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第一部 俺のハーレム・パーティがちょっとおかしい/ラッキースケベは必要ですか?

プロローグ

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キーーーーーーーー
ガシャン!!
ガッキン!!

「うわ~~~~~」

何かにぶつかった衝撃の後に、体が中に浮く感じに見舞われる。
さっき、山の頂上からバスに乗って下ったんだ・・・・・
ということは、バスがカーブを曲がり損ねて、ガードレールを突き破って転落。

あっ!!これは死んだな。
確実におっちんだな。

思えば短い人生だったかもしれない。
まさか高2の修学旅行でこんな事故に遭うなんて。

「キャーーー」
「ギャーーーー」
「死ぬーーーー」

恐怖におびえ、狂気に駆られた絶叫が聞こえる。
目の前には中に投げ出されるクラスメイト達が。



「キャーー」

「うわーー」

近くに座っていた女子が俺に覆いかぶさる。

「怖い、怖いーーーーーーーーーー!」

パニックになりながらも女子は俺の顔に巨大な双丘が押し付ける。

「怖い助けて!」

う、苦しい。
この胸の大きさは、この声は我がクラスのアイドル・七海紫音に間違いない。

「キャーーーーーーーー」

七海がまた投げ出されないように俺にしがみ付く。

苦しい・・・・・でも、柔らかい。
苦しい・・・・・でも、柔らかい。
苦しい・・・・・でも、柔らかい。
でも、苦しい。

このまま死んでも良いかもw
父さん、母さん、茜ちゃん、タナ、ロゼ、すまん。
白田 碧!!人生に一片の悔いも無し!!

バスが落ちていく、落ちていく、落ちていく、落ちていく・・・・・
いったいどこまで落ちていくのか?
いくらなんでも、もう地面に激突するはずだ。
が、まだ、落ちていく。
落ちていく、落ちていく、落ちていく・・・・・・
呼吸が出来ず俺の意識も暗黒の世界に落ちていく・・・・・





気がつくと、まだ、七海に強く抱きしめられたまま横に倒れていた。

やば、呼吸できない。死ぬぞ。
なんとか、力ずくで巨大な双丘から抜け出すことに成功した。

「もっとこのままでいたかった」

思わずつぶやいてしまった。
あ~~俺の心の叫びは正直だ。

周りを見るとあたり一面、白くやたらと広い部屋の中にクラスメイト達が横たわっている。
なんだ?この無機質な部屋・・・というより、空間の方が正解か。
空間の少し奥に、小山に突き刺さった巨大な剣があった。
しかもその剣は透き通った紺色をしている。
その左には、やはり小山の上にトルソーに着せられている赤い縁取りがされている白いロングローブがあった。
その二つは明らかに『伝説のなんちゃら』です!と言わんばかりのオーラを感じる品だった。

「う、うーーーん」
「うーーーー」
「う、う、う、う」

徐々にクラスメイト達が意識を取り戻している。
中には頭を振ったり、肩を摩ったり、意識が朦朧としている者がいる。
見回した感じでは出血した者はいないようだ。
だが、あれだけ長い時間、落ちたのだ骨折したヤツもいるのではないだろうか?

「う、うーーーん」

俺は意識が朦朧として寝ている七海をゆっくり揺らしながら

「七海、七海。大丈夫か?しっかりしろ」

「あっ、白田君? ここは?」

まだ意識は朦朧としているようだ。

「よく分からない」

「確かバスに乗っていたはずだけど・・・・どうなってるの? 怖い」

胸に手をやり俺の顔を見つめる。
可愛いな~~~おい!
こんな可愛い子がクラスメイトなだけでラッキー!!
我が2年A組は恵まれている。

「???」

俺は七海の制服の胸と胸の間のシミに気がついた。
なんだ?

あっ!!
胸に押し付けられたときに付着した俺の分泌物。
・・・・・・・・・そう、ヨダレだ。

七海も胸のシミに気がついた。
その表情は「????」という感じで少し小首を傾げていた。
しばらくして「ハッ!」と気がつくと、次第に顔を赤らめて俯いた。


「あーー七海、申し訳ない」

拝むように頭を下げると

「二人だけの秘密だからね」


唇に一指し指を立て「シー」というポーズと共にウインクをしてくれた。

やばい、完全に惚れてしまうぜ。
汚いと思うのが普通なのだが人を傷つけない配慮が俺の邪な気持ちを攻め立てる。

七海は誰にでも優しい。
俺はクラスカースト制度の下のほうだが、誰でも分け隔てなく公平に明るく笑顔で接してくれる。
出るところは必要以上に出て、引っ込んでいるところはしっかりと引っ込んでいて、
それでいて、美人とくれば学校中で話題にならないほうがおかしいだろう。
我が高校の『聖女』が相応しい二つ名だ。


「お二人さん、邪魔して悪いけど、ちょっといいかな?」

「将太、無事か?怪我はないか?」

振り向くと小学校からの友達、緑山将太が立っていた。
将太は,子供のころから俺の事を『アオ君』と呼ぶ。
気弱で優しく中世的な美少年だ。
もう、高2なのだが中学生、下手すると小学生に間違われるほど幼く見える。
そして、
女みたいに見える外観から「オカマ」
なよなよしいところから「ナヨ」
と言われ小学生時代はよく苛められていた。

「アオ君、ここはどこだと思う?」

「無駄に広いスペースだな。生活感が無いところが不気味だな」

「緑山君も怪我は無い?」

「ありがとう、七海さん。大丈夫だよ。軽く腕をぶつけただけだから」

3人で辺りを見回していると。

「ここは、天界だよ」

振り向くと、水原智弘が腰に手をやって踏ん反り返りながら講釈を垂れ始めた。

「俺たちは異世界へ転移するんだよ。 
最近、いや、昔から集団で行方不明になる事件あったろ。
それは間違いなく異世界転移か異世界転生だよ」

「おいおいおい、智弘、お前、ラノベの読みすぎ!!」

「トモ君、話しが飛躍しすぎだよ」

「水原君、大丈夫?」

そう、この水原智弘はガチのオタク!!
アニメ、アニソン、特撮、ラノベ、マンガ、ボカロ、18禁ゲーム、二次元万歳・・・・何でもござれ。
おっと、最後の方に高校生が遊んではいけない物が含まれていたかもしれないが、
そこは華麗にスルーということで。
こいつはメガネで太っていてオタク。
クラスメイトからは
「キモデブ」
「オタクメガネ」とか言われている。
特に女子からはゴキブリの如く扱われているが七海は分け隔てなく話しかける。
智弘にはエロエロとお世話になっている。
特に智弘の膨大なコレクション『男のロマン』は俺の心のオアシスだ。
が、コイツは頭だけは良い。学年でも常に上位に位置する秀才の一人だ。
性癖と口の悪ささえなければ・・・・・

「俺たち、バスで崖から転落しただろ。
何故、死んでいない?バスはどこへ行った?」

「確かに、そうなんだけど。そんなにあっさり認められるか?」




「みんな、無事でゴザルか?」

「則之、お前も怪我無いか?」

「大丈夫でござるよ、軽くお尻を打っただけでゴザル」

「黒木君もたいした怪我が無くて何よりです」

七海が微笑みながら則之に言った。

黒木則之、コイツは身長が190cmを超える巨体。
剣道2段の腕前を持っている。
190cmからくり出される面は『天の雷』の異名を持っている。
あまりしゃべらないが気の利くいいヤツだ。
口癖は語尾に「ゴザル」を付ける・・・・・・なぜ?w



「ギャーーーー、痛い、痛い。腕が変な方向に曲がってる」
「由香、大丈夫!! 誰かか何とかしてーーーー!」

「いてーーーー。いてーーー肩が、肩が」
「足が痛い。折れているかも?」

「痛い、痛い、痛い」
「うわーーー」

一人の叫び声が、また一人、また一人とクラスメイトに伝播していく。

女子は「キャーキャー」とヒステリックに。
男子は「うおーーーー」と獣のように
クラスメイトの悲鳴、絶叫の大合唱の狂気になって無機質な部屋に響く。

「落ち着け!落ち着け!!」
「落ち着くんだーーー」
冷静な者が声を掛けるが、その声も段々と怒鳴り声となり恐怖に変わっていく。


これは、ヤバイな~
みんなパニックになってる。


「ヒーーーール」

と綺麗で澄んだ声が部屋に響いた。
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