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第一章 生まれ変わったみたいです
貴方に捧ぐ、二度目の初めまして
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「ねえ、変なところない? この髪型大丈夫だと思う? スカートのシワは? 丈短いかな?」
「……お嬢様、何回同じ確認をするのですか?」
リリィが盛大なため息と呆れた眼差しを向けてくる。私はむうっと頬をふくらませて拗ねたように言う。
「だってだってだって! 初めての出仕の日よ! それに、皇帝陛下にお会いするのに変な格好できないわ」
「そう仰って、支度が終わってから鏡の前で一時間経過していますよ」
「いつもより早く起きたもの! 時間はまだあるわ」
「そうですけれど……」
(何度確認してもし足りない)
念入りに隅から隅まで再度確認する。結局ギリギリまで粘り、慌てて馬車に乗り込む。
「…………ふふふ、ユースに会えるのよね」
初めての出仕の日なのだから浮かれていてはいけないのに、にやにやが止まらない。私は足をぶらぶらさせながら窓の外に見える建物を眺める。
「皇宮もあの日ぶりね」
処刑されるまでの数日。私が入れられていたのは地下の牢屋だ。テレーゼとなってからは皇宮に用事などある筈もなく、足が遠のいていた。
馬車から降りると、騎士の方が集合場所まで案内してくださった。礼を言って、部屋の中に入る。
そこには既に同じお仕着せ姿の数人の令嬢がいた。
特に目立つのは、背が高く、長い亜麻色の髪を後ろで束ねた目つきがちょっぴり怖い女性。そわそわする令嬢が大半の中、一人だけ纏う雰囲気が違う。
数分して数人の令嬢が集合し、亜麻色の髪の女性は口を開く。
「揃いましたかね。そこに並んでください」
言われた通り一列になる。
「私はチェルシー・コールマンです。役職として侍女長を陛下から仰せつかっています。新人の教育係も務めていますが、新人だからと甘やかすつもりはありません。やる気のある方はどうぞ宜しく」
私達は一斉に頭を下げる。すると満足気に彼女は頷いた。
「これから陛下の元に挨拶に伺いますが、よからぬ事を考えぬようにして下さい」
チェルシーさんは左端の令嬢に釘を刺す。他の人より明らかに髪型が派手な令嬢を。
「何故わたくしのことを睨むんですの?」
「何故って、お分かりないのですか?」
挑発するようにチェルシーさんは笑うが、ゴミを見るような目だ。
「無駄な努力は意味を成しません。陛下は色目を使う女性を毛嫌いしていますので」
「なっ!」
令嬢は真っ赤になった。プルプル震え、反論しようとするが何も言い返せないらしい。チェルシーさんはそれを無視し、こちらに向き直る。
「忠告を無視し、それでも実行に移す者が毎年何人か存在しますが、やめておいた方が身のためだとここで先に言っておきます。度が過ぎる行いに陛下が何をしたか……ご存知では?」
令嬢達は微妙な表情をして顔を見合わせる。流れている皇帝陛下の噂を思い出したのだ。
薄ら笑いを浮かべている彼女の話は脅しているだけには思えず、ゾゾっと悪寒が走る。多分、本当にやらかした女性がいたのだろう。
「では時間ですので行きましょう」
チェルシーさんを先頭に私達は謁見の間へ移動する。
長い長い廊下。突き当たりの部屋が謁見の間だと知っていた私は、どんどん高鳴る鼓動を抑えられない。
チェルシーさんは軽くノックしてから扉を開けた。
謁見の間には数人の男性がいたが、ユースが誰なのかはすぐに分かった。何故なら見た目が全く変わっていなかったのだ。
会えた感動よりも違和を持ち、眉が寄る。
(…………歳とった……?)
三十代には見えなかった。シワひとつない顔に、けぶるような長い睫毛。濡れ羽色の短髪は、遠くからでもさらさらだと分かる。
大人の色気なんてものは無く、人形のように精巧で端正な顔立ちの──「青年」だと紹介された方が納得してしまう。
(いやいやいや、歳は取ってるわよね。知らなかっただけで童顔なのかも)
明らかに異様だが、無理やり自分を納得させる。
「陛下、本日付けで侍女となった者たちです」
「……そうか」
気だるげな声でたった一言。されど、私にとっては切望していた声で。
きゅっと唇を結んで俯く。
(……泣いちゃ、だめ)
手の甲をつねって痛みで感情を抑える。
足を組み、肘掛に頬杖をつきながら玉座に座るユースは淡々と新米侍女の挨拶を受ける。整った唇が開くのは頭を上げるよう声をかける時のみ。
それでも悲嘆にくれた懇願が、ユースの最後の言葉だった私には、聞こえてくるだけで心が震えてしまう。
そうして私の番になる。
「次の者」
チェルシーさんに促され、静かに玉座へ近づく。
ユースがこちらを見ていることに気づき、私は泣きたくなるのを押し殺す。
(やっと……やっとここまで来た)
泣きながら唇をかみしめていた彼を思い出す。
(……私貴方に会いに来たのよ)
十七年間、思い出さない日々はなかった。過去なんて忘れて、新たな人生を謳歌する道だってあったのに。
こんな馬鹿みたいに前世の約束に縋りついて、初恋を捨てられない愚かで諦めの悪い私は……ここまで来てしまった。
深呼吸して、声が震えないよう気をつけながら。今では遠くなってしまったユースへ向けて。
「──お初にお目にかかります。本日よりこの宮で働かせていただきます。テレーゼ・デューリングです」
片足を下げ、ゆっくり頭も下げる。スカートの裾を掴む指先まで神経を尖らせ、生きてきた中で一番の挨拶をする。
「──面をあげろ」
言われて、頭を上げればパチリと目が合う。海の底を思わせる青い瞳は静謐を携え、他方から見ると凍えるような研ぎ澄まされた冷たさだった。
私は息を呑んだ。
過去のユースとは同一人物に思えない。向けられたこともない、背筋が凍るような彼から滲み出る威圧感。それはこの場にいる者が気圧されるくらいの。
現に、他の令嬢達は先程から若干怯えている。
なるほど。このような雰囲気の人なら粛清やら何やらで〝狂帝〟と噂されていても納得だ。
覚悟はしていたが、それでも動揺してしまう。
(──あなたがどうしてそうなったのか知りたい)
元からそのつもりだったが、思いが強くなった。
不敬と思いつつじっと彼を見つめていたら、ユースはふいと目を逸らした。
「……終わりだ」
ユースは立ち上がり、マントを翻して謁見の間から出ていく。その背中を目で追いかける。
この時の私は、彼が何を抱えているのか、処刑された後に何があったのか。
冷ややかな双眸と、十七年前と何ら変わらないその容姿の理由を。ちっとも分かっていなかったのだった。
***
これにて1章完結です。
2章は過去編としてイザベルとユリウスが出会ってから、1章プロローグまでのお話になる予定です。
2章もどうぞよろしくお願いします!
「……お嬢様、何回同じ確認をするのですか?」
リリィが盛大なため息と呆れた眼差しを向けてくる。私はむうっと頬をふくらませて拗ねたように言う。
「だってだってだって! 初めての出仕の日よ! それに、皇帝陛下にお会いするのに変な格好できないわ」
「そう仰って、支度が終わってから鏡の前で一時間経過していますよ」
「いつもより早く起きたもの! 時間はまだあるわ」
「そうですけれど……」
(何度確認してもし足りない)
念入りに隅から隅まで再度確認する。結局ギリギリまで粘り、慌てて馬車に乗り込む。
「…………ふふふ、ユースに会えるのよね」
初めての出仕の日なのだから浮かれていてはいけないのに、にやにやが止まらない。私は足をぶらぶらさせながら窓の外に見える建物を眺める。
「皇宮もあの日ぶりね」
処刑されるまでの数日。私が入れられていたのは地下の牢屋だ。テレーゼとなってからは皇宮に用事などある筈もなく、足が遠のいていた。
馬車から降りると、騎士の方が集合場所まで案内してくださった。礼を言って、部屋の中に入る。
そこには既に同じお仕着せ姿の数人の令嬢がいた。
特に目立つのは、背が高く、長い亜麻色の髪を後ろで束ねた目つきがちょっぴり怖い女性。そわそわする令嬢が大半の中、一人だけ纏う雰囲気が違う。
数分して数人の令嬢が集合し、亜麻色の髪の女性は口を開く。
「揃いましたかね。そこに並んでください」
言われた通り一列になる。
「私はチェルシー・コールマンです。役職として侍女長を陛下から仰せつかっています。新人の教育係も務めていますが、新人だからと甘やかすつもりはありません。やる気のある方はどうぞ宜しく」
私達は一斉に頭を下げる。すると満足気に彼女は頷いた。
「これから陛下の元に挨拶に伺いますが、よからぬ事を考えぬようにして下さい」
チェルシーさんは左端の令嬢に釘を刺す。他の人より明らかに髪型が派手な令嬢を。
「何故わたくしのことを睨むんですの?」
「何故って、お分かりないのですか?」
挑発するようにチェルシーさんは笑うが、ゴミを見るような目だ。
「無駄な努力は意味を成しません。陛下は色目を使う女性を毛嫌いしていますので」
「なっ!」
令嬢は真っ赤になった。プルプル震え、反論しようとするが何も言い返せないらしい。チェルシーさんはそれを無視し、こちらに向き直る。
「忠告を無視し、それでも実行に移す者が毎年何人か存在しますが、やめておいた方が身のためだとここで先に言っておきます。度が過ぎる行いに陛下が何をしたか……ご存知では?」
令嬢達は微妙な表情をして顔を見合わせる。流れている皇帝陛下の噂を思い出したのだ。
薄ら笑いを浮かべている彼女の話は脅しているだけには思えず、ゾゾっと悪寒が走る。多分、本当にやらかした女性がいたのだろう。
「では時間ですので行きましょう」
チェルシーさんを先頭に私達は謁見の間へ移動する。
長い長い廊下。突き当たりの部屋が謁見の間だと知っていた私は、どんどん高鳴る鼓動を抑えられない。
チェルシーさんは軽くノックしてから扉を開けた。
謁見の間には数人の男性がいたが、ユースが誰なのかはすぐに分かった。何故なら見た目が全く変わっていなかったのだ。
会えた感動よりも違和を持ち、眉が寄る。
(…………歳とった……?)
三十代には見えなかった。シワひとつない顔に、けぶるような長い睫毛。濡れ羽色の短髪は、遠くからでもさらさらだと分かる。
大人の色気なんてものは無く、人形のように精巧で端正な顔立ちの──「青年」だと紹介された方が納得してしまう。
(いやいやいや、歳は取ってるわよね。知らなかっただけで童顔なのかも)
明らかに異様だが、無理やり自分を納得させる。
「陛下、本日付けで侍女となった者たちです」
「……そうか」
気だるげな声でたった一言。されど、私にとっては切望していた声で。
きゅっと唇を結んで俯く。
(……泣いちゃ、だめ)
手の甲をつねって痛みで感情を抑える。
足を組み、肘掛に頬杖をつきながら玉座に座るユースは淡々と新米侍女の挨拶を受ける。整った唇が開くのは頭を上げるよう声をかける時のみ。
それでも悲嘆にくれた懇願が、ユースの最後の言葉だった私には、聞こえてくるだけで心が震えてしまう。
そうして私の番になる。
「次の者」
チェルシーさんに促され、静かに玉座へ近づく。
ユースがこちらを見ていることに気づき、私は泣きたくなるのを押し殺す。
(やっと……やっとここまで来た)
泣きながら唇をかみしめていた彼を思い出す。
(……私貴方に会いに来たのよ)
十七年間、思い出さない日々はなかった。過去なんて忘れて、新たな人生を謳歌する道だってあったのに。
こんな馬鹿みたいに前世の約束に縋りついて、初恋を捨てられない愚かで諦めの悪い私は……ここまで来てしまった。
深呼吸して、声が震えないよう気をつけながら。今では遠くなってしまったユースへ向けて。
「──お初にお目にかかります。本日よりこの宮で働かせていただきます。テレーゼ・デューリングです」
片足を下げ、ゆっくり頭も下げる。スカートの裾を掴む指先まで神経を尖らせ、生きてきた中で一番の挨拶をする。
「──面をあげろ」
言われて、頭を上げればパチリと目が合う。海の底を思わせる青い瞳は静謐を携え、他方から見ると凍えるような研ぎ澄まされた冷たさだった。
私は息を呑んだ。
過去のユースとは同一人物に思えない。向けられたこともない、背筋が凍るような彼から滲み出る威圧感。それはこの場にいる者が気圧されるくらいの。
現に、他の令嬢達は先程から若干怯えている。
なるほど。このような雰囲気の人なら粛清やら何やらで〝狂帝〟と噂されていても納得だ。
覚悟はしていたが、それでも動揺してしまう。
(──あなたがどうしてそうなったのか知りたい)
元からそのつもりだったが、思いが強くなった。
不敬と思いつつじっと彼を見つめていたら、ユースはふいと目を逸らした。
「……終わりだ」
ユースは立ち上がり、マントを翻して謁見の間から出ていく。その背中を目で追いかける。
この時の私は、彼が何を抱えているのか、処刑された後に何があったのか。
冷ややかな双眸と、十七年前と何ら変わらないその容姿の理由を。ちっとも分かっていなかったのだった。
***
これにて1章完結です。
2章は過去編としてイザベルとユリウスが出会ってから、1章プロローグまでのお話になる予定です。
2章もどうぞよろしくお願いします!
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