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番外編
厄介な客人(1)
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リチャードは目の前の扉を開いてすぐ閉めた。
「──なんで居るんだ」
ギルベルトに泣き付かれ、最初から険しい顔つきだったリチャードは、ますます眉間に皺を寄せた。
不愉快さを隠そうともせず、呼び出したギルベルトを八つ当たりのように睨んでいる。
「気が付いたら居たのです。他の貴族にバレるのを避けるためにとりあえずここに案内しましたが、書簡を届けに来たと仰いました。早く中に入って下さい」
「嫌だ。お前が行け」
リチャードはギルベルトの背中に手を回し、前に押し出す。
入れさせたい者と入りたくない者の攻防戦が続く中、ギルベルトは小声で訴えた。
「そんなこと言わずにお願いします。陛下は会議中ですし、この案件はリチャード殿下、元々は貴方が責任者でしょう?!」
ギルベルトは身をねじって逃げようとする。
「知らない。もう終わった。私の出る幕はないからと父上に押し付けたのを忘れたのか?」
負けじとリチャードは右手でドアノブを取り、左手でギルベルトの体を扉に近づける。
「嫌です。私だってあの方嫌なんです。何考えてるか分からないし、人を殺しながら笑ってるのを見ると自分まで殺されそうで…………へぶっ」
急にあちらから開け放たれた扉。躱せなかったギルベルトは強かに顔面を強打した。
「申し訳ございませんギルベルト様。まさかこんなに近くにいるとは思いもよりませんでした」
涼やかな声とともにぺこりと頭を下げた女──ルヴァは無表情のまま扉を開けて固定する。
「──あら、入ってこないから何かあったのかと思ったのだけど。ぶつけたの? 大丈夫?」
すっとハンカチを差し出したのはジェニファー王女本人で。今の話を聞かれていたのかとギルベルトは表情を取り繕うことも忘れ、口をはくはくと動かす。
「こんにちはジェニファー王女、単刀直入に言わせていただきます」
リチャードは外面向きの笑みを顔にのせ、次の瞬間には眉を寄せながら廊下を指さした。
「──ルルクレッツェに帰れ、今すぐ」
「え、嫌だわ」
即答だった。
「ほら、書簡を持ってきたの。欲しくないの?」
「書簡を人質にとるな」
ピラピラと揺らすのを奪えば、ジェニファーは不服そうに唇を尖らす。
「何よ。この私が直々に届けに来たというのにその態度は……毒を盛られたいの?」
ジェニファーの細い手がリチャードの顎をなぞる。
「ひえっ! どうかそれだけはご勘弁を。仮にも我が主は王太子なのです。殺さないでください!」
そう言って無理やり二人の間にギルベルトは身をねじ込んだ。
ジェニファーだったら本気で毒を盛りかねないと思ったのだろう。小刻みに震えている。
リチャードは珍しく自分を守ろうとするギルベルトをしげしげと眺め、漠然と子鹿のようだなと感想を抱いた。
「じゃあ、貴方が主の代わりに盛られる? 死にはしないわ」
「…………死なないなら殿下にどうぞ」
「おい」
リチャードを守ろうとしているのは評価対象だったのに、手のひらを返すのが早すぎる。軽く頭を叩けば涙目にながら後ろの方に退いていった。
「まあ、おふざけはこれくらいにして。ルルクレッツェの使節団が来た表向きの理由は、貴方の婚約の祝福なのは知っているでしょう?」
まるで自室であるかのようにソファに座り直したジェニファーは、リチャードに対して正面に腰を下ろすよう促す。
「だからって何で王女が使節団にいる。祝言は書面上でいい」
予定ではルルクレッツェ側の要人──外交官がスタンレーを訪れる予定であった。彼女も要人と言えば要人だが、地位が違う。本来ならば来ないはずなのだ。
「そりゃあ楽しそ────」
「ジェニファー王女はこういうお方です。王太子殿下、どうかご容赦くださいませ」
被せるようにルヴァがジェニファーの代わりに頭を下げる。
「仕方ない。とりあえず王女はここから出ないで」
使節団の中に王女がいると他の貴族に知られたら、色々めんどくさくなる。彼女が大人しくしてくれているとは思えないが、一応釘を刺す。
「いいわ」
(嫌な予感がする)
こうすんなり承諾するような性格では無いはずだ。裏がある気がしてリチャードは警戒を強めた。
「ふふ、私、ここに案内される途中で聞いたの」
面白可笑しそうに、爛々と瞳を輝かせながら、ジェニファーは続ける。
「エレーナ様、来るのでしょう? 彼女にお会いしたいわ」
(よりにもよってそこか)
彼女が言った通り、今日はエレーナが王宮に来る予定であった。だからリチャードもここに来るまでは機嫌が良かった。
今すぐ廊下で婚約者の話をしていた人物を理不尽だが懲らしめたい。
「貴女のような危険人物に会わせたくないと言ったら?」
他国の王族を貶すのもどうかと思うが、こんな予測不能で危険な王女に自分の大切な婚約者を会わせたいと思うだろうか?
考える間もなく、答えは否だ。
「変なことはしないわよ。嫌われるのは嫌だし」
「信用ならない」
「……流石に外交問題は起こさないわ」
どの口が言うのだろう。ルルクレッツェでは自由に動けないからと、くだんの件でスタンレーを巻き込んだくせに。
(だが、レーナもジェニファー王女に会いたがっていたな)
そうは言ってもエレーナだけでジェニファーに会って欲しくない。しかし、今日はリチャードが付いていられない。
(使節団が来たとなるとそちらの対応をしなければ)
婚約をしたのはリチャードであって父である国王ではない。他国からの祝福に対して自分がきちんと対応しなければ周りから小言を言われてしまう。
別に自分に向けられるだけなら無視すればいいのだけれど、そういうものは婚約者であるエレーナに向くのが貴族達のやり方。
だからリチャードは使節団を優先しなければならなかった。
「くれぐれも変な真似はするなよ」
「はいはい」
生返事だが大丈夫だろうか。いささか不安が残りつつもリチャードは席を立つ。
「ギルベルト、レーナが来たらここに案内して傍に付いていて」
「わかりました」
「──なんで居るんだ」
ギルベルトに泣き付かれ、最初から険しい顔つきだったリチャードは、ますます眉間に皺を寄せた。
不愉快さを隠そうともせず、呼び出したギルベルトを八つ当たりのように睨んでいる。
「気が付いたら居たのです。他の貴族にバレるのを避けるためにとりあえずここに案内しましたが、書簡を届けに来たと仰いました。早く中に入って下さい」
「嫌だ。お前が行け」
リチャードはギルベルトの背中に手を回し、前に押し出す。
入れさせたい者と入りたくない者の攻防戦が続く中、ギルベルトは小声で訴えた。
「そんなこと言わずにお願いします。陛下は会議中ですし、この案件はリチャード殿下、元々は貴方が責任者でしょう?!」
ギルベルトは身をねじって逃げようとする。
「知らない。もう終わった。私の出る幕はないからと父上に押し付けたのを忘れたのか?」
負けじとリチャードは右手でドアノブを取り、左手でギルベルトの体を扉に近づける。
「嫌です。私だってあの方嫌なんです。何考えてるか分からないし、人を殺しながら笑ってるのを見ると自分まで殺されそうで…………へぶっ」
急にあちらから開け放たれた扉。躱せなかったギルベルトは強かに顔面を強打した。
「申し訳ございませんギルベルト様。まさかこんなに近くにいるとは思いもよりませんでした」
涼やかな声とともにぺこりと頭を下げた女──ルヴァは無表情のまま扉を開けて固定する。
「──あら、入ってこないから何かあったのかと思ったのだけど。ぶつけたの? 大丈夫?」
すっとハンカチを差し出したのはジェニファー王女本人で。今の話を聞かれていたのかとギルベルトは表情を取り繕うことも忘れ、口をはくはくと動かす。
「こんにちはジェニファー王女、単刀直入に言わせていただきます」
リチャードは外面向きの笑みを顔にのせ、次の瞬間には眉を寄せながら廊下を指さした。
「──ルルクレッツェに帰れ、今すぐ」
「え、嫌だわ」
即答だった。
「ほら、書簡を持ってきたの。欲しくないの?」
「書簡を人質にとるな」
ピラピラと揺らすのを奪えば、ジェニファーは不服そうに唇を尖らす。
「何よ。この私が直々に届けに来たというのにその態度は……毒を盛られたいの?」
ジェニファーの細い手がリチャードの顎をなぞる。
「ひえっ! どうかそれだけはご勘弁を。仮にも我が主は王太子なのです。殺さないでください!」
そう言って無理やり二人の間にギルベルトは身をねじ込んだ。
ジェニファーだったら本気で毒を盛りかねないと思ったのだろう。小刻みに震えている。
リチャードは珍しく自分を守ろうとするギルベルトをしげしげと眺め、漠然と子鹿のようだなと感想を抱いた。
「じゃあ、貴方が主の代わりに盛られる? 死にはしないわ」
「…………死なないなら殿下にどうぞ」
「おい」
リチャードを守ろうとしているのは評価対象だったのに、手のひらを返すのが早すぎる。軽く頭を叩けば涙目にながら後ろの方に退いていった。
「まあ、おふざけはこれくらいにして。ルルクレッツェの使節団が来た表向きの理由は、貴方の婚約の祝福なのは知っているでしょう?」
まるで自室であるかのようにソファに座り直したジェニファーは、リチャードに対して正面に腰を下ろすよう促す。
「だからって何で王女が使節団にいる。祝言は書面上でいい」
予定ではルルクレッツェ側の要人──外交官がスタンレーを訪れる予定であった。彼女も要人と言えば要人だが、地位が違う。本来ならば来ないはずなのだ。
「そりゃあ楽しそ────」
「ジェニファー王女はこういうお方です。王太子殿下、どうかご容赦くださいませ」
被せるようにルヴァがジェニファーの代わりに頭を下げる。
「仕方ない。とりあえず王女はここから出ないで」
使節団の中に王女がいると他の貴族に知られたら、色々めんどくさくなる。彼女が大人しくしてくれているとは思えないが、一応釘を刺す。
「いいわ」
(嫌な予感がする)
こうすんなり承諾するような性格では無いはずだ。裏がある気がしてリチャードは警戒を強めた。
「ふふ、私、ここに案内される途中で聞いたの」
面白可笑しそうに、爛々と瞳を輝かせながら、ジェニファーは続ける。
「エレーナ様、来るのでしょう? 彼女にお会いしたいわ」
(よりにもよってそこか)
彼女が言った通り、今日はエレーナが王宮に来る予定であった。だからリチャードもここに来るまでは機嫌が良かった。
今すぐ廊下で婚約者の話をしていた人物を理不尽だが懲らしめたい。
「貴女のような危険人物に会わせたくないと言ったら?」
他国の王族を貶すのもどうかと思うが、こんな予測不能で危険な王女に自分の大切な婚約者を会わせたいと思うだろうか?
考える間もなく、答えは否だ。
「変なことはしないわよ。嫌われるのは嫌だし」
「信用ならない」
「……流石に外交問題は起こさないわ」
どの口が言うのだろう。ルルクレッツェでは自由に動けないからと、くだんの件でスタンレーを巻き込んだくせに。
(だが、レーナもジェニファー王女に会いたがっていたな)
そうは言ってもエレーナだけでジェニファーに会って欲しくない。しかし、今日はリチャードが付いていられない。
(使節団が来たとなるとそちらの対応をしなければ)
婚約をしたのはリチャードであって父である国王ではない。他国からの祝福に対して自分がきちんと対応しなければ周りから小言を言われてしまう。
別に自分に向けられるだけなら無視すればいいのだけれど、そういうものは婚約者であるエレーナに向くのが貴族達のやり方。
だからリチャードは使節団を優先しなければならなかった。
「くれぐれも変な真似はするなよ」
「はいはい」
生返事だが大丈夫だろうか。いささか不安が残りつつもリチャードは席を立つ。
「ギルベルト、レーナが来たらここに案内して傍に付いていて」
「わかりました」
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