11 / 304
第一部 俺のハーレム・パーティがちょっとおかしい/ラッキースケベは必要ですか?
俺も死す!!
しおりを挟む「さぁ、湖に着いたよ」
湖のほとりに丘というより、ちょっとした小山があったので埋葬するための穴を掘った。
俺は、また涙を浮かべていた。
涙をこぼしながら、ただ掘った。
泣きながら穴を掘った。
なぜ、こんなことになってしまったのだろうか?
俺が、キッチンセットを選ばなかったらこんなことにはならなかったのかもしれない。
女神様に騙されたのか?
そうは思いたくない。
あの女神様が人を騙すようなことはしないはずだ。
・・・・・・俺たちが女神だと思っていても実は悪魔だったのかもしれない。
いや、そんなことはない。
なぜだか、俺はあの女神様を疑う気にはなれなかった。
「碧、交代だ。則之は将太と代われ」
智弘と代わり則之と一緒に御者のおじさんの隣に座った。
「碧殿は優しいでゴザルな」
とっさに涙をぬぐった。
泣いていたのは俺だけのようだった。
「ははは、なに言ってるんだ! 将太に性格悪くなったと言われたじゃんか」
「あああ、そうでゴザルな。そうでゴザルな」
「お連れさんは何故お亡くなりになったんだい?」
と御者のおじさんが聞いてきた。
「リッチになってしまったんですよ。そしたら、いきなり斬り殺されてしまいました。俺も一緒に斬られましたよ」
とブレザーの背中を見せる。
「リッチか!」
おじさんは驚き話を続けた。
「この世界ではリッチは恐怖の対象でしかないからの。
昔、魔王の一人にリッチがおってな。そのリッチがマルベラスという大国を滅亡させたのじゃよ。
国民のすべてがアンデッドになって周りの国々を襲い人類存続の危機に瀕したのじゃ。
そこを救ったのも茜様じゃて。これが言い伝えにある『マルベラス・死の大行進』と言われている事件じゃ。
その後もリッチはことあるごとに生まれ災いをもたらす象徴になっておるのじゃよ。
ハルフェルナは魔法に溢れている世界じゃ、魔道に魅せられる者も多いのでリッチも多く出現するのかもしれんな。
リッチは魔法使いや賢者ばかりじゃからな」
「僧侶や司祭様はリッチになったりはしないのですよね」
「いや、いや、マルベラスの事件は聖女様がリッチとなって起こしたともいわれておるかのじゃ」
「聖女もですか?」
まぁ、将太のような優しいやつがリッチになったりはしないだろう。
七海がいきなり斬り殺されたのは、こういう理由があったからなのか・・・・・・
が、どのような理由があろうとあの王を許すことは無い。
「ガサガサ」
「ドドドド」
「危ない!!」
則之が俺を突き飛ばした。
「ガン!」
則之の鎧に剣があたる音がした。
「バシュッ」
「うわーーーー」
「グサッ!! グサッ」
「バシュッ!」
いきなりのことだった、草むらから賊が飛び出てきて御者のおじいさんを斬った。
血柱が吹き上げバタリと倒れたおじさんは以後、動くことは無かった。
一瞬のことでなんだか分からなかった。が、危険な状況というのは分かる。
「あうーーー」
将太が腰を抜かし倒れこんだ。
「寄こせ!」
将太からシャベルを奪い取り即と将太の間に構えながら立った。
「身体強化!」
則之がスキルを使い荷物のそばにあった剣を手にし誰よりも前に立った。
賊を見ると3人とも長剣を両手持ちで構えている。
賊のうち二人は則之に襲い掛かり一人が俺の方へ向かってくる。
怖い?そんな感情は無い。
「ビュッ!」
剣が俺のすぐ横をすり抜ける。
剣から目を放すな。
もう一撃、振り下ろされる。
「ガキン!」
と火花が散る
なんとかシャベルの先端で防ぐことが出来た。
もう一撃、今度は水平に剣が振られる。
「ヒュン」
「ピシ」
すんでの所でかわす事が出来たが服が斬られた。
剣道部の則之も苦戦している。防戦一方だった。
「こいつら賊じゃないでゴザル。剣筋が揃っているでゴザル」
「騎士だ。王国の追っ手だ!」
智弘が叫び
「ファイヤーボール!!」
則之が相手をしている左側の追っ手に呪文を唱えると拳大の大きさの火玉が飛ぶ。
「フッ! キカンわ!! 死ね、小僧!!」
飛んできた火の玉を剣で切り裂いた。
そして智弘に斬りかかった。
顔面寸前でシャベルでブロックをしたが、つばぜり合いであっけなく吹き飛ばされた。
「智弘!!」
吹き飛ばされたところに追撃の剣が!
「バシュ!」
「うううーー」
智弘が肩を斬られた血が噴出した。
「ヒール」
将太が回復呪文を唱え出血は止まった。
俺が対面する追っ手は今度は剣で突いてきた。
突かれる度に一歩、一歩と下がるしかできない。
突いてくると見せかけ横になぎはらう。
完全な防戦一方。
よける、避けるだけで手一杯。
相手に打ち込みを入れるなんてとても出来そうに無い。
智弘も何度かファイヤーボールを試してみるが叩き落されるだけで時間稼ぎにもなっていない。
則之だけが相手と打ち合いを出来ている状況だ。
さすが、姫騎士さま、頼もしいぜ!
シャベルで何度かかわしていたのだが、ついに肩を斬られてしまた。
痛みは無いのだが力が入らない。
また出血が。
「ヒール」
将太のヒールのおかげで抜けた力が戻ってきた。
が、剣道もスキルも無い俺には騎士の剣技に叶うわけもなく足がもつれ地面に尻餅をついてしまった。
追っ手の騎士がニヤリと不愉快な笑いを浮かべた。
とっさに砂を握り締め追っ手の顔にぶちまけた。
見事に目にヒット。
その瞬間、立ち上がりシャベルを相手の腹めがけて突き刺した。
「グニュ」
と鈍い手ごたえがあった。
「オエッ!」
と口から血を吐き出し後ずさりしながらも剣を構えている。
致命傷にはならなかったようだがダメージは与えたはず。
「ジョルジュ!」
と則之と戦っていた追っ手が則之を蹴り飛ばし俺に刃を向ける。
「ガンガンガン」
「ガキンガキン」
と何度も剣が振り下ろされる。
さっきのヤツと違い剣が重い。
ついに剣圧に負けシャベルを落としてしまった。
そこに追撃の一撃が。
「うぐっ!」
腹を刺された。
一気に力が抜け跪いてしまった。
そして最後の剣が振り下ろされる。
確実に頭部を狙って来ているのが分かるが動くことが出来なかった。
あぁぁ、これで終わりか。
茜ちゃんに御土産も買ったのに渡せなかった。
タナとロゼの散歩も行ってあげたかった。
心残りが走馬灯のように巡る。
せめて七海だけは埋葬してあげたかったな。
「サンダーボルト!!!!!」
聞きなれた女性の声が響いた。
0
お気に入りに追加
781
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。
黒ハット
ファンタジー
前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした
せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる