おい、飲み物とお菓子を持ってきなさい!特上のものを!!」
と通路にいる商会に人間に声を掛けた。
慌しく指示を出した後、「どっこいしょ」椅子に腰をかけ体を前に乗り出し、
「君が碧くんかな? ネーナが色々とお世話になっている」
いきなり名前を言われ驚く。
「ネーナから毎週手紙をもらうんだが、碧くんと出会ってから碧くんのことばかり書いてあってな。
私も気になっていたんだ。
ネーナとはどうなんだ?」
「色々と良くして頂いていますよ。
こちらこそ、ナミラーではお世話になりっぱなしで大変助かりました」
「いや、いや、そういう話ではなくてな。
そういう話ではなくてな。
男と女としてな。
ネーナはどうだい?
いい嫁になると思うんだがね」
へ?
俺はどれくらいマヌケな顔をしたことだろう?
「嫌ですわ、おじ様!
碧さんは私と結婚するのですから」
「「エーーーー!」」
将太と七海の声がハモッた。
智弘と則之は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていた。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。
みなさん、何言っているんですか?
俺は異世界人で異世界に帰るつもりでいますから。
ネーナさんやアレックスさんを嫁にするとか無いですから!!」
「エーー、ハルフェルナに残って私のお婿さんになってくれないのですか?」
と俺の言葉に素早く反応した。
「なりません!!」
というか、あなたはネーナさんとただならぬ関係でしょうが!!
「ハハハハハ、アレックス、残念だったな」
「お父さま、酷いですわ。娘が殿方にフラレたのですよ」
「お前が真っ先に結婚したら、姉三人が怒るだろうが」
「お姉さまたちを出し抜くチャンスだったのに・・・・」
おいおい、姉妹の結婚レースに俺を巻き込まないでくれ。
「で、碧くん、うちのネーナとはどうなんだい?」
ジーコさんが聞いてくる。
おっさん、ちょっとしつこいよ。
「いやいや、何もありませんよ。
色々と便宜を図ってくれて我々からみれば恩人のような方ですから。
単純に異世界人で料理スキルを持っているから興味があっただけだと思いますよ」
「碧くんの作るBLカレーというヤツはナミラー名物になっていると聞いたが私にも作っていただけないものかな?」
グハ! リーパスに来ても言われてしまうのか!
これ以上、流行るのは勘弁してください。お願いだから。
丁度、昼ごはんどきだから寸胴に作り置きしてあるカレーを出してみる事にしよう。
マジックランドセルから寸胴を出すと。
「おお、それはマジックバッグか!
さすが異世界からの転移者だ。
そんな物まで持っているとは・・・・・
うん、碧くん、やっぱり、うちのネーナと結婚しないかい?
ネーナはマメでいい嫁になると思うんだけど」
「ハーーー?」
思わず俺は声を上げてしまった。
「おじ様、碧さんは私のお婿さんになるんです!」
アレックスさんがすかさず反論の声を上げた。
いや、いや、もういいよ、そのくだりと俺は心の中でつぶやいたとき、
俺の両脇にいた将太と七海が俺の左右の両腕にしがみついた。
あ~~俺、モテモテ。
人生で一番モテていると思う。
七海は嬉しいが他のお三方はちょっと・・・・・
話が進まないのでここは華麗にスルーをしてカレーを華麗に作るとしましょう。
「七海も食べる?」
と聞くとコクンと頷いた。
七海は人間化が進むのを恐れ最近では俺の作る料理は控えていた。
人数分の皿をランドセルからご飯をよそりカレーを掛けテーブルに置く。
暴力的と思えるカレーの香りが部屋に溢れる。
「アオ君の作る料理、久しぶりだね」
「そうで、ゴザルな」
「お父さま、おじ様。碧さんの作る料理は何でも美味しいのですよ。
それは一流の料理人以上に美味しくて食べるたびに幸せな気分になってしまいますわ」
「ほほう。それは楽しみだ」
付け添えに作り置きしておいた、から揚げも皿によそりテーブルの上において摘んでもらおう。
「さ、どうぞ」
ロッシさん、ジーコさんがカレーを口の中に運ぶ。
二人は口に入れた瞬間、体に電気が走ったように目を開く
「ウウウウ!! これは!!!」
ロッシさんが唸る。
「な、な、なんだね。この味は!!」
ジーコさんが驚く。
「今までこんな美味しいカレーは食べたこと無い。
カレーといって良い物なのか!!」
とロッシさんが。
「う、う、う・・・・・」
ジーコさんが下を向きながら涙を流している。
「ジーコさん、大丈夫ですか?
お口に合いませんでしたか?」
俺は驚きのあまり聞いた。
「いや、違うんだ。美味しいんだよ。
歓喜の涙なんだ。こんなにも美味しいカレー・・・・・いや、料理は口にしたことが無いかもしれない。
仕事柄、様々な美食を食してきたがこれほど味覚を・・・・・いや、五感を刺激する料理は食べたことが無い」
ジーコさんはスプーンを皿の上に置き両手で拳を握り締め下を向きながら語った。
そして、ガバッと顔を上げ。
「やっぱり、うちの婿に来・・・」
俺はジーコさんに手の平を向けストップの仕草をした。
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