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第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!
休息
しおりを挟むネギトロの誕生に沸く『北の森』の獣人たちだが住むべく『北の森』へ戻ると殆どの建物が焼け落ち石作りの大きな建物だけが残っていた。
が、その建物の半分は崩れ屋根も殆ど崩れ落ち雨風を凌ぐのも難しい状態であった。
「ほんの僅かな時間にカミラーズ人どもに・・・・・」
『北の森』に残っていたネコの獣人が答えた。
辺り一面焼け焦げた臭いが漂う。
殆どの獣人たちが肩を落とし、立ち止まったまま呆然とする者も多数いた。
開拓した畑も大方吹き飛んでいた。
「これは酷い有様だ。 あの雷撃魔法のせいか。
あの中に強力な魔法使いがいたのかもしれんな」
「私が戦ったときは魔法など使わず剣で勝負を仕掛けてきたけど・・・・・」
「魔法のアイテムを使ったのかもしれんな」
「大魔王さん、そんなものあるの?」
と茜はフェネクシーとブラドーの顔を見て尋ねた。
「まぁ、大昔から使われているからの~いくらでもあるぞ」
「魔法の杖とか?」
「杖も有るには有るが、そういう類は術者の能力を高めるものだから良くても威力が倍化する程度の物じゃからたかが知れておる・・・・・・
知れておるが、女子は使うでないぞ!
女子が使ったら洒落にならなそうだからの」
とフェネクシーは茜に釘を刺して続けた。
「恐ろしきは使い捨ての魔道具じゃ。
よく使われるのは『魔法の玉』じゃ。
爆発系の玉じゃと辺り一面廃墟じゃ。
火炎系だと辺り一面大火災じゃな。
ブラドーの言うとおりガミラーズ人が肉弾戦を得意とする武闘系の民族だと魔道具の何かを使った可能性があるの~」
「そんな威力の高い魔道具はそんなに沢山無いんじゃないの?」
「まぁ~そうじゃが、女神・アリーナが後ろにいるとなると10個ぐらい簡単に用意できるじゃろう」
「え~~~危ないじゃ無い!! ウオレル国に沢山あったら洒落にならないんじゃない?
獣人の人たちをあんな虐待してもなんとも思わない国よ!
人間にも平気で使ってきそうよ。
大魔王さんやブラドーさんたちは直撃しても大丈夫なの?」
「姫様、私は当たるようなヘマはしません」
「ワシは魔法障壁を張るようにするの~」
「わぁ~二人とも頼もしい!
ということは私たちも魔法障壁を張れば問題ないの?」
「聖女と魔法使いなら大丈夫じゃろ。が、2発も喰らうと魔法障壁ももたいないじゃろうな」
「じゃ、気をつけないと危険ね。 ライキンさんは?」
「あいつは筋肉バカですので10発喰らっても問題ないでしょう。姫様」
「頑丈なのね~」
「あやつも魔王と呼ばれるくらいの力を持っておるからな」
酷い言われようのライキンだったがネギトロ抱えながら野営の指示をテキパキと出していた。
「どれどれワシも寝床つくりを手伝うか」
フェネクシーは土魔法で次々に家を作り出していった。
「ちょっと私も作ってみようかな~!
何戸も作るの面倒だから大魔王さんのよりも大きい方がいいわね」
茜は両手を広げ大きめの家をイメージして土魔法を唱えるのであった。
ゴゴゴゴーーーー
グラグラグラ
フェネクシーが家を作るときには聞こえることが無かった・・・・・
聞こえてはいけない音が辺りを包む。
地面が揺れグゴグゴーーと音を立て土が盛り上がる。
盛り上がる。
盛り上がる。
「何だ!この地面の揺れは! 地震か!? 敵の攻撃か!!」
ライキンは突然の事に慌てた。
「何?何?」
「どうしたんだ!!」
「危ない、みなさん、伏せて」
加奈、千代、詩織も衝撃に備えるのであった。
地鳴りが収まると畑のあったところにセンスの悪い城といえば良いのか・・・・・
ただ単に出来の悪い巨大な建造物がそびえていた。
「あれ??おかしいな~ こんなに大きいのを作ったつもりでは無いんだけど・・・・・・
もう少し綺麗な形の物のはずだけど・・・・」
「あかねーーーーーーーーーーーー!」
しまった!加奈にバレタ!。
マズイ!!
「何やってるのよーーー!! また、敵が攻めてきたと思ったじゃ無い!!
マリーシャさんは産後で精神が不安定なのよ!!」
「ご、ご、ごめんなさい」
と加奈に言われる前にすごすごと正座をするのであった。
「で、あの不気味な建物はなに!! 何のために作ったのよ!!」
見方によっては悪魔のような顔に見えなくもない。
「大魔王さんみたいにお家を作ろうとしたのだけど・・・・・ちょっと大きすぎたと言うか・・・・
何と言うか・・・・」
「周りの獣人さんたちもドン引きじゃ無い! もっと小さいのを作りなさいよ!」
「いや・・・・沢山作るのが面倒かなと思って・・・・・」
「だから、あんたはガサツなの!!」
「加奈ちゃん、これだけ大きければ獣人のみなさんも全員は入れるんじゃない?」
と詩織は城なのか良く分からないセンスの悪い巨大な建物を見上げながら言った。
「とりあえず獣人全員が雨風を凌げるじゃろ」
「そうよね~~大魔王さん。流石、年の功! 加奈みたいに叱るだけじゃなく分かっているな~」
とりあえず巨大な建物の中に入ると・・・・・・・・
部屋一つ一つがあるわけでなく地面の上に作られた床の無い巨大な体育館。
「茜! こんなんじゃ使い物にならないじゃ無い。
無駄に広いから中は寒いわよ。
雨しか凌げないわよ!!」
そこへライキンがやってくると
「雨が凌げるだけでも充分だ。
寝るところもまともに無かったんだ。
とりあえずはこれでいい!!」
「仕方ないの~」
とフェネクシーは言うと巨大な建物の中に部屋を次々作っていった。
「・・・・・・これなら、茜の建てた巨大建造物はいらなかったんじゃない?」
見も蓋もない加奈の指摘であった。
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