上 下
69 / 304
第一部 俺のハーレム・パーティがちょっとおかしい/ラッキースケベは必要ですか?

七海キレる!!

しおりを挟む
七海の機嫌が悪い。
明らかにイライラしている。

「あの~ 七海さん、私、何かやらかしちゃいました? 食事が美味しくないとか」

「え? 違うの違うの」
手を振って首を振って答えた。

「ここ数日、食事時を狙ってガルメニア軍がちょろちょろ嫌がらせに来るじゃない。
  白田君の作ってくれる美味しいご飯がちゃんと食べれないのがうっとおしくて」

食事時の攻撃を受ける事を考えて騎士団と冒険者たちは3チームの交代制になっているが俺たちは全員が一斉に取る事にしている。
その俺たちの食事時を狙ったようにガルメニアは攻めてくるのだ。
しかも3日続けて。

「もう、頭にきた!! 白田君、水原君、騎士団長のところへ行くから付き合って!!」

俺と智弘は手を引っ張られヘルムートさんのところまで強制連行された。



ヘルムートさんのいる騎士団の詰め所に赴き見張りの兵士に面会の旨を伝えるとすぐに詰め所内部に通された。

「どうしたのかね?」
ヘルムートさんが椅子に座るように手を動かした。

「あの~うちの魔道師さんが激オコ状態でして・・・・・・」

「ヘルムートさん、私がルホストへ行って魔法を撃ってきます! 
  ガルメニア軍のせいで美味しいご飯をゆっくり食べられません!!」

「おいおい、七海、お前過激すぎるぞ。食事ぐらいで」

「魔道師殿、過激ですな」

俺たちの会話を聞きながら智弘の顔がニヤニヤ笑っていた。

「俺は今でも七見に大量虐殺はさせたくは無い」

「白田君はあまい!! これ戦争なんだから。やられる前にやる!!
  もし、みんなに何かあったら悔やんでも悔やみきれません!!」」

うわ~~七海の口から『やる』とか『やられる』とか・・・・・ご馳走様でした。

「そうして頂けるとオリタリアとしてもありがたいのですが、白田殿は極度に魔道師殿が人を殺めるのを拒絶されているので私としては裁可を下せないのですよ」

「私が良いと言っているんですから問題ありません!
  もう何人も、この手で人を殺めていますから」

「おいおい、七海、考え直せ。やり過ぎだよ」

「いえ、やります! ヘルフレイムでも撃ちたい気分です」

「気分で極大魔法を使うなよ」

「ちょい待て」

智弘が会話に入ってきた。

「七海、お前のアースウォールでルホストの町全部を囲うことできるか? 俺のアースウォールはあまり硬くは無いが七海のアースウォールはメチャクチャ硬いだろ。
 ファイヤーボールくらいなんかビクともしなかったし壁の上で闘いあっても崩れたりしなかったから。
 アースウォールでルホストの町全体を囲って出撃できないようにしたらどうだ?」

「それはいいアイデアじゃないか! さすが智弘だな」

「え~~~それじゃ、つまらな~~い。私の怒りをぶつけたいの!」

「じゃ、とりあえず囲ってから数発魔法を撃つのでどうだ?」

「囲えば魔法を打ち込む必要ないだろう」

「食べ物の恨みは恐ろしいのよ。試しに全種類撃ってみたい」

「それはちょっと過激すぎるだろ!」

「我が軍としては敵が殲滅するくらいの魔法を放ってほしいのですが・・・・・」

「ほら、ヘルムートさんも撃って欲しいって言っているから」

「だーーーめ。絶対ダメ。そんな事を七海にさせられません!」

「ブハハハハ」
智弘が笑い出した。

「お前たち二人、出来の悪い夫婦漫才にしか見えんぞ」

夫婦といわれ思わず下を向いてしまった。
多分、顔が赤くなっていることだろう。
七海に目をやると下を向いているようだった。
多分、俺と同じく顔を赤くしているのだろう。

「まぁ極大魔法を撃つかは別にしてルホストの町を土壁で囲ってしまおう。
 帰り際に一、二発お土産を置いていっても良いんじゃないか?
 このくらいなら碧も文句無いだろ」



「・・・・・分かった。不必要な殺生はするなよ」

「では魔道師殿、お願いできますか」

「はい」

七海は明るい声で答えた。



夜になり作戦は決行された。
智弘が七海を抱え飛空魔法で飛んでいきルホストの町へ嫌がらせ、もとい、土壁で囲んで出撃できないようにするという作戦だ。
俺、将太、則之、ヘルムートさんで見送りに来たのだった。

智弘が七海をお姫様抱っこして跳ぶ準備をする。

「あ~~いいな~ 七海をお姫様抱っこできて」

「いいだろう~代わってやらないぞ」
ヘンタイ魔法少女が挑発的な事を言ってくる。

「くそ~~」

「アオ君、怒らないの冗談なんだから」

「う、ううん。それではみなさん行ってきます」

七海が咳払いをしながら言う。
智弘がSky highの呪文を唱え空に舞い上がる。
白と緑の縞パンを確認するとあっという間に見えなくなった。




「なぁ~七海。お前、将太に嫉妬していたろ」

「エッ!? な、な、何言ってるの? し、し、嫉妬なんかしてないよ」

「ハハハハ、動揺しすぎだよ。嫉妬していますって言っているようなものだぞ」

「そ、そんな事無いよ~ 緑山君に嫉妬なんかするわけないじゃない。男の子なんだよ」

「将太が聖女になって碧との距離が近くなったのを見てイライラしているんだと思っていたんだけど」

「そ、そ、そんな事無いよ・・・・・」
七海の声が小さくなった。

「アイツの七海への心配っぷりは普通じゃないだろ。
 この作戦だってお前に人殺しをさせるのを極度に嫌がっているだろ。
 これ以上、七海に嫌な思いはさせたくないんだよ」

「そ、そうなの?」

「そうさ・・・・・・・おっと、これ以上は野暮ってもんだな。
 もう着いたぞ。作戦開始と行きますか」

「はい」

七海は明るく元気な声で返答した。


ルホストの町は暗く所々明かりがついている様子だった。
町の真ん中辺りに大きな焚き火が焚かれていた。

智弘に抱えられたまま最大硬度のアースウォールを唱える。
長さ100m高さも優に10mは超え厚みも3mはあろうかというサイズの物が

ゴォー ゴォー ゴォー

と幾つも連鎖するように地響きと共に地面から競り上がってくる。
北をに塀が完成したかと思うと東へ、南へ、西へ町を一周する。
それまで静かだったルホストの町はパニックになり暗かった街に明かりが灯りだす。

カンカンカン カンカンカン

と半鐘の音が響く。

「おお、慌てている。慌てている」

「ご飯の恨みを思い知れーーー!!」

ガルメニアの兵士飛び出てきて周りを囲む壁に驚く。
何人かの目ざとい兵士がこちらを見つけると弓矢で応戦してくる。

「おっと、危ない。もう少し高度を上げるか」

「私のこの数日の怒りを受けなさい! ブリッツ・ライトニング!!」


ゴロゴロ・ドカーーーン!!


稲光がルホストの町を襲い、暗かった街が一瞬明るくなる。

ウガーーー
ギャーーー

と悲鳴が聞こえてくる。

「あぁぁ~ やっちゃった。碧に叱られるぞ~」

「じゃ~もう一発、撃っちゃおうかな」

「それは止めておけ。叱られるだけでは済まないかもしれないぞ。
 作戦は成功したし撤退しよう。
 これで騎士団への義理ははたしたろう」

「はい、分かりました。みんなの下へ帰りましょう」

「碧のところへだろ」

「ち、ち、違いますーーーーー!」

「ハハハハハ。そういう事にしておこう」

智弘は七海をお姫様抱っこしながらナミラーの町へ戻った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

悲恋を気取った侯爵夫人の末路

三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵夫人のプリシアは、貴族令嬢と騎士の悲恋を描いた有名なロマンス小説のモデルとして持て囃されていた。 順風満帆だった彼女の人生は、ある日突然に終わりを告げる。 悲恋のヒロインを気取っていた彼女が犯した過ちとは──? カクヨムにも公開してます。

異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。

黒ハット
ファンタジー
 前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。

突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます

ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。 何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。 何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。 それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。 そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。 見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。 「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」 にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。 「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。 「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...