Desperado~エピローグから始まる異世界放浪紀

ダメ人間共同体

文字の大きさ
上 下
33 / 38

Take the devil 18

しおりを挟む


ライザたちはサイゼン城が一望出来るところまで歩みを進めた。

「ライザ様! ここまで来れば問題ないかと思います」

「そうね。辺りには何も気配は感じられません」

ライザたちは追っ手が来ないことを確認し、一息つこうとしたとき。

ドッカーーン!! 

凄まじい爆音がサイゼン城の方から聞こえ振り返ると、最も巨大な塔が吹き飛んだ。

ドッカーン!

次は二つ目に大きな塔が崩れ落ちた。

ドッコーーーン!
ドッカーーン!

今度は連続して爆音が響く。
四方に聳え立っていたサイゼン城の象徴ともいえる塔のすべてが崩れ去った。

さらにドン! ドン!! ドドーン! ドッカン! バッコーーン! ダダン! ダガン! チュドーーン!

あらゆる爆発音が響き、時々地面まで揺らす。
そして最後に巨大な火柱が上がった。
その火柱の大きさはかなりの距離が離れているライザたちのところでもはっきりと視認で来た。

「なにあの魔法? あんなの見た事が無い!! サイサリーは知っている?」

「いえ!私もあれほど破壊力のある魔法は見たことがありません。
 あの悪魔が放ったのでしょうか?」

「シロかもしれない」

「え? ライザ様! あの男は剣士では無いのですか?」

「剣士とは言っていなかったわ。シロのマジックバッグは魔法を出し入れ出来るらしいの」

「な!なんと!! そのようなマジックバッグは聞いたことございません。
 アヤツの持っている装備のすべてが尋常ならざるアイテムですね。
 このローブもサイズが大きくなったり、ヒール唱えたり・・・そう、空を飛ぶ力を付与してくれました。
 私も初め空を飛びましたよ」

「シロは凄いでしょ。さしずめアイテム・マスターよね。そんな職業あるかどうか知らないけど。
 そうそう。料理が凄くおいしいの!! 食べたことが無い料理ばかりで驚いちゃった」

ペンザはライザの明るい話しぶりに驚いていた。それはサイサリーも同じであった。
父である魔王ヘルザイムを亡くしたはずなのに、無理に明るく振舞っているのか、それとも・・・・・





「あーー畜生!10回くらい殺されたぜ! デブーやガーリみたいに上手く戦えねーな!
 修行が足りないか!」

「乱戦での戦い方は難しいッすからね。少数同士の戦い方と敵のいなし方が丸っきり異なりやすからね~」

「やっぱ、ガーリ、デーブは戦い慣れてる・・・・いや、殺し慣れてるって言った方が正しそうだな」

男は太った悪魔に抱えられるようにして空を飛んでいた。

「俺たちも久しぶりに大暴れできたんでスッキリしましたよ!
 いいですね。加減せずに暴れるのは」

「お前たちもすっきりしてくれたなら幸いだけどな」

と痩せた悪魔ガーリのほうを向きながら話した。

「でもいいんですか? 皆殺しどころか城までフッ飛ばしちゃって。
 『ほどほどに働いて楽をする』がアニキの主義じゃなかったのですか?」

「なーに、ゼンセン城が無い今、サイゼン城も破壊しておいた方がバランスが取れていいんじゃないか?
 死の商人はそういうことをして裏でこそこそ利益を上げるんだぜ!」

「うわ~~悪魔の俺たちでさえ、ドン引きですぜー!」
「ホントにそうですよ。悪魔もそんな極悪なこと考えないですよ」


「まぁ~もうここに来ることは無いだろう。3度目は無いだろう」

「そうですか? アニキの故郷では『2度あることは3度ある』って言う言葉がありませんでしたか?」

「ハハハハ。さすが博識のガーリ! 俺の世界の格言なんかよく知っているな」

男と悪魔たちの眼下でライザが手を振っっているのを発見すると側に降りていった。

「シロ! ありがとう!! シロのおかげでペンザを助けることが出来た!」

「約束だったからな。 おいペンザ! さっさとローブを寄こせ!」

「すまない。助かった。感謝する。英雄シロ・ブルーノ!」

と言うとペンザは借りていたローブを脱ぎ男に手渡した。
男はすぐにローブを着るとダブダブだったローブが男の体に合うように小さくなった。

サイサリーが男の下へ歩み寄り

「シロ・ブルーノ! ライザ様を守ってくれてありがとう。
 ペンザ卿を助けてくれたことを感謝する」

と言うと頭を深く下げた。

「ペンザ! ライザに感謝しておけ! 俺はお前がどうなろうと知ったこっちゃ無い。
 ライザが命を張ったおかげで俺は助けに来た。
 ライザへの感謝を死んでも忘れるなよ!」

男の言葉を聞くとペンザはライザの前に跪き

「ライザ様。ありがとうございます。
 残りの人生をライザ様のために捧げます」

ペンザは頭を垂れ騎士の近いたてた。

「いいのよ、ペンザ。私のことなんかよりペンザが中心になって魔属領を運営していかないといけないわ。
 頑張ってね」

と言うとペンザの手を取った。

「ライザ様の願いなれば身を粉にして働きます」

パチパチパチ
と男は手を叩いた。

「綺麗にまとまったところで、とっとと魔属領へ向かうぞ! 
 俺の仕事はサイゼン城を破壊することじゃなくてライザを魔属領まで送ることだ!!
 おら~ 行くぞ!!」

男は左の袖の下から装甲車を出すと一行は廃墟となったゼンセン城を後にした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

処理中です...