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第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!
思惑
しおりを挟む「兄妹で、結婚!!」
「国王陛下が『白銀』?」
と、茜と加奈で喰いつくところが異なっていた。
「王子!!どこかに潰れそうな爵位家ない? あれば私が継ぐ!」
「茜様がこちらに残ってくださるのであらば新しく家名と爵位を用意させますよ。
王もマストンも賛成してくれるでしょう」
「茜!馬鹿言ってるんじゃないわよ!
それにしても意外ね。
あの優しそうな王様が武名を轟かせていたなんて」
「結婚してから滅多なことでは前線に出なくなったのですよ。私の母、女王陛下のお願いで」
「そういえば、女王陛下にお会いした事は無いのですが」
「母はベルファを産んだとき亡くなりました」
「あっ、ごめんなさい、王子様」
「いえ、加奈殿、構いませんよ。
女王と言うより優しい母でした。
マストンがロゼ教の司祭だったとき下でシスターとして働いていおり魔物の戦いのとき負傷を負った国王陛下の手当てをしたのが馴れ初めだそうです」
「きゃ~~~ ラブロマンスよ~~」
「茜、静かにしなさい」
と加奈に怒られる茜であった。
「前から疑問に思っていたのですけどマストンさんは神官長、教会の人ですよね。
それがなぜ政治の世界に?」
「だからそれは、マストンさんがファイレル王国のラスボスなのよ。
裏で王様を操って王国を乗っ取ろうとしているのよ。
だって怪しいじゃない。
教会の人が政治に口出すなんて三権分立に反しているでしょ」
「政教分離原則ね!」
「そうとも言うわね」
「言わないわよ!!」
「でも、茜様の意見も正しいかもしれませんね」
「ほら~~~」
「え?嘘でしょ!」
「いえいえ、マストンはハルフェルナの政治を司る者の中で一番の食わせ物と言われていますからね。
『ファイレルが成り立つのはマストンの策略があってこそ』と言われているくらいですからね。
『西のレイラン、東のマストン』と言われてますし」
加奈は口の中で「レイラン」と記憶するようにつぶやいた。
「え~~~危ないじゃない。王国が乗っ取られちゃうわよ」
「茜様、心配ないですよ。乗っ取る気があるのなら、もうとっくに乗っ取っていますよ。
マストンは国王の師であり、私とベルファの師でもありますから。
王の願いで政治の世界へ足を踏み入れたのです。
もし国が乗っ取られるのならマストンに乗っ取って欲しいくらいですよ」
「王子様はマストンさんを信頼されているのですね」
「実はマストンがアリア王女との婚姻を進めたのですよ。
本来なら国と国の強固な同盟を望むのなら私とアリア王女よりアクア王女と婚姻を結んだ方が良いのですがマストンはアリア王女との婚姻を進めたのです」
「それは何故なのでしょうか?」
「マストンがはっきり言ったわけではありませんが『アクア王女が王妃になると国が傾く』と」
「浪費家なの?」
「浪費家と言えば浪費家かもしれませんね。アクア王女が表舞台に出てきてからはウオレルの国庫の半分近く軍事予算に回していますから」
「半分も?え~~、ウオレルは戦争を仕掛けるつもりなの?」
と茜が王子に聞くと
「魔王相手だと思いますけど。絶対ではないですね」
「ハルフェルナも色々と複雑なのね」
と茜はため息をついた。
「他にもファイレル、ウインレル、ウオレルの3国で人類のほぼすべてのことが決定されるのですが、この3国はすべて宰相がいて、その宰相が国を運営していると言っても良いのです。
我が国のマストン、ウインレルのレイラン、ウオレルのニッケルメッヒの3人のうちマストンとレイランは高齢でニッケルメッヒは30代と聞いています」
「あ~~、マストンさん、レイランさんが亡くなるとニッケルさん一人の時代になると言うわけね。
それを危惧してファイレルとウインレルの間に強固な同盟関係を築くために王子様とアリア王女様の結婚を考えたのですね」
「そうです。さすが、加奈殿。ベルファが『宰相になる』と言っていますが優しすぎてニッケルメッヒに対抗は出来ないでしょう」
「なるほど~~それでマストンさんは性格の悪い加奈を宰相にと言ったのね」
「茜! 一言余計よ!!」
「マストンとウインレルのレイラン宰相は仲が凄く悪いのですよ。
同時代にいた傑物同士、相容れないものがあるようでして。
それでもアリア王女との婚姻を進めたのはニッケルメッヒの存在を考慮したと思われます」
「う~~~ん、政治の世界は色々大変なのね~」
と人事のように茜は言った。
2日かけてウインレルの城に着いた。
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