上 下
158 / 304
第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!

休息

しおりを挟む

ネギトロの誕生に沸く『北の森』の獣人たちだが住むべく『北の森』へ戻ると殆どの建物が焼け落ち石作りの大きな建物だけが残っていた。
が、その建物の半分は崩れ屋根も殆ど崩れ落ち雨風を凌ぐのも難しい状態であった。

「ほんの僅かな時間にカミラーズ人どもに・・・・・」
『北の森』に残っていたネコの獣人が答えた。

辺り一面焼け焦げた臭いが漂う。
殆どの獣人たちが肩を落とし、立ち止まったまま呆然とする者も多数いた。
開拓した畑も大方吹き飛んでいた。

「これは酷い有様だ。 あの雷撃魔法のせいか。
 あの中に強力な魔法使いがいたのかもしれんな」

「私が戦ったときは魔法など使わず剣で勝負を仕掛けてきたけど・・・・・」

「魔法のアイテムを使ったのかもしれんな」

「大魔王さん、そんなものあるの?」

と茜はフェネクシーとブラドーの顔を見て尋ねた。

「まぁ、大昔から使われているからの~いくらでもあるぞ」

「魔法の杖とか?」

「杖も有るには有るが、そういう類は術者の能力を高めるものだから良くても威力が倍化する程度の物じゃからたかが知れておる・・・・・・
 知れておるが、女子は使うでないぞ!
 女子が使ったら洒落にならなそうだからの」
とフェネクシーは茜に釘を刺して続けた。

「恐ろしきは使い捨ての魔道具じゃ。
 よく使われるのは『魔法の玉』じゃ。
 爆発系の玉じゃと辺り一面廃墟じゃ。
 火炎系だと辺り一面大火災じゃな。
 ブラドーの言うとおりガミラーズ人が肉弾戦を得意とする武闘系の民族だと魔道具の何かを使った可能性があるの~」

「そんな威力の高い魔道具はそんなに沢山無いんじゃないの?」

「まぁ~そうじゃが、女神・アリーナが後ろにいるとなると10個ぐらい簡単に用意できるじゃろう」

「え~~~危ないじゃ無い!! ウオレル国に沢山あったら洒落にならないんじゃない?
 獣人の人たちをあんな虐待してもなんとも思わない国よ!
 人間にも平気で使ってきそうよ。
 大魔王さんやブラドーさんたちは直撃しても大丈夫なの?」

「姫様、私は当たるようなヘマはしません」

「ワシは魔法障壁を張るようにするの~」

「わぁ~二人とも頼もしい!
 ということは私たちも魔法障壁を張れば問題ないの?」

「聖女と魔法使いなら大丈夫じゃろ。が、2発も喰らうと魔法障壁ももたいないじゃろうな」

「じゃ、気をつけないと危険ね。 ライキンさんは?」

「あいつは筋肉バカですので10発喰らっても問題ないでしょう。姫様」

「頑丈なのね~」

「あやつも魔王と呼ばれるくらいの力を持っておるからな」

酷い言われようのライキンだったがネギトロ抱えながら野営の指示をテキパキと出していた。


「どれどれワシも寝床つくりを手伝うか」

フェネクシーは土魔法で次々に家を作り出していった。

「ちょっと私も作ってみようかな~!
 何戸も作るの面倒だから大魔王さんのよりも大きい方がいいわね」

茜は両手を広げ大きめの家をイメージして土魔法を唱えるのであった。

ゴゴゴゴーーーー
グラグラグラ

フェネクシーが家を作るときには聞こえることが無かった・・・・・
聞こえてはいけない音が辺りを包む。
地面が揺れグゴグゴーーと音を立て土が盛り上がる。
盛り上がる。
盛り上がる。

「何だ!この地面の揺れは! 地震か!? 敵の攻撃か!!」
ライキンは突然の事に慌てた。

「何?何?」
「どうしたんだ!!」
「危ない、みなさん、伏せて」

加奈、千代、詩織も衝撃に備えるのであった。

地鳴りが収まると畑のあったところにセンスの悪い城といえば良いのか・・・・・
ただ単に出来の悪い巨大な建造物がそびえていた。

「あれ??おかしいな~ こんなに大きいのを作ったつもりでは無いんだけど・・・・・・
 もう少し綺麗な形の物のはずだけど・・・・」

「あかねーーーーーーーーーーーー!」

しまった!加奈にバレタ!。
マズイ!!

「何やってるのよーーー!! また、敵が攻めてきたと思ったじゃ無い!!
 マリーシャさんは産後で精神が不安定なのよ!!」

「ご、ご、ごめんなさい」

と加奈に言われる前にすごすごと正座をするのであった。

「で、あの不気味な建物はなに!! 何のために作ったのよ!!」

見方によっては悪魔のような顔に見えなくもない。

「大魔王さんみたいにお家を作ろうとしたのだけど・・・・・ちょっと大きすぎたと言うか・・・・
 何と言うか・・・・」

「周りの獣人さんたちもドン引きじゃ無い! もっと小さいのを作りなさいよ!」

「いや・・・・沢山作るのが面倒かなと思って・・・・・」

「だから、あんたはガサツなの!!」

「加奈ちゃん、これだけ大きければ獣人のみなさんも全員は入れるんじゃない?」
と詩織は城なのか良く分からないセンスの悪い巨大な建物を見上げながら言った。

「とりあえず獣人全員が雨風を凌げるじゃろ」

「そうよね~~大魔王さん。流石、年の功! 加奈みたいに叱るだけじゃなく分かっているな~」

とりあえず巨大な建物の中に入ると・・・・・・・・
部屋一つ一つがあるわけでなく地面の上に作られた床の無い巨大な体育館。

「茜! こんなんじゃ使い物にならないじゃ無い。
 無駄に広いから中は寒いわよ。
 雨しか凌げないわよ!!」

そこへライキンがやってくると

「雨が凌げるだけでも充分だ。
 寝るところもまともに無かったんだ。
 とりあえずはこれでいい!!」

「仕方ないの~」

とフェネクシーは言うと巨大な建物の中に部屋を次々作っていった。

「・・・・・・これなら、茜の建てた巨大建造物はいらなかったんじゃない?」

見も蓋もない加奈の指摘であった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

TS剣闘士は異世界で何を見るか。

サイリウム
ファンタジー
目が覚めたらTSしていて、しかも奴隷になっていた。剣闘士として戦うことを運命づけられた"ジナ"は、『ビクトリア』という名前で闘技場に立つ。彼女はこの命が軽い異世界で、どう生き、何を見るのか。 現在更新の方を停止しております。先行更新はハーメルンにて行っているのでそちらの方をご覧ください。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。

黒ハット
ファンタジー
 前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます

ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。 何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。 何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。 それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。 そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。 見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。 「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」 にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。 「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。 「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。

処理中です...