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第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!

ステータスMAX

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成り行きでハルフェルナの救済に力を貸すこととなった茜であった。

「魔王ってどこにいるの?さっさと封印しに行くわよ。
  私は早く終わらせてお兄ちゃんを探しに行かないといけないから」

「茜様、そうは言っても勇者のレベルが低いうちに魔王城へ近づくのは危険です」

「織田~、今、レベルどれくらいなの?」

「え? と言われても自分のレベルなんて知らないよ」

「使えないわね~ 自分のステータスも見えないの? イメージして御覧なさいよ」

「あ、あ、茜様は自分のステータスが分かるのですか?」
王子が目を見開いて驚いた。

「分かるわよ。イメージすると出てくるわよ。それが?」

「いいえ、普通は自分のステータスなんて分かりませんよ」

「え?そうなの?」

「普通は『ステータスの鏡』を使って鏡に映すことによって初めて見ることが出来ます」

「なんか面倒ね~ もっとサクサクいかないの?」

「いかないのですよ。そんなに簡単な物では有りません」

王が合図をすると高さ2mほどの鏡が謁見の間に運ばれてきた。

「勇者殿、こちらへ」
王子が織田を手招きして鏡の前に立たせる。

鏡が光ると鏡に何やら文字が映し出された。
HP、MP、体力、攻撃力・・・・・・
使える魔法などなど
それを見ると王様の隣にいたおじいさんが言った。

「ステータスは普通の騎士と同じくらいです」

「おじいさん、偉い人なの?」
と茜が尋ねると

「いかにも。私がこの国の宰相を兼ねる神官長のオットー・マストンである。
  そなた達の召喚の儀式を行ったのも私である」

「お前か! お前が私達を召喚したんだな!」

といきなりアイアンクローを噛ました。

「ぐわ~~痛い、痛い。離せ、何をするのじゃ」

「あ、あ、茜様、手をお離しください。マストンは普通の老人ですので死んでしまいます」
王子があまりの事に驚きながら訴えた。

「このじいさん、怪しい! 裏でこの国を乗っ取ろうとしているんでしょ! 
  神官と宰相を兼ねてるなんて絶対悪人よ! 
  三権分立に反しているわ!!」

「茜! それは政教分離原則だろ」

「そうとも言うわね」
と、間違った事を誤魔化す茜であった。

「あ、茜ちゃん!手を離して。このおじいさんが居なかったら、こちらの世界に来れなかったのよ。
  碧さんを助けるんでしょ」

「そうだぞ、茜。今お前のやっていることは八つ当たりだぞ」

「・・・・・まぁ、そうね。おじいちゃん、ごめんね、一応、ヒール掛けておくね」

と言って私は悪くないという顔をしながらヒールを掛けるのであった。

「い、い、異世界の女子おなごはこんなにも凶暴なのか?」

「茜ちゃんだけは特別ですから・・・・・・」
と詩織は済まなさそうに答えた。

マストンはコメカミを抑えながら次の者と指示を出すのであった。


クラスメイト達が次々鏡の前に立ちステータスが明らかになっていく。
茜の順番が来ると。

鏡が光ると
文字がずらーーーーっと並び
ありとあらゆる魔法が。
高位の神官のマストンでさえ聞いた事のない魔法が。
ありとあらゆる耐性が。
ステータスのすべてが9999999。
しかしレベルだけは1。
職業は「なし」
と記載されていた。

「こ、こ、この方は・・・・・・に、に、人間なのでしょうか?」
マストンがあまりのことに尻餅をつきながら問うた。

「おじいちゃん、失礼ね。こんなに可愛いモンスターがいると思ってるの?」

「い、い、いえ、茜殿。神様が降臨されたという話ではないでしょうな」

「何言ってるのよ。私は普通の女子高生よ。女神様に特別に力を分けてもらったのよ」

クラスメイト達は思った。
あれは特別に分けてもらったのでは無い恫喝して奪い取ったのだと。

「もう、気持ちの良い女神様でこの剣とローブまでプレゼントしてくれたのよ」

と言って背中の剣を見せた。

「さすがお兄ちゃんを召喚しただけのことはある。あの女神様はきっと世界最高の女神様よ!!」

クラスメイトは思った。
あれはプレゼントとは言わない強奪だと。

「あ、あ、茜様。その剣はとローブはどういった物でしょうか?
  気になっていたのですが、我々の世界に伝わる神話に出て来る剣とローブにそっくりなのですが・・・・・」
王子は完全にビビリながら聞いた。

「あ、これ?なんか、タナの剣とロゼのローブっていうらしいの。
 うちで飼っている犬と同じ名前だと言ったら快くくれたのよ。いい女神様でしょ」

少なくとも女神様は快くプレゼントしたのでは無い。

王子も驚きのあまり尻餅をついた。
王は茜の側に素早く寄り両膝をつき頭を下げた。
それを見た騎士団も王と同じく両膝を付き顔を地面につけるのであった。

「あ、あ、茜様。何卒何卒、ハルフェルナをお救いください。
 神の化身である茜様にすがるしかありません。
 どうか、ハルフェルナの民をお救いください」

「ちょ、ちょ、ちょっと、王様まで急にどうしたの? 
 私は普通の女子高生。お兄ちゃんを探すためにきた女子高生よ」

「茜様。その剣はハルフェルナを魔神から救った神・タナ様の持っていた剣。
 ローブは女神・ロゼ様の着ていたローブで御座います。
 その二つをお持ちになっていると言うことは神か神の使いであられると思うのですが・・・・」

「だから、私は普通の女子高生ですから。 ねぇ~みんな!」

いきなり振られたクラスメイト達は

「お、おぉ~」
「あ、はい」
「そ、そうです。普通の女子高生です」
「ふ、ふ、普通です」
「JKです」

と答えたのだが・・・・・・
女神様を恫喝する女子高生がこの世にいるか?
女神様にいきなりアイアンクローを噛ます女子高生がいるか?
と誰もが思ったが否定すると次にステータスをカンストした力のアイアンクローの餌食になるのは自分だと分かっているので茜に従ったのであった。

頼まれると断れない性格の茜は、なし崩し的にハルフェルナを救うことになった。
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