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Take the devil 5

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竜騎士を呪文一閃! 滅した後、泣くライザを肩に担ぎ空を舞い上がった。

「パパーー! パパーーー!! パパのところへ戻る!!」

何度も何度も泣き叫び暴れる。

「ライザ! 止せ! 落ちるぞ!!」

「パパーーーー! パパーーー!!」

それから数時間、低空で空を飛び、辺りに暗闇が迫るころには疲れてしまったのか男の肩の上で寝てしまっていた。

「あれだけ泣けば疲れるよな。
 俺としても眠って大人しくしてくれていた方がありがたい。
 そうだ! あれがまだ動くかどうか確認しておかないとな」
ライザを左肩に背負い着地し、袖の下に手を入れる折りたたみの携帯型端末を取り出し何やら液晶画面を弄り始めた。

ピ! ピッ! ピー!!

「機動確認!! 認証しました!」

端末から機械音が聞こえた。

「おお! さすが未来兵器! 200年くらい問題ないか!
 じゃ、オババに連絡してだな」

ピピピ! 

と端末を弄りだすと画面に『呼び出し中』の文字が切り替わり少女が表示された。

「何じゃ! お主、どうした?」

「ヘルザイムの娘を魔界へ送ることになった。
 200年前に使ったサーチ・シーカーが生きていたからナビゲートを頼む!
 サーチ・シーカーを人間界から魔族界の方へ移動させるから・・・・
 いや、追っ手の方が心配だな・・・・・・後方から迫ってくるものの情報を逐一送ってくれ」

「そうか、分かった。 シーカーの情報を基にそっちの端末にシンクロさせておくのじゃ
 わらわも水晶を使ってモニターしておくのじゃ!」

というと端末の画面は切れた。

サーチ・シーカーとは20cmほどの超小型の偵察・索敵用の人工衛星だ。
何故そんなハイテクを持っているかと言うと、超古代文明が栄えた世界から永久借用してきたものを男がとある事情により先進文明に進化させた世界で大量に量産したものである。
ちなみに男の袖に仕込まれてあるマジックバッグには100個ほど入れてある。
そして、行く先々の世界で必ず打ち上げておく事にしている。
男は幾つもの世界をを行き来しており、量産してからは、どの世界に来たのか確認できるように必ず打ち上げていた。

「昔は一々回収してきたけど量産技術様様だな!
 これだけ多くの世界を行き来すると、ここが昔、来たかどうかなんて忘れているからな・・・・
 ヘルザイムのように印象深いヤツがいれば覚えているが・・・・・
 次に来たときには、顔なじみの奴は大体あの世に行っているしな。
 それに文明が滅びていることもあるからな~・・・・」

幾度か同じ世界に来たことがあったが、次に来たときに同じ人間に再会することは極めて稀だった。
再開できたのは魔族や亜人、神などと言う長命の種族であった。

男は空を見上げながらつぶやくと、ゆっくりと男の頭上に星が動いてきた。

「そろそろ我がままお姫様を起こさないとな。
 今日はこの辺に寝床を作るか」

左腕を前方に振ると袖の下から家が出てきた。
家の四方に土魔法で作った壁を配置する。
ゆっくり家のドアを開け玄関で靴を脱ぎ、ライザをリビングのソファーに寝かす。
この家は男がかつて生活していた家だった。
日本ならどこにでもありそうな典型的中流家庭の一軒家と言うやつだ。

「お姫様の靴も脱がさないとな」

ライザの靴をもぞもぞと右足、左足と脱がそうとしたとき目が覚めた。

「キャー!! 何するのヘンタイ!! 犯される!! パパ――――!!」

と叫ぶとライザのけりが顔面に炸裂した。

「ウゴ!! いてーーー! 止めろ!ライザ!靴を脱がすだけだ!!」

「なんで脱がすのよ!!脱ぐ必要なんてないじゃない!! 止めてよ――!」

「俺のいた世界では家の中は靴を脱ぐのが当たり前なの!!
 その方が家の中が汚れないだろ! 
 それに一日中、靴を履いていると足が浮腫むだろ」

と言っても鋭い蹴りは終わることなく、数回顔をけられた後、ようやく靴を脱がすことに成功した。

「パパのお城へ帰る!」

と言うとライザは裸足で玄関から外へ飛び出た。
ライザの目の前にはいくら魔族と言えども簡単には飛び越えられない壁が四方を覆っていた。

「ここから出られないぞ! 飯にするから諦めて家に入れ」

「嫌よ!私はパパの元へ帰る!!」

「現実を受け止めろ! ヘルザイムは死んだ!」

「パパが私を置いて逝くわけないの!!」

ライザは土壁を見上げた。

「その壁は簡単には乗り越えられないぞ! 頂上には結界が張ってある。
 お前程度の魔力じゃ壊すことは不可能だ。 諦めろ」

「そんなのやってみないと分からないわ!」
右手を軽く上に上げ軽くジャンプし「飛空魔法」と唱えた。
が、軽くジャンプしただけで体が浮かび上がることは無かった。

「え!? なぜ!?」

「無理だよ。この中では魔法が使えないようになっている。諦めろ!」

飛空魔法が使えないことが分かるとライザは壁を登り始めた。

「おい、無理だ! 止めておけ!」

「うるさい! 人間ごときの指図は受けない!!」

と言うとライザは黙々と壁を登り始めた。
1m、2m、3m・・・・・・

男はライザをしたから見上げ

「ライザ! クマさんパンツは止めておけ! せめてワンちゃんパンツにしておけ!」

「バカ! 見るな!見るな!!」

壁にある出っ張っている石をむしり取りビュ!ビュ!!ビュ!と男に投げつけた。

「いて、いて、いて」

「キャー―」

ライザが石を投げるのに夢中になり足を滑らせ転落した。
地面に落ちる直前に男が下に潜り込みライザをキャッチした。

「ホラ、言わんこっちゃない! 止めておけ! 怪我するぞ!
 飯にするからおとなしくリビングで休んでろ!」

ライザをお姫様抱っこしながらリビングのソファーに降ろすや否や玄関から飛び出た。

「お、おい!」

男も後を追いかけ玄関から外へ出るとライザはまた壁を登り始めていた。

「ライザ、諦めろ! またくまさん・パンツが見えてるぞ!」

男の言葉を無視しライザは黙々と壁を登っていた。

「おい、おい、これじゃ飯が作れないじゃないか・・・・・チッ!仕方ねーな!
 デブー、ガーリ出て来い!」

男は左腕を前に突き出し言うと召喚紋が現れどこにでもいそうな太った男と痩せた男が現れた。

「「アニキ! 何すか?」」

二人が声を合わせながら男に問う。

「悪い、このお姫様のお守りを頼むよ」

と言うと右手の人差し指を上に向けた。

「何すか?あのガキ?」
太った男が聞くと

「ヘルザイムの娘だよ。あの娘を魔族界に無事に送り届けることになった」

「「え!! ヘルザイムの娘!!」」
二人が声を合わせ驚く。

「俺たちが去った後に生まれたらしい」

「あいつに嫁がいたことも驚きですけどね」
痩せた男が答える。

この二人の男も一応ヘルザイムの敵として面識がある。
男と協力してヘルザイム率いる魔族軍と戦った。

「デブー、ガーリ、すまんがこの我が侭お姫様が落ちて怪我しないように見張っていてくれ。
 俺は食事を作る。
 牛丼にコロッケでも作ろうと思っているんだけど、他に何かあるか?」

「そうっすね~ 俺は豚汁が飲みたいっすね」
太った男が言うと

「俺は沢庵を丸ごと齧りたいです」

「ガーリは本当に好きだな~」

「俺たちの世界には無い食い物ですからね」

「分かった。 10年ものがあるから出すよ」

と言うと男は部屋に戻り食事の支度を始めた。

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