上 下
29 / 304
第一部 俺のハーレム・パーティがちょっとおかしい/ラッキースケベは必要ですか?

塩・コショウ転がし

しおりを挟む
ようやくナミラーの町に着いた。
ここオリタリアの町でも門番は配置されているのだが驚いたことに犬と言うより狼の顔をした獣人が左右に立っていた。
ギルドカードを見せ町の中に入ると人間だけでなく少数ながらエルフ、ドワーフ、犬の獣人、猫の獣人などもいた。
ハルフェルナではガルメニアとイズモアニア皇国だけが亜人排斥主義を取っている。

「着たーーー 異世界!! エルフだよね。エルフ!!」
智弘は一人テンションが上がっていた。
男女のエルフを数名見かけたのだが全員、イケメンに美女だ。
女神様、これは人種差別なのでは無いですか?

「エルフって本当にいたのね」
七海がこっそり耳打ちをする。
いやいや、七海さん、エルフよりリッチの方が希少だと思いますよ。

俺たちは智弘、則之、七海と俺と将太の二組に分かれた。
智弘たちは冒険者ギルドへ行き挨拶とどのような依頼があるかの確認をしに、
俺たちは商業ギルドへ挨拶とスキルで手に入れられる塩、コショウを見てもらおうと足を運ぶことにした。
ナミラーは「オリタリアの南の入り口」と言われるだけあって商業ギルドもイゼリアの町のギルドと比べ遥かに大きく比べ物にならないほど賑わっていた。
いくつかあるカウンターを見ると「買取所」のプレートが天井から釣り下がっており多くの人が並んでいた。

この世界の塩は現代と同じく岩塩が主流のようだ。
日本では周りが海に囲まれているので出回っている塩は海水塩なのだが現代においても世界で多く使われているのは岩塩なのだ。
岩塩は海水塩と比べると塩辛さが強い特徴を持っている。
イゼリアの市場などで岩塩が多く売られており、
値段も俺のスキルで手に入れ転売してもたいした利益は得ることは難しそうなので日本のスーパーのどこにでも売っている精製塩を5kg調達して売ってみることにした。

コショウの方はブラックペッパー、ホワイトペッパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーの100gずつの4点セットとテーブルコショウでおなじみのパウダーを買い取ってもらうことにした。

ようやく俺の番になった。
まずは精製塩をカウンターに出してみる。
いかにも商人という恰幅の良いおじさんが丁寧に袋を開けて中身を一つまみ手に取り味見をしてみる。
「これは、精製塩か、珍しいね。塩見も良い塩梅で料理に使いやすそうだ。
 粒の一粒一粒が綺麗に整っているね。
 この塩は作る手間隙が掛かるから・・・・・
 ウン、高く買い取るよ。この袋一つ、5000円でどうだい?」

5000円!!ウマーーーー!!500円が10倍か!!これは美味しいぞ!!
岩塩でなくて正解だな。
が、ここは、少し出し渋ってみよう。

「う~~~ん、もう少し何とかなりませんかね?」

「う~~~ん、そう言われても、これ以上高い値段はね・・・・・・・」

「そうですか・・・・」

ここはどうするべきか?
とりあえず保留にしてコショウを見てもらおう。

「では、こちらのコショウを見てください」
俺はブラックペッパーの粒とテーブルコショウ、ホワイト、グリーン、ピンクを出した。
テーブルコショウ以外、100g入り4パックで2000円もしない商品を用意しておいた。

「この粉もコショウなのかい?」

「そうですよ。ブラックペッパーとホワイトペッパーをブレンドして粉にしたものです」

「珍しいね。粉状にするのは何故なんだい?」

「粉にすることにより少量で風味とスパイシー感が増し、料理の後に一味加えたりするのに便利になります」

そう、ハルフェルナのコショウは粉に挽いた物より粒のままのコショウの方が主流だ。
粒を叩いて潰すか粗挽きを使っていた。
これは調味料の種類が不足しているためなのかコショウで大まかな味を決めているようだ。
多分、そのせいで味付けが大味に成っているのだろう。

「ほほー ホワイト、グリーン、ピンクも見たことないね。ちょっと味見させてもらうよ」

といってホワイトペッパーから味見をした。
「この白いのはピリッとした辛みがあるね。香りはあまりコショウらしくない控えめな香りだね」

「ホワイトは白身魚の料理や牛乳やクリームをベースとした色の淡い料理に合いますよ」

「では、緑を。おっ!これは強烈な辛味があるね」

「これもクリームベースのスープにパンチのあるアクセントに良いですし、サラダに入れても美味しいですよ。
マイルドな料理のアクセントにお勧めですね」

「ではピンクのヤツを」

「実はこのピンクのヤツは正確にはコショウでは無いのですよ。見た目がコショウそっくりだからピンクペッパーと言われています」

「ほほー 確かにコショウ独特の香りやスパイス感は弱めだね」

「このピンクペッパーは加熱すると味や香りが飛んでしまうのでサラダやマリネなど冷たい料理に使うかピンクの色彩を生かして料理のトッピング、デザートのトッピングにもお勧めですよ」

「フムフム・・・・・・・・」

しばらくの沈黙の後、

「黒いのは一般的だが白、緑、特にピンクは希少価値があるから・・・・・・・
全部で2万5千円でどうだい?」

俺はしばらく考えるフリをし、

「分かりました。それでお願いします」
と、クールな顔をしておいた。

「商談成立。良い買い物が出来たよ。どの町でも美食家はいるからね。珍しいものだからすぐに売れると思う。また手に入ったらよろしくお願いします」

「はい、今後ともよろしくお願いします。それから露天を出したいと思うですが許可はどうしたらい良いのですか?」

「露天は市場に受付があるからギルドカードがあれば空いている場所さえあれば簡単に出せるよ。
ただ、だいたい場所は決っているから・・・今、空いてるところは冒険者ギルドか騎士団の詰め所近辺りしか空いてないかもしれないね。
それから、このコショウはあまり大ぴっらに販売しないでくれないか?しばらくは商業ギルドの専売にしたいから」

「分かりました。売らないでおきますから安心してください」

俺の心の中はウハウハ!!万歳三唱していた。
これで今夜の宿代も何とかなりそうだ。


商業ギルドから出ると智弘たちが待っていた。
冒険者ギルドに顔を出し討伐の依頼を確認してきたようだ。
ナミラーの東門から出て街道を少し行ったところにスケルトン、スライム、コボルト、オークなどが多くでる森りがあり駆除の依頼が来ているようで、
今も多くの冒険者達がそこへ行っているので明日行ってみることにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。

黒ハット
ファンタジー
 前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。

突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます

ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。 何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。 何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。 それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。 そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。 見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。 「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」 にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。 「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。 「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした

せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ―――

処理中です...