147 / 304
第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!
他世界召喚者
しおりを挟む「茜ちゃ~~ん、大丈夫~~」
「茜様~~!」
ブラドーを助けた茜たちの下へ馬に跨ったアルファがやって来た。
その後には詩織が乗っている。
「詩織、大丈夫だぞ! ブラドーさんも大丈夫だ!」
詩織は馬から降りブラドーの元へ向かった。
「良かった~ ブラドーさん、ヒール掛けておきますね。ヒール。
どこか痛むところはありますか?」
「ありがとうございます。左胸の辺りがまだ傷みます」
詩織はブラドーの左胸に手を当てて、ゆっくり何度もヒールを唱えた。
「茜様、大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫。ブラドーさんも無事に救出することが出来たわ。
よくこの場所が分かったわね~」
「こちらの方向から何かが凄い勢いで飛んできたのですよ。
そんな事を出来るのは茜様以外いないだろうと思いまして」
「あ~~~~あれね」
「あれは何だったのですか?」
「異世界からの召喚者よ。どうも私たちとは違う世界からみたい」
「茜様たちと違う世界ですか・・・・・」
「いけ好かないガキで口の利き方が成っていなかったからお仕置きしておいたけど、ブラドーさんに対する仕打ちを考えると残忍な性格をしていそうよ。
気をつけたほうが良いかも」
そこへ千代たちを乗せた馬車がやってきた。
御者台から織田と千代、フェネクシーが降り、織田と千代は茜のところへ、フェネクシーはブラドーのところへ歩み寄った。
「白田、何か分からないがこの辺りから凄い勢いで飛んできたぞ」
「あっ、あれはウオレルの異世界召喚者。肌の色が水色だったわよ。
私たちとは違う世界みたい」
「マジかよ! 水色の肌ってなんか気持ち悪りーな」
「しつけの成っていないクソガキだったからお仕置きしておいたわ」
「何にせよ、ブラドーさんを救出できて何よりね」
と千代が言う。
「ブラドー、お主、大丈夫か?
お主ほどの者が後れを取るとはウオレルの召喚者たちも侮れないな」
「老人、そなたはフェネクシーか!?」
「そうじゃよ。ワシじゃ」
「ナマケモノよりその姿のほうが似合っているな。大魔王に相応しい格好かもしれん」
一呼吸置いてブラドーは続けた。
「ウオレルの召喚者たちはカミラーズ人と言うそうだ。
やたらと好戦的で残虐な性格をしておりプライドが高い。
姫様とは大違いだ」
「姫様って誰じゃ?」
「茜様のことだ」
「何じゃお主!いつから姫様呼ばわりしているのじゃ」
「ついさっきからだ。命を助けていただき血まで分けてくださった。
私の今後の人生は姫様を主君として仰ぎ仕えることにした」
「なんじゃ、それは。お主、吸血鬼じゃろ。血を吸ったお主が眷属になってどうするんじゃ」
「今まで飲んだ血の中で最も洗練され麗しい血で私が虜になってしまった」
「お主な~・・・・・まぁ、ワシも分からんでもないが。
あの女子の負の感情は今まで味わった中でも格別な美味じゃからな~」
「ちょっと、そこの2人。私は肴に変なこと言うのは止めてよ~
なんか私が危ない人みたいじゃない」
茜の言葉を聞いた織田は思った。
いや、どう考えてもお前は危ない人だよ!と。
が、口にするとアイアンクローが飛んでくるのが分かっているので口には出さなかった。
「ところでカミラーズ人たちはどんな戦い方をしたのじゃ。
お主ほどの手練れがやられるとなると警戒しないわけにはいかんからの~」
「奴らは5人組で男3人、女1人、子供1人。
中肉中背でガッシリしている奴が他の連中に命令をしていたのでリーダーだろう。
全員、魔法より肉弾戦を得意としているようだ。
見たことのない魔剣、聖剣の類を持っていた。
斬られた瞬間、生命力や魔力を吸い取られてしまい為す術なく取り押さえられた。
あいつらは危険だ。
私をすぐに殺すことが出来たにもかかわらず嬲り殺しにするような事を平気で行う残虐性を持っているから気をつけたほうが良い」
「聖剣か、やっかいじゃの~」
「茜ちゃんのタナ様の剣があれば大丈夫なんじゃないですか? 大魔王さん」
と詩織が訊ねる。
「相手は5人いるのじゃよ。一人ずつ相手にするのなら問題ないじゃろうが、いくら女子でも一度に5人は厳しいじゃろ」
「大魔王さんは戦ってくれないのですか?」
「ワシは痛いのはあまり好かんのでな~」
「女神様と戦ったと聞きましたけど」
「昔はな……今は、寝ていたいのじゃよ」
「大魔王さん、お願いです。力を貸してください」
と詩織は胸の前に両手を握りお祈りのポーズをしながら上目遣いでフェネクシーを見つめた。
「分かった、分かった。ワシも協力する」
悪魔をも落とす詩織の必殺技であった。
0
お気に入りに追加
781
あなたにおすすめの小説
腐った伯爵家を捨てて 戦姫の副団長はじめます~溢れる魔力とホムンクルス貸しますか? 高いですよ?~
薄味メロン
ファンタジー
領地には魔物が溢れ、没落を待つばかり。
【伯爵家に逆らった罪で、共に滅びろ】
そんな未来を回避するために、悪役だった男が奮闘する物語。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。
黒ハット
ファンタジー
前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる