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第一部 俺のハーレム・パーティがちょっとおかしい/ラッキースケベは必要ですか?

くじらの嫁入り

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マリーちゃんたちの商隊を誰一人助けることは出来なかった。
亡くなった人たちをそのまま埋めず毒を考慮して魔法で火葬してから埋葬することにした。
俺、智弘、則之の三人で交代で穴を掘り、骨になった者から穴へ埋めた。
将太は一人落ち込み、まだ泣いていた。
大蛇も七海がヘルフレイムの呪文で炭も残らないほど焼き尽くした。いや、消滅させた。

大蛇を討伐したことにより俺を除く全員のレベルが上がった。
智弘、将太、則之は一気にレベル7に七海だけはレベル4になっただけだ。
リッチはレベルが上がるのに他の職業と比べ経験値が必要なようだ。
それはそうだ、あれだけのスペックがある者がポンポン簡単には上がる分けが無い。
今回討伐したのは七海だけだが俺を除く全員が上がったと言うことは、経験値はパーティーに与えられるようだ。
戦闘でレベルが上がらない俺は少々寂しい気もするが仕方がないことだ。

「あの大蛇はポイズン・スネークだろうな。こんな街道には出ないはずなんだけどな」
と、智弘がポツリと言った。
一気にレベルが上がったと言うことは、あの大蛇はそうとう強いモンスターだったのだろう。

「それは何故?」

「こんな重要な街道にあんな危険なモンスターがホイホイ出てくるとは考えずらいだろ。
 この街道は危険なモンスターは出てこないとギルドでも言っていたからな。 
 一応、下調べはしておいたんだよ」

智弘は何事にも慎重に事を進める。
常に計画的に、そして正確に冷静に物事を進める。
それが、水原智弘という人間だ。
だから俺は智弘の判断を常に信頼している。

「みんな聞いてくれ」
智弘が立ち上がり声を出した。

「これからの旅、誰かを助けないといけない場合に直面すると思う。
 が、もし回復呪文があと一回しか使えない場合、他人とお前たちだったら俺は躊躇なくお前たちに呪文を掛ける。
 それが小さい子供だろうが王様だろが関係ない! 迷わずお前たちに掛ける。 
 将太、お前は優しいから子供を助けてと言うだろう。
 だが、俺はお前の意見を聞くつもりは無い!
 その時もお前に躊躇無く掛ける!

 以上だ!」

将太は下を俯きながらコクッと頷いた。
そして、沈黙の時間が流れる。
そう、これは俺たちが究極の選択を強いられたときの免罪符なのだ。
俺には回復の呪文など無いが選択を強いられたときは迷い無く仲間を選ぶことを心に刻んだ。





俺たちは少し馬車で進み、開けた地点にあった休憩ポイントで、ざるうどんを作り昼食を取ることにした。
またもや俺はレベルが上がり10になった。
相変わらず魔法関係は0のままだが、HPは125、体力115、攻撃力70とレベルの低い戦士クラスの攻撃力はありそうだ。
オマケとして【解体用包丁4点セット】がプレゼントされた。

「今度は解体用の包丁を貰ったぞ。しかも、4本も」

「どんな包丁でゴザルか?」

マジックランドセルから取り出してみると。
ぺティナイフのような短い物。普通の包丁の2倍くらいの刃渡りのおろし包丁。
次の一本は長い、長い。ランドセルから出すのに立ち上がらないと出せないサイズだった。

「よっこらしょ」

「キャ、危ない」
七海が驚いた。
取り出すとほとんど刀のような物が出てきた。刀と違うのは刃にカーブが無く真っ直ぐな点だ。

「これは、たちわり包丁というらしい。マグロなどを真っ二つにするときに使う包丁らしい」

則之に手渡してみると

「まるで刀みたいでゴザルな」

「そして、最後は・・・・・・なんだか凄くでかいぞ」

俺は最後の包丁を取り出す。

「うごーー、で、で、でかい」

ランドセルから引きずり出すように取り出した。
出てきた物は巨大な青龍刀、いや、アニメのキャラが持つような湾曲したゴツイ大剣だ。。

「おお、それは鯨包丁!!」
智弘が大声で叫んだ。

「そうそう、説明では鯨包丁になってるよ」

「それ、ネットで話題になったんだよ。洒落で作られたものだから刃が潰れているはずだから使えないと思うが」
さすが博識の智弘。

「ちょっと、そこの木でも切ってみるか」

俺は近くの木に向かい鯨包丁を振ってみた。

「どっせー!」

バシュ!!
ズドン
右から左へ斜めに入れた切ったのだが木がずれるように切れた。

「おおお、あぶねーー こっちに倒れなくて良かった」

「凄いわ」
「すげーーー」
「凄いでゴザル」

「おおおおおおお」
切り倒した自分が一番驚いている。
剣術などのスキルを持っていない俺がこんなに簡単に切れてしまうなんて恐ろしい切れ味だ。
ちょっと振り回してみた。
おっ、振れる、振れる。これは強力な武器になる。
剣は使えなかったが包丁ならキッチングッズ扱いということなのだろう。
が、この鯨包丁、俺が使うより剣のスキルを持つ則之に持たせたほうが良いのじゃないか?

「ちょっと、則之、お前、使ってみそ」

「我輩がでゴザルか?」

「そう、我輩がでゴザルよ。俺が使うより則之が使った方が有効に生かせるだろ」

則之に手渡し、少し離れたところの木を切ってもらった。

フン、っと気合と共に鯨包丁を振る。

スパン!!
という音と共に木がずり落ちた。

「今までの剣の方が使いやすかったり切れ味が良かったりする?」

「いや、こちらの方が切れ味も軽さも優れているでゴザル」

「へー意外だな、鯨包丁の方が重そうに見えるんだが」

「あの女神様が特別に贈ってくれたものでゴザルから、これは業物でゴザルよ。本当に良いのでゴザルか?」

「ああ、則之が使った方が鯨包丁も喜ぶだろう。それを使うほどの大物を解体することも無いだろうし。
 こんなデカイ物を一々取り出すのも大変だしな」

「ありがたく使わさせてもらうでゴザル」

背が高く体格の良い則之が鯨包丁を背負う様は、まるでマンガの主人公かRPGの勇者そのものであった。
かくして鯨包丁は則之の下へ嫁入りしたのであった。

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