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第一部 俺のハーレム・パーティがちょっとおかしい/ラッキースケベは必要ですか?

白田 碧先生・・・・・うん?

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「騎士団、冒険者の皆さん、お疲れ様です。
  カレーの配給をしますので食べたい方は並んでください」
七海の透き通った綺麗な声が辺りに響く。
死傷者は0では無いが被害は思いのほか少なかったようだ。
配給をしているとサリムさんたちのパーティーも手伝ってくれた。

「ちゃんと列を崩さずに並んだ、並んだ。
  行儀の悪いやつにはナミラー名物のBLカレーは食わせられないよ!!」
あの~サリムさん、そんな大きな声で言わないでください。

「お、これが噂のBLカレーか。一度食ってみたかったんだよな」
「お前食ったこと無いのかよ。これは食わないと損だぞ」
「駐屯地でも噂になっていたんだよ。旨すぎるって」
「休みにくいに行こうと思っていたのだけどラッキーだな」

並ぶ並ぶ大行列。
これは用意した分では到底足りない。
慌てて空いた鍋で追加分のカレーと米を炊くことになった。
そこへネーナさんとアレックスさんもやって来た。

「お手伝いします」
とアレックスさんがジャガイモと人参の皮むきを手伝ってくれた。

「この料金は商業ギルドで払うので請求してください」
ネーナさんが言ってくれたが・・・どうしたものか。

「みなさん、先日はありがとうございました。みなさんのおかげでナミラーの地をまた踏むことが出来ました」
アレックスさんが二度目の礼を言ってくれる。

「いえいえ、たまたま通りかかっただけですよ。それより男性に間違えて申し訳ございません。
 アレックスというと我々の世界だと男性のイメージが強いのですよ」

 名前を知ったのはギルド内なのだ。
 俺は完全に容姿で男と判断したという事は黙っておこう。

「私は子供の頃はよく男の子に間違われていましたから。
 私の上に3人の姉がいまして父も次は男の子が欲しかったようで『アレキサンダー』を用意しておいたのです。
 生まれて来た子が女の子だったので『アレキサンダー』の女性名『アレクサンドラ』にしたのです」

「アレキサンダーですか・・・・・・」

「そうです。異世界の偉大な王『アレキサンダー大王』にあやかって」

「エッ?なぜ、アレキサンダー大王を知っているのですか?」

「『科学の祖』『学問の父』と言われている『白田 碧先生』の書き記した書物の中に書かれている英雄の名前ですから。
 白田先生の名は一般の人にはあまり伝わっていませんが学術ギルドや科学ギルドの上級会員なら誰でも知っている有名な方です」

「同姓・同名の偉人がいて光栄なのですが、俺は劣等生だったので恥ずかしいですね。
 その偉人先生は科学だけではなく歴史なんかも詳しいのですか?」

「異世界の歴史が書かれていたといわれています。多分、みなさんの世界の歴史だと思います。
 公用語が日本語になったのも勇者・茜様の功績も大きいと思いますが白田先生の書き記した国語という本がベースになって作られたといわれています。
 その他、三平方の定理やアルキメデスの原理、九九なんかも白田先生が書き記されています」

「し、し、白田君・・・・・」
「碧殿・・・・・」
七海と則之が会話に参加しようとしたが・・・・・言葉を失った。

え?どういうこと?
かつて俺もハルフェルナに転移したことがあって記憶を失っているとか?
待て待て、根本的に俺の頭はそんなに良くない。
九九は分かるが三平方の定理って・・・なんだっけ?アルキメデスの原理ってなんだっけ?
少なくとも本を書けるほど学力レベルは高くない。
タナ・ロゼとタナ様・ロゼ様、茜ちゃんと勇者・茜様、俺と学問の父・白田 碧、この中で一番一致する可能性が低いのが俺と学問の父だ。

「まさか俺が学問の父と同一人物だと思ってないでしょうね~ 
 俺自慢じゃないですけどバカですよ。則之と七海に聞いてくださいよ。
『バカ』と即答しますから。ハハハハ」


俺たちの間に微妙な空気が流れるのであった。
これはイズモニアのダンジョンにある銃を確かめに行かなくてはならないだろう。
俺が銃を使えたら勇者・茜様と茜ちゃんの関係がハッキリするだろう。


そこへ良いタイミングでドリスタンさんヘルムートさんが現れた。

「おい、カレー屋! 助かる」
「白田殿、ありがたい。うちの騎士たちも喜んでいる。感謝する」

「あ、いいえ、たいして働いていないので・・・・・困っときは助け合いしませんとね」

「良い心がけだ。で、カレー屋、ところで・・・・・このカレー何か入っているだろ?」

「へ? な、な、なにも入っていないですよ。何も」
しまった。動揺したのがばれたかもしれない。
が、確かに何も入ってはいない。俺のスキルだ。

「なんか疲れが取れるんだよな。体力が回復する感じがするんだよ」

「まぁ、多少は回復するかもしれませんが美味しいから体が軽くなった気がするだけですよ」

「いや、回復効果があると思う」
ヘルムートさんもドリスタンさんに追従する。

「カレー屋、俺はこう見えても現役時Aランクの冒険者だったから分かる。体力が上がるような感じがする」

おっさん、鋭い! 伊達にギルド長をやっていない。

「ワシもそう思う。このカレーには特別な効果があるように感じる。美味しい物を食べた高揚感だけではない」

騎士団長を勤めるだけあってヘルムートさんも鋭い。
二人はじっと俺を見つめる・・・・・
二人の目力に耐えられなくなった俺は

「あまり知られたくは無いので、この事はお二人だけの秘密にしてくださいますか?」
とネーナさんアレックスさんに聞こえないよう小声で話した。

「分かった」
「誓おう」
人気の無いところへ二人を連れ出した。


「実は俺が作った料理を食べると一定時間ステータスのどれかが上がるんですよ。
 どれくらい上がるか、どのステータスが上がるかは料理によって異なるようですけど」

「エッ、そ、それは本当か!」
ドリスタンさんは声を上げて驚く。

「ハッ!」
ヘルムートさんは息を呑む。

「そ、そ、それがお前のスキルか!」

「まぁ一応、スキルなんでしょうけど」

「お、お、お前、凄いぞ。食べるだけで一時的とはいえステータスが上がるなんて!! 
 お前の本当の職業はなんなんだ!」

「無職ですよ。いや、学生か」

「嘘つけ!」

「いや、本当ですよ」

「カレー屋、冒険者ギルドに来い! ステータスの鏡で本当か調べる!」

「ちょ、ちょ、ちょっと勘弁してくださいよ」

「ヤッパリ、お前が一番怪しい」

「だから異世界から来た学生なんですって。俺、パーティーの中で一番最弱なんですから」

「ドリスタン、そのくらいにしておけ。せっかく異世界人が協力してくれたのに白田殿の心証を悪くしてどうする。冷静になれ」

「冷静にと言うが冷静になれるか!! こんなバフがあるか!」

「いいから、お前は黙れ。白田殿、折り入って頼みがある」
ヘルムートさんは姿勢を正し俺に向き合った。

「白田殿のその力、我が騎士団にお貸しいただけませんか?」

ヘルムートさんのあまりに突然の申し出に驚いた。

「これからガルメニアの本格的な侵攻が始まると思われる。
 私は少しでも部下を守りたい。
 白田殿の力があればこれからの戦いに力強い心添えになります。
 どうか力をお貸しください」

これは少々困った事になった。
俺としては早くセキジョー・ダンジョンに行きたいのだが。

「俺一人では決めることが出来ないのでみんなと相談させてもらってからで宜しいでしょうか?」

「構わない、良い返事を期待している」


と、七海、則之の元へ戻り将太、智弘が帰ってくるのを待った。
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