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第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!
決戦!北の森!!・・・・・でも瞬殺
しおりを挟むそのとき、森の奥から爆発音が響いた。
「俺の仲間たちだ!!
俺を解放した方がいいぞ! ハハハハハ!
俺の仲間は残忍な奴らが多いからな!
皆殺しだーーー!ハハハハハ!!」
ピターーーン!
茜はゼムにビンタをし全速力で爆発音のするほうへ向かった。
「ゼム! 後からやって来る、ライキンは姫様のように優しくないぞ。
お前へと生きて会えるといいな」
ブラドーはゼムにそう語りかけ、フェネクシーは哀れみの目で一瞥すると茜を追うのであった。
「ロープをほどけー!! 解放しろ!!」
ゼムの叫び声が焼け爛れた『北の森』に響き渡った。
その後、ゼムを見たものは誰もいなかった。
茜が爆発音のする地点に到着すると加奈が両手を広げ魔法障壁を張っていた
その中には亜人、獣人たちの女・子供と血だらけで仰向けになっている千代と織田がいた。
詩織は二人に一生懸命治癒魔法を掛け回復に努めていた。
「そろそろ、破れるぞ~ハハハハハ」
と、30歳前後だろうか?大柄の男が魔法障壁を巨大なハンマーで殴りつけている。
「壊れたら皆殺しね。お姉さん、人の死ぬところを見るのが大好きなの! ハハハハハ」
20代後半の女の戦士が細長いヤリを魔法障壁に投げつけている。
ヤリは自動で女の手元に戻ってきている。
「中々壊れないね~」
ブラドーを救出したときにいた子供が両手剣で魔法障壁を叩いている。
そして、腕組みをしながら中肉中背の男は3人を無言で見ている。
ピキピキ
と魔法障壁にヒビが入り
ガシャーーーン
とガラスが割れるように魔法障壁が崩れた。
巨大なハンマーを持っている男は抱き寄せているライキンの妻、マリーの下へ向かった。
ヤリを持っている女は
「壊れた~~ 私が一番ヤリ!!」
と言うと女のカミラーズ人は加奈にヤリを投げつけた。
グサッ!
ヤリは加奈を貫き口から血を吹き出した。
「加奈ーーーーーーーーーーーーー!!」
女のカミラーズ人は投げた手首を戻すような仕草をするとヤリが手元に戻ってきた。
「さぁ~とどめ~~~~死になさい!!」
もう一度、ヤリを加奈に目掛けて投げつける。
ヒュッ!
と言う音の後に
ブワッ!!
と風が吹く。
スパッ!
ヤリが加奈に届くよりも速く茜は加奈の側に駆け寄りヤリを掴んだ。
「私の投擲を掴むなんて!!」
女のカミラーズ人が焦る。
そのとき、茜の赤い髪の毛は逆立っていた。
茜の瞳が怒りに満ち周りの空気は凍りつこうとしていた。
そこにいる誰もが空気が凍りつくような恐怖という名の緊張感を知った。
バキッ!
おもむろにヤリをへし折り地面に叩きつけた。
「あ~~私のロンロンギヌの槍が!! 何て事を!」
タナの剣を背中から取ると何も言わずカミラーズ人の女に投げつけ女の体を貫いた。
女はまばゆい光の粒子になったかと思うと水色の魔石が落ちていた。
巨大なハンマーを持った男はそのハンマーをマリーシャに振り下ろした。
茜はまた俊足を使いマリーシャを庇うように多い被さるとハンマーが背中を直撃した。
男には確かな手応えがあった。
「バカな! 直撃したはずだぞ!」
茜は何事も無かったように立ち上がる。
「何ともないのか!! 貴様!
よくもエニーをやってくれたな!!」
大柄な男が巨大なハンマーを茜に目掛けて振り下ろす。
「死ねーーー!!」
ガシッっと振り下ろされたハンマーを左手で掴んだ。
空いている右手で大柄の男の頭を掴み力一杯アイアンクローを噛ます。
グシャッ!
大柄の男の頭部は無残にも破壊された。
まばゆい光の後に水色の魔石になった。
腕組みをしていた中肉中背の男が剣を抜き近づいてきた。
「アスを瞬殺か! お前が名無しの女神が召喚した勇者か!
俺は女神・アリーナによって召喚された勇者・ギブだ。
他の奴らと違って俺は温くないぞ!
聖剣・エクズカリバーのサビにしてやる!」
ギブは上段から斬りつける。
茜は左手でエクズカリバーを受けようとしたがギブは剣筋を瞬時に代え左脇腹に斬りつけた。
ガン!
そのスピードに茜は対応できずにエクズカリバーが左脇腹に命中する。
「何だこの硬さは!!」
鋼鉄に当たったような手応えにギブは驚くのであった。
その瞬間に茜はエクズカリバーを掴み、右手でギブの頭にアイアンクローを噛ますと
グシャ!
と言う音がした。
そして、まばゆい光の後に水色の魔石が現れた。
「クソーーー、ババーー!ギブ兄ちゃんやエニー姉ちゃんをよくも殺したな!!」
あの少年は少し小ぶりな両手剣を振り回し近づいてきた。
茜は手刀を少年の両手に振り下ろし剣を叩き落した。
「やったな、ババー」
ピタンッ!
ビンタの音が響き渡る。
「やったな、バ」
ピタンッ!
「いてーだろ、バっ!」
ピタンッ!
「止めろ!バ」
ピタンッ!
「いた・・」
ピタンッ!
「バっ!」
ピタンッ!
「止めてっ」
ピタンッ
「許して」
ピタンッ
「ごめんな・・・」
ピタンッ
「ごめ・・・」
ピタンッ!!
「もう止め」
ピタンッ!!!
カミラーズ人の少年が何かを言おうとするたびにビンタが飛んでくる。
少年の顔は真っ赤に脹れ上がり口から血を流していた。
そして茜は少年の頭を掴み持ち上げると全ての力を込めて明後日の方向へ投げ捨てた。
全てが終わった後、我に返った茜は倒れている加奈の下へ駆け寄りエクストラハイヒールを掛けた。
「加奈、加奈、加奈・・・・・大丈夫」
加奈を抱き起こすと。
「ありがとう、茜、また助けられたわね。
私、死んだかと思ったわよ」
思いのほか加奈の意識はしっかりしている事に茜は安堵し体を休めることが出来るよう木の側に運んだ。
そして、千代と織田のへ歩いていこうとすると二人も起き上がろうとしていた。
「千代、織田も大丈夫?」
「詩織のヒールに救われたよ」
千代と織田も出血は止まり意識もはっきりしているようだった。
「あいつら強かった。私と織田では手も足もでなかった」
「白田、お前、強いな~ 俺なんか剣を受けるだけで精一杯だったよ」
「・・・・・・・・・」
茜は俯いたまま立ち止まった。
「う・・・う・・・・うっ・・・・・うわーーーーーーー」
と大声を出し顔を押さえながら泣き崩れるのであった。
「ごめんね。ごめんね。みんなをこんな危険なことのに巻き込んじゃって・・・・・
早く、みんなを元の世界に戻さないと・・・・・
私、一人でお兄ちゃんを探す・・・・・
ごめんね・・・・・
う、うっ、うーーーーーー
もう、これ以上みんなを巻き込みたくない」
詩織は駆け寄り茜を抱きしめながら
「何言っているのよ。茜ちゃん。泣かないで。私も碧さんたちを助けたいと思っているのだから」
そして、加奈も駆け寄り
「茜! 今さらな何を言っているんだ。茜を一人に何てしておけないだろう」
「そうだぞ、茜! 私は則之さんを絶対に探すんだ!
だから、一緒に探すぞ!」
と千代も駆け寄ってきた。
「でも、でも・・・・みんなに何かあったら・・・・・」
「茜。もう手遅れなのよ。
私たちみんな『ハルフェルナのしがらみ』に取り込まれてしまっているんだ。
終点に着くまで、この列車から降りる事は出来ないのよ。
私たちの世界もおかしいかも知れないけど、ハルフェルナはもっとおかしい世界だ。
それを少し治せるかもしれない力を持ってしまったんだから・・・・
少なくとも碧さんを見つけるまでは途中下車は出来ないよ」
加奈は茜を抱きしめる詩織をさらに上から抱きしめた。
「俺は・・・・早く家に帰りたい・・・・」
と仰向けに寝転がりながら織田ボソッと言った。
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